バッハ ゴルトベルク変奏曲 J.S. Bach: The Goldberg Variations

 バッハ ゴルトベルク変奏曲
J.S. Bach: The Goldberg Variations
アンドレイ・ガヴリーロフ 1992年
Andrei Gavrilov

録音状態は良い。かなり変わり種の演奏で、ある曲はショパン風、ある曲はリスト風って感じで、かなり雰囲気が変わる。えっ これバッハ?って感じなのだが楽しんで聴ける。ガヴリーロフの演奏、バッハという方の弾き方ではないような気がする。音の粒が均質ではなく波打っており、近づいたり離れたりする。左手右手が、独立して動いている感じがしない。素人の勝手なイメージだが、ある曲は、ショパン、ドビュッシー、ある曲は、これリストみたいという感じ。そういう意味では、お得な多種多様なバラエティーセットとも言えるが、ここで、お得感はないだろう。一風変わっているといえば変わっている気がする。
例えば、第21変奏曲7度のカノン1段鍵盤用は、まるでショパンのように沈殿し、ウツウツとしている雰囲気があって、鳥肌ものの面白さ。第26変奏曲2段鍵盤用は、ぴらぴらの装飾音つきで、これで良いんですかねえと言いたくなるような弾き方。まるでリスト風に豪華絢爛に演奏される。第27変奏曲から、超絶技巧かと思わせる快速バージョンで、最後のクォドリベットの第30変奏曲まで一気呵成に続く。エネルギーが充満し、眠くなるというゴルトベルク変奏曲ではなく、メチャメチャ、テンションが高い。聴き疲れくたびれ果て、ついには事切れるって感じになるので、最後の大トリを務めるアリアが、まるでお通夜みたいだ。
ってなわけで、これ、ホントにバッハなの? バッハのなんたるかを知らない素人には、面白く聴ける。確信犯的な演奏なのもしれないが楽しい演奏だ。

 バッハ ゴルトベルク変奏曲
J.S. Bach: The Goldberg Variations
アンドラーシュ・シフ  1982年
Andras Schiff

柔らかい音で楽しい演奏だが、ふわ~っと流れてモッタイナイ。ゴルドベルク変奏曲については、なんといってもグレン・グールドの演奏が有名で、ピアノとチェンバロ版と聞き比べると次元が違う世界が広がっている。70分以上もある楽曲なので、ちんまり座って聴きづらい。さて、シフの演奏は、柔らかい。柔らかすぎて驚くのだが、すんなり耳に入り障りがない。チェンバロ版で聴いた場合は、カッチリした音と残響で生々しい感覚がある。シフさんの演奏するピアノ版は、滑らで失礼ながらBGMのように聴きやすい。1つ1つの音に適度な粘りがあり、装飾音もソフトに奏でられ、音が温かく太め。グールド盤の影響で、明晰で、冷たい、クールな演奏が好まれる傾向にあるかもしれない。起伏の激しさ、強弱のメリハリの効いた演奏は、鮮烈さを生むかもしれないが、その反面、音に瑞々しさやんわりとした感覚、快活でピチピチした感覚が少ないように思う。
シフの演奏は、これとは真逆。垂直に響いて来ないのが恨めしい。それに、やはり72分は長い。繰り返しを含む演奏で、クレジットされている演奏時間は、72分19秒である。主題のアリアとその30個の変奏曲の分析までは出来ていません。とても柔らかい音で、楽しいのだが、ふわ~っと、そのままに流れてしまい、あーっ モッタイナイとは思いつつ、ワタシの耳・頭から、流れてしまうのです。ごめんなさい。 2001年同曲のライブ盤CDが発売されていた。


