「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

プロコフィエフ フルート・ソナタ、ヴァイオリン・ソナタ
Prokofiev: Flute
Sonata, Violin Sonata


  ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィマーマン
ピアノ:アレクサンダー・ロンクィッヒ 1987年
Frank Peter Zimmermann Alexander Lonquich



録音状態は良い。線は細めのヴァイオリンだが、フルートとはまた違って、旋律が明瞭に描かれているのと、ピアノと不思議な和声を描く。
1〜3  プロコフェエフ ヴァイオリン協奏曲第1番
4〜6  プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲第2番
7〜10 プロコフィエフ ヴァイオリン・ソナタ第2番
 ヴァイオリン協奏曲1番 マゼール ベルリン・フィル
 ヴァイオリン協奏曲2番 ヤンソンス フィルハーモニア管弦楽団
プロコフィエフ ヴァイオリン・ソナタ第2番

楽章
「しぃ〜〜みぃ〜ししし しらそふぁ〜そしそふぁみ〜 らぁ〜 れ ららら らそふぁみ〜み みぃ〜」ってな感じで始まる。
で、ピアノのフレーズの絡みも、ふわっとして、静謐で美しい出だしだ。
とても不思議なフレーズだが、和音の不思議な美しさがある。
ピアノの旋律があってこその、不思議な和音の美しさなんだろう。

いきなり、「みっ みみみみ みどそみ みみみみ みどそふぁ・・・」と、ヴァイオリンが弾んで行くのだが、また、すーっと潮が引いていくように静かになって、この唐突なリズムの変化が、面白いと思う。
「ふぁ〜みれ れどふぁ しぃ〜らしぃ〜っ」と、小さくうねるところが官能的で、ぴくっと、動くのだ。
ちょっぴり甘くて、それでいて、首をすくめるかのように、うずきのように、ぴくっと動く。
白昼夢を見ているかのようで、幻想的な世界というか、赤ちゃんか、若い女性が、寝ているなかで夢でも見ているのか、寝返りをうつかのように、淡い吐息を感じる。
ツィマーマンさんのヴァイオリンも、ロンクィッヒさんのピアノも、どちらも、ぴくっと、静かにうごめくさまは、甘い吐息を感じる。
「しぃ〜〜み しぃ〜 らそふぁ〜 ふぁそ しぃ〜そみぃ〜」
「らぁ〜〜れぇ ららら らそふぁ〜 ふぁ しぃ〜みぃ〜」って感じで、くる。

2楽章
ピアノが、バランっと鳴らしているなか、「しどれっ しどれっ しそふぁ・・・ ふぁふぁふぁふぁ・・・」と、軽やかにヴァイオリンが滑っていく。とても繊細で、甘く、そして淡い音色で彩られている。
少女が肩を揺らしながら、パッパラ パラパラっと軽やかに走って行くような描写で、舞曲風なのだが、可愛いフレーズで、楽しげだ。
ツィマーマンさんのヴァイオリンは、ホント、キュートで、赤ちゃんのように柔らかい。
少女のようにチャーミングで、ピアノのフレーズと戯れながら、幻想的なシーンを描いていく。
以前、パユさんのフルートで、この曲を聴いた時には、ちょっぴりニヒルな演奏だな〜っと思っていた。しかし、ツィマーマンさんの演奏で聴くと、皮肉っぽい笑いではなく、もっともっと純で、ピュアな淡さい恋心のように、喜びを感じる。

3楽章
この楽章は、ヴァイオリンが弱い音で、「られふぁ そしそぉ〜 しれそ ふぁれふぁ〜 れらし どれみふぁそら しぃ〜 れふぁ そぉ〜」と奏でる。
ピアノのフレーズも、一緒になって、ゆらゆらとした雰囲気のなかで、人魚のように泳ぐ。
前は、平面的な旋律っぽいが、ところどころ飛び出して、深海魚風に、海の底に潜ってしまうかのような雰囲気があったのだが、ヴァイオリンとピアノの旋律は、絡みつき、離れて、不思議な和音をつくっていく。
いや〜 短い楽章だが、プロコさまの独特の世界にひきづり込まれてしまった。

4楽章
「しぃ みしそぉ〜 しぃ〜みし みし みし  どぉ〜 しぉらそふぁ そぉ〜らふぁ ふぁそふぁそふぁ・・・」
「しみしみ しそふぁぁ〜ら パッパパラパラ」
「られふぁ〜 られられられ ふぁどふぁどふぁど れっらふぁ しら・・・」
なんとも、けったいなフーレズなのだが、滑稽すぎて笑えてしまうが、いやいや〜 フルートとは違って、ヴァイオリンだと旋律が、とても明確に聞こえてくる。
転がり方がフルートと違って、音が明確に聞こえてくるのだ。
ピアノも一緒になって転がってるのだが、まるでスケールのように弾かれている場面もあり、この、ミョウチクリンな音の世界が、涙をこぼしながら笑えてしまうほど、コミカルだ。この独特の和声というか、調和のとれそうで、とれなさそうな、でもとれてそうな不協和音の世界を描く、 ピアノとヴァオリンのコラボレーションは、すごい。
何がすごいのか、なかなか、言葉に出して言いづらいのだが、この独特の和声が、これ、すっぽりハマってしまう。
アナリーゼをする能力がないのが、う〜ん ワタシに備わっていないのが、なんとも悔しいっ。

フルート:エマニュエル・パユ  ピアノ:コヴァセヴィッチ  1999年
Emmanuel Pahud
Stephen Kovacevich 



録音状態は良い。元はフルートの楽曲だけど、ヴァイオリン・ソナタにも改作されていて、ヴァイオリンソナタ第2番と同じ作品です。
カップリング:
1 ドビュッシー「シランクス」、2〜7 ビリティス(全6曲)、8 レントよりも遅く
9〜11  ラヴェル マダガスカル島民の歌(3曲)
12〜15 プロコフィエフ フルート・ソナタ
プロコフィエフ フルート・ソナタ

プロコフィエフの楽曲は、ワタシにとっては、すごいっ いいわぁ〜と感じる曲と、えっ。と、引き気味になってしまう曲がある。
この前、ピアノソナタの2番を聴いたのだが、なーんか。難しいなあと唸って、そこで止まってしまった。
で、CD棚をゴソゴソ整理していたら、パユさんの吹いたフルート・ソナタが見つかった。
あれ? フルートなの。
プロコフィエフとフルート? なにか、ちょっと違和感があるような気がしたのだが、聴いてみると、結構、コミカルな面があって面白い。面白いのだが、何が面白いのかと表現するには・・・これまた、ちょっぴり難しいっ。(笑)

ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら
フルートソナタ(作品94)は、独ソ戦のため、プロコフィエフがモスクワを離れて疎開していた時期に作曲された。
作曲を開始したのは、1942年9月で、翌年に初演されているのだが、フルート奏者にはあまり注目されず、改作したらしい。ヴァイオリンソナタに改作されたのは、フルートソナタの初演を聴いたヴァイオリン奏者のオイストラフが、プロコフィエフにヴァイオリンソナタへの改作を熱心に勧めたからだという。

そして、1944年に、オイストラフの助言を受けながら、戦時下のモスクワで改作を行っており、ピアノのパートは原曲のままとし、元のフルートのパートには、音形や音域の変更を加えてヴァイオリンのパートとしたとのことだ。
初演は1944年、オイストラフのヴァイオリン、オボーリンのピアノで行われており、原曲以上に好評を博し、演奏の機会にも恵まれることになったとのこと。
なお、この改作した方は、ヴァイオリンソナタ第2番(作品94bis)と呼ばれ、ヨーゼフ・シゲティに献呈されている。
はあ? なんで〜 アドバイスをもらったオイストラフに献呈されず、シゲティへ献呈したの?
(ここの経緯は、ちょっと、わかんないです。)

で、1970年代になって、ゴールウェイとアルゲリッチによる録音が話題を呼んで以後、フルートソナタとしても、演奏や録音される機会が増えているし、演奏の際には、プロコフィエフが書いたそのままではなく、ヴァイオリンソナタ改作版を参照して、フルートのパートに手を加えることが一般的に行われているとのことだった。
あらまっ。技巧的なことはわからないが、ちょっぴり、ややこしい経緯を持った曲なのである。

でも、フルート版もヴァイオリン版も、楽曲構造は基本的に同一で、4楽章から構成されており、約23分の曲である。
フルートのための楽曲としては長大であるとあったが、う〜ん 確かに、フルート演奏者は疲れそうである。

第1楽章 モデラート ニ長調 4/4拍子
第2楽章 プレスト イ短調  4/3拍子
第3楽章 アンダンテ ヘ長調 4/2拍子
第4楽章 アレグロ・コン・ブリオ ニ長調 4/4拍子

1楽章は、「しぃ〜み〜しぃ らそふぁ ふぁそしそふぁみ ら れ らら らそふぁみ みぃ〜み みぃ〜」ってな感じで始まる。で、いきなり、「みっ みみみみ みどそみ みみみみ みどそふぁ・・・」と弾んで行く。
この唐突なリズムの変化が、面白い。
まるで、何かに驚いた猫が、背中をもりあげて飛び上がるかのようだ。
このリズムの変化は、何度か起こる。