 バッハ ゴルトベルク変奏曲
J.S. Bach: The Goldberg Variations
カール・リヒター 1970年
Karl Richter

リヒターの演奏はは、ゴルトベルク変奏曲をチェンバロで演奏したもので、多彩な音色で綴られる。オルゴールのように響く音のチャーミングさに驚く。これは聴きやすいと思ったのだが、う~ん、そこまで甘くありませんでした。変奏曲を聴き進むうちに、難しい感じたり、曲によって音色が全く異なることに驚かされたりする。レースのフリルのような音を予想していたが裏切れ、ピリオド楽器のように楷書体で、シンプルに装飾音少なめに演奏されている。そうかと思えば、ロック風のリズム、ビート感覚が心地よく感じたり、琴の演奏を聴いているような曲があったりする。
曲想に応じた音が紡ぎ出されており、すごい才人のピアニストだと大きくうなづける。対位法とか内声部を聞き分けられない凡庸の耳ゆえ苦行でしかない。質実剛健という言葉をカラダで表現するという感じで淡々と引き続ける。こりゃ~ やっぱり修行である。オブリガートのように、熱くなって快感~って感じの時は、窮屈から解放される。もしかしたら、ぼーっと聴いているほうが良いかもしれない。ぼーっとしてても伝わってくる何かがある。これが演奏者のワザなのか。恣意的にいじらなくても、完成したバッハの楽曲ゆえなのでしょうか。


 バッハ ゴルトベルク変奏曲
J.S. Bach: The Goldberg Variations
グレン・グールド 1981年
Glenn Gould

ゴルトベルク変奏曲と言えば、グレン・グールドさんで決まりっと、おっしゃる方が多いと思う。昔からの定盤中の定盤。青春時代、この曲の良さがわからず、お蔵入りにしてしまった。愉悦性に乏しく寂しい曲で、この楽曲のどこが良いのだろう。チャイコフスキーのように綺麗でもなく、美しい旋律が出てくるわけでもなく、実にツマランと思っていた。不眠症に悩むカイザーリンク伯爵のためにバッハが作曲したというが、このようなテンションの高い演奏では寝られるわけがない。
おまけに、グールドの演奏するピアノと一緒に、演奏者の不気味なつぶやく声がCDに収録されている。 夜に聴こうものなら、とても怖くて、キモイ演奏である。
しかし、今では、ものすごくリズミカルに聞こえ、ハマる人はハマると思う。はたして ワタシのなかで、何が変わったのだろう。
無窮動のように、テンポを一定に保ち、旋律を膨らませず、右手と左手が同じ力量で弾かれる。対位法重視の演奏の仕方が、幾何学的に感じるのだろうか。そこが、面白く感じられるようになったからか。グールドさんワールドは、もちろん個性的で、音と音の間にも、ぽっかりあいた隙間があり、底なし沼のような黒い空間に落ちる。(気がする)
最初のアリアも最後のアリアも、息も絶え絶え的な演奏。ぶったまげの強烈に叩きつける曲もあり、超快速でぶっ飛ばし状態の曲もある。表現の幅が大きく、超人的で苛烈で、ヤワなワタシには、ついていけそうもない。1981年の録音状態は良い。1955年(MONO)録音もあるようです。


 バッハ フーガの技法 J.S. Bach: Die Kunst der Fuge
グスタフ・レオンハルト 1965年~69年
Gustav Leonhardt

フーガの技法とクラヴィーア練習曲集第2巻 2枚組BOX  録音状態は極めて良い。残響を残しながら優美に奏でられている。
ここで収められているフーガの技法は、コントラプンクトゥス第1番、4番、2番、3番、5番~11番、12番a、12番b、18番a、第18番b の順番になっている。2枚目CDには、反行形の拡大のためのカノン、オクターヴ カノン、3度の対位による10度のカノン、5度の対位による12度のカノンが、収められている。
ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、対位法的作品(教育目的)というカテゴリーに、8声のカノンなど各種のカノンと、音楽の捧げもの、フーガの技法があった。他のページでは、特殊作品として紹介されていた。バッハが特に晩年になってから手がけた様々な対位法的作品群が、一般に特殊作品として分類されている。音楽の捧げものBWV1079やフーガの技法BWV1080に代表される。この2つの作品は、いずれも1つの主題に基づいて作られ、フーガあるいはカノンの様々な様式が用いられている。このほか特殊作品として、いくつかの単独のカノンや14のカノンBWV1087がある。カノン風変奏曲「高き御空より」BWV769もここに含まれるべきであるが、楽器指定が明確であるためオルガン曲として分類されているとのこと。

「フーガの技法」という作品は、作品固有の緊密な構築性と内在する創造性によって、クラシック音楽の最高傑作の1つに数えられているとも書かれてあったが、バッハの対位法の勉強をする方は、聞き込まれているかもしれないが、ワタシには難しすぎる。
一応、対位法というところの記事も読んでみたが、18世紀に入ると教会旋法による音楽は次第に廃れ、長調・短調による調性的な音楽が主流となり、それに伴い対位法にもますます和声的な発想が入り込むようになった。それまで合唱、声楽と共に発展してきた対位法が、この時代に至ると器楽も発達し、それに伴って器楽的対位法と言われる新たな音楽語法が現れた。この時代に活躍したJ.S.バッハの作品はそれまでの対位法的音楽の集大成であると同時に、 和声的な音楽語法をも用いたものであり、音楽史上一つの転換点であるとみなされる。古典派やそれに続くロマン派の時代では、各声部が独自性を保っているポリフォニー的な音楽ではなく、一つの旋律に和声的な伴奏が付随するホモフォニー的な音楽が支配的となった。また、興味の方向が、超絶技巧などの名人芸や楽器の改良など速度や音色へと変化したこともあって、対位法を駆使した楽曲は、和声的な楽曲に比べて劣勢であったが、作曲技法の修練としては教育的価値を認められ存続していた。とあったわけで~ バッハは、やはり基本中の基本だと思い知りましたが・・。(汗)


 バッハ 音楽の捧げもの
J.S. Bach: Musikalisches Opfer in C minor, BWV 1079
レオンハルト  クイケン兄弟 1974年

フーガの技法、ゴルトベルク変奏曲、音楽の捧げものは、理解の範疇を超える楽曲である。専門分野の方が学ぶ基本なのだろう。何度繰り返して聴いても、音楽鑑賞の対象とは違うし、素人のワタシにとっては、超わからない3大楽曲。
素人が聴いている範疇でということで、ご容赦いただきたいのだが、この楽曲、冒頭から、半音がイッパイ飛び交って、まるで異次元の空間なのだ。これがバロック? ゲンダイオンガク的にも聞こえてしまう。半音がイッパイで幾何学模様のように並んでいるという小説ではなく辞書みたいなもの。「音楽の捧げもの」をあえて聴くのであれば、歴史的な名盤と言われるリヒターの1963年盤か、レオンハルト盤だろうということで買い求めたが、お見込みのとおり猫に小判。この楽曲のなかで、6声のリチェルカーレが良いという評判だが、冒頭の3声でさえ、耳も頭もハートも、ついていけてない。今後も、聴ける自信がない。

ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、音楽の捧げもの(Musikalisches Opfer BWV1079)は、1747年、バッハがフリードリヒ大王を訪問した際、ハ短調のテーマを与えられ、その場で即興演奏を行ったが、2ヶ月後、作品として仕上げて、「王の命による主題と付属物をカノン様式で解決した」 と、ラテン語の献辞を付けて大王に献呈したそうである。献辞の頭文字を繋いだ言葉 RICERCAR (リチェルカーレ)は、「フーガ」様式が出来る前の古い呼び名とのこと。その後、「音楽の捧げもの」として、この楽曲が知られているそうである。
伝えられるところによれば、即興演奏を求められたバッハは、3声のフーガを演奏し、翌日、6声のフーガの演奏を求められたが、さすがに即興では難しく、自作の主題による即興演奏を行った。のちに、その場で果たせなかった6声のフーガを含むこの作品を、王に捧げたと言われる。全体には、1つの主題に基づく16の作品からなる曲集で、フーガ2曲と、4楽章からなるトリオソナタ、ならびに10曲のカノンが含まれるとのこと。フリードリヒ大王から与えられたテーマを、アレンジして云々・・・は、知識として知ることはできたが、聴いてもハテナマークが飛び交う難しい楽曲である。愉悦性の高い楽曲でもないし、幾何学的であり、数学的で~ 大王陛下は、これを聴いてどのような感想を持たれたのであろうか。う~ん、あえて例えるなら、日本語言語学者が、国語辞典の編纂に携わり、お疲れさまでした~という労いの言葉をかけられたというイメージでよいのだろうかと思う。