全体的には、春の雰囲気があり、ゆったりと、まどろみのなかで白昼夢を見ているかのようで、ちょっぴり幻想的。
「しぃ〜〜み しぃ〜 らそふぁ〜 ふぁそ しぃ〜そみぃ〜」
「らぁ〜〜れぇ ららら らそふぁ〜 ふぁ しぃ〜みぃ〜」って感じで、美しい調べが流れてくる。
この長音の調べと、リズミカルな弾みが交互にやってくるという感じで、飽きさせないのだ。
ところどころに、パパパパ パパパパ・・・と、走るところが、まどろみを打ち破るのだが、その破るリズムが、心地よい。

2楽章
「しどれっ しどれっ しそふぁ・・・ ふぁふぁふぁふぁ・・・」と、快速で パッパラ パラパラっと軽やかに走って行く。
ところどころ、プロコフィエフのピアノだなっという、音が入ってくるのだが〜
(同音で、そそそそ そそそそ そふぁみれ そふぁみれどし・・・」と落ちていくところ)
同じ音を続けていながら、音型を続けていながら、飽きさせないコツは、いったい、どこにあるんだろう。
う〜ん これは、ピアノも楽しんで聴けちゃう。
フルートの旋律には、「しぃ〜 それふぁっ みみみみ・・・」と、雄叫び風に叫ぶ声も、いひひぃ〜という笑い声も、たまに聞こえてくる。曲のなかに、笑い顔で、走って行くかのような、陽気さが感じられ、コミカルなのだ。
フルートのフレーズで、「マッピルマ まっぴるま」と聞こえてくるところがあって、まるで、ハイ、真っ昼間に遊んでます〜という感じに聞こえてくる。
うふふ ふふふ・・・と、ニヒルさも感じさせつつも、ホント、喜びに満ちている感じがするし、どことなく楽天的だ。
技巧的には難しいのだろうが、フルートだからというのではなく、ピアノもヴァイオリンでも、ホント楽しそうな楽曲だよなあ。

3楽章
この楽章は、フルートのフレーズが、ケッタイなのである。
「られふぁ そしそぉ〜 しれそ ふぁれふぁ〜 れらし どれみふぁそら しぃ〜れふぁ そぉ〜」

平面的な旋律っぽいが、ところどころ、飛び出した音の高さがあり、またまた、深海魚風に、海の底に潜ってしまうかのような場面も出てくる。
また、ゆらゆら〜 水面に顔を出して浮いているかのようなところがあったり、不思議な空間で、ぷわ〜っと浮いているのだ。この不思議な感覚は、ワタシ的には、プロコさまの楽しいところであったり、怖いところであったりして、他の作曲家では感じられない、独特の世界なのだ。これだから、やめられないっ。みたいな場面なのだ。
ここは、フルート独特の音色、音の膨らみとか、減衰が感じられる。

4楽章
このラストは、アハハ〜 聴くと楽しすぎてやみつきになりそう。
音を大きく揺らす、この揺らし方が、横に大きく振っておいて、同じところで弾んで間合いをとって、前方に一直線って感じなのだ。そうだなあ〜 例えて言うと、子供たちがかけっこで、さあ、走ろうか。もうすぐ、先生のピストルが鳴るぞっ、という感じで、そう、走り出す直前のポーズのように見える。
手は、大きく手を前後に振って、足はスタートラインを前に、駆ける仕草をしている。
で、ドンっ。
「しぃ〜 みしみしみし (ん〜たらっらった) そふぁそふぁそふぁ・・・」
「しみしみ しそふぁぁ〜ら パッパパラパラ」 こんなフレーズは、文字では書ききれません。(笑)

この走り出すシーンは、フルートよりヴァイオリンの方が、快速になるでしょうけど。メチャ面白い。
また、ピアノが入っていることで、絶対に面白くなっているように思う。
低音の部分のうねりとかは、絶対、ピアノでしょう。多彩な色使いは、やっぱり、ピアノの色パレットだよなあ。
でも、跳躍するときの雰囲気は、弦の音の移行とは違って、フルートならではなの音の残り方があって、耳を撫でていくような感触があるんですよね。
う〜ん、これは、またヴァイオリンでの作品を聴かないと! これは、メチャ楽しい楽曲です。


1989年 ツィマーマン アレクサンダー・ロンクィッヒ EMI ★★★★★
1999年 パユ コヴァセヴィッチ  EMI ★★★★
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