 バッハ 音楽の捧げもの
J.S. Bach: Musikalisches Opfer
チェンバロ&指揮:カール・リヒター Karl Richter 1963年

レオンハルト盤と共に双璧をなすのが~ リヒター盤だと思う。定番中の定番、歴史的な演奏という枕詞がついていた演奏だ。一応いろんなクラシックを聴こうと果敢に挑戦し、励んできたのだが(ほんと?)いつまでたってもワタシの鈍い感性、オツム、ダメな耳には、ピンっとこないまま。確かに、慎ましやで超マジメに真摯に演奏されている雰囲気がする。しかし、楽曲自体に、とっつきづらい多層になっている各声部のフレーズ、暗くて難しそうな音階、ゲンダイオンガクに近い、日常とは異なる漆黒の異次元の空間が広がる楽曲で、日本語の辞書を読んでいるごとく。これが歴史的名盤だと言われて聴いても、素人では、どこが? という感じなのだ。当てずっぽうで聴いているだけではダメってことが痛烈に感じさせられる楽曲のような気がする。まあ、対位法ぐらい知っておけよと、言われかねないが、 素人が趣味の範疇で聴く楽曲ではないということだと、かなり寂しく感じちゃう。だが反対に、音楽を生業にする方にとっては、避けては通れないバッハさまの楽曲のようだ。まあ、この程度とさせていただくことにしよう。


バッハ ゴルトベルク変奏曲
1970年 カール・リヒター Archiv ★★★★
1976年 レオンハルト Harmonia Mundi 未聴
1981年 グレン・グールド SC ★★★★
1982年 アンドラーシュ・シフ Dec ★★★
1992年 アンドレイ・ガヴリーロフ G ★★★★
バッハ フーガの技法
1969年 グスタフ・レオンハルト Harmonia Mundi ★★★★
バッハ 音楽の捧げもの
1963年 カール・リヒター Archiv ★★★★
1974年 レオンハルト、クイケン兄弟 SEON ★★★★


ゴルトベルク変奏曲(BWV 988)は、アリアとその変奏曲からなる2段の手鍵盤のチェンバロのための練習曲です。全4巻からなる「クラヴィーア練習曲集」の第4巻で、1742年に出版されています。バッハ自身による表題は、「2段鍵盤付きクラヴィチェンバロのためのアリアと種々の変奏」。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述するとバッハが、音楽の手ほどきをしていたゴルトベルクさんが、不眠症に悩むカイザーリンク伯爵のために、この曲を演奏したという逸話から、「ゴルトベルク変奏曲」の俗称で知られています。ピアノが主流となった時代から、20世紀初頭まで演奏されることは少なかったのですが、レコード会社に反対されながらも、グレン・グールドさんがデビュー盤にこの曲を選択し、世界的な大ヒットとなりました。いまやチェンバロ、やピアノのみならず、弦楽合奏やジャズでも演奏されるようになっています。
32小節のアリアを、最初と最後に配置し、その間に、アリアの32音の低音主題に基づく30の変奏が展開され、全部で32曲として構成されています。第15、21、25変奏がト短調で、他は主題と同じくト長調です。3の倍数の変奏はカノンで、第3変奏の同度のカノンから第27変奏の9度のカノンまで、順次音程が広がります。第30変奏は、10度のカノンではなくクオドリベットが置かれています。第16変奏は「序曲」と題され、後半の始まりを告げているものです。各曲は、2部構成で、前半後半をそれぞれリピートします。


 

YouTubeでの視聴


また聴いて調べておきます。


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