「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ドビュッシー 子供の領分
Debussy
: Children's Corner


ウェルナー・ハース 1961年
Werner Haas

録音状態は、61年とは思えないほど良い。楷書体であるが、柔らかく渋い。カップリング:下記のとおり。
ハースは、ドビュッシーのピアノ作品を全集録音しており、そのうちの1枚 (CD2枚組×2巻)
子供の領分 Children's Corner
第1曲 グラドゥス・アド・パルナッスム博士 Doctor Gradus ad Parnassum
第2曲  象の子守歌 Jumbo's Lullaby
第3曲  人形へのセレナード Serenade of the Doll
第4曲  雪は踊っている The Snow is Dancing
第5曲  小さな羊飼い The Little Shepherd
第6曲  ゴリウォーグのケークウォーク Golliwog's Cakewalk

ハース ドビュッシーピアノ作品全集 第1巻
1 前奏曲第1巻
2 前奏曲第2巻
3 喜びの島
4 映像第1集
5 映像第2集
6 版画
7 子供の領分
8 ピアノのために
 9 2つのアラベスク
10 マズルカ

1 グラドゥス・アド・パルナッスム博士
「れっみっそっふぁっ らっそっしっら・・・」と音階をあがっていく。その間にもちろん細かい音が詰まっている。
「タッタ タッタ タッタ タッタ・・・」指しんどそー。「タララ ラララ・・・」
「らそふぁ みふぁそ〜 みふぁそ〜 みふぁれみ〜 どれみ そどみれ〜」という、中間部分の休憩部分のくすんだ雰囲気がでているし、最後のパラパラ〜とした雰囲気が好きだ。
「みれみれ そふぁみれ みれどしら らそふぁみ みれみれ〜」と降りてくるところに、光がこぼれている。
もっと速く弾く人もいるんだけど、渋く軽快で「タッタ た〜」と聴かせてくれる。

2 象の子守歌
「そみ そられみ そみ れれみみ・・・ ららっ」「れしらそら〜 しれら〜」
低音から始まるけれど、鼻歌のように「そみ そみ そみ そられみそ〜みれれみれみ れそみ〜」
「れしらそら しれら〜みれしら そら〜」 これじゃ〜まるで民謡じゃん。
「ん ジャジャ  そそふぁ みみれ〜 シュシュ ポポ・・・」と、拡大していって、これ子守歌?

3 人形へのセレナード
「ふぁっど ふぁっど・・・ られっそ〜  みっらっれ〜」
こんな弾んだセレナードねえ。珍しいような気がするんだけど。「られっそぉ〜 らそ られそぉ〜 らそられ み〜れみ〜れみ〜」 ゆったりしているんだけど、最後に、「みっらっれ〜」と弾む音色が、シャボン玉が弾けているみたいで。綺麗っ。

4 雪は踊っている
「みふぁそら みふぁそら みふぁそら みふぁそら・・・」右手の音に左手が追いかけてくるようなフレーズ。
で、テンポがあがっていく。
「ふぁそらし ふぁそらし・・・」「みれどし・・・」 雪が降っているのかと思ったんだけど、小さな玉のような雪が、降っているんじゃーなくって、踊っているんだよね。右手のフレーズと左手のフレーズが重なってくるところが、ハイ、転がっているみたいで。ややこし〜 
頭のなかでも、転がって雪だるまになりそう。どこを聴いているのか、ワカランようになりそうだ。
でも、やっぱ雪が舞っている印象を受ける。風を受けて、いろんな方向から雪が舞っている感じだ。
「れみみみ れみみみっ・・・」と強く弾かれて、すぐに弱音に変わるところが凄い。

5 小さな羊飼い
「ら〜 そふぁみ ふぁみれど そふぁみ ふぁみ〜 そみ〜 らそふぁみ〜」
「れっどれみ ふぁみれっど れどれみ ふぁそふぁみれど〜 れみど〜」
居眠りしていたんだろうか。この羊飼い。で、何かに起こされて、えらいこっちゃーと羊を探しているみたいで、「らどれ〜 ふぁ〜みれどら そふぁ みれどふぁ〜」
ちょっぴり硬めだけど、間合いが良いというのか、きっちりしているけど、さりげなく〜 ふっと息を抜けるところがあって。ハースさんの演奏って、楷書体風でありながら、硬すぎない。そんなところが良いね。

6 ゴリウォーグのケークウォーク
「しらっ しそ しっ らふぁみど〜 らふぁみど らふぁみど らっ」
「どふぁ どっふぁふぁ どふぁ どっふぁふぁ・・・ どしどふぁ どらっふぁど」
左手がかなり硬めで強めだが、弾み方が凄い。
右手が飛んで高音域に「ふぁっ」と叩いているところの輝き度が高いし。粒が硬くて綺麗っ。
タタッタ タタッタ どふぁ どふぁ・・・ 右手の高音域ジャンプが綺麗だなあ。
左手の装飾音も綺麗だし、中間部のソフトタッチのところ、息づかいが自然だ。

「子供の領分」の最後、「ゴリウォーグのケークウォーク」は、有名曲だ。
ハースさんのピアノは、全体的にくすんでいる。でも、時折出てくる高い音色で、ぴ〜んと張った明るい音色が入ってくるので、これに魅入られてしまう。テンポはゆったりめ。
人の声に近いようなピアノの音色でありながら、音の強さと硬さがある。かなり硬質だ。楔を打ち込むようなタッチで降りてくるところがあるが、余計なモノが一切ついてないシンプルさ、強靱さ・・・
でも優しい。煌びやかさはないけれど・・・。
まず、ピアノの音色が渋くて、アルトのような響きがする。
きっとピアノは、ベーゼンドルファー(Bösendorfer)なんだろうな〜

ちなみに、Golliwog(ゴリウォーグ)って、絵本のなかのキャラクターらしい。黒人の人形のことだが、日本じゃー、昔、流行った「ちび○○サンボ」というキャラクターがあった。もちろん、今では人種差別にひっかるだろうが・・・ 懐かしいキャラである。Cakewalk(ケークウォーク)は、黒人社会のなかで流行してたダンスらしい。ムーンウォークではないけれど、ヨーロッパから離れており、かなりジャズっぽい。

子供の領分は、全部で6曲ある。ハースは、ドビュッシーのピアノ作品全集(CD4枚)を録音している。ハースは、ドイツ人だけど、フランスものが得意として有名。このドビュッシーのピアノ曲全集の録音により、1970年にグランプリ・デュ・ディスク賞を受賞しているとのこと。
50年ほど前の古い録音になってしまうが、録音状態は61年とは思えないほど良い。
ミシェル・ベロフ 1979年、80年
Michel Béroff



録音状態はまずまず。なんだか楽しくない演奏で、鬱なの?って感じ。音が、くすんでしまっているのは録音のせいかなあ。
この盤は、旧録音で、現在、全集版の新録音が、DENONから出ている。
カップリング:下記のとおり。
ベロフ ドビュッシー 〜月の光〜ピアノ名曲集
1 ベルガマスク組曲 (全4曲)
2 2つのアラベスク(全2曲)
3 子供の領分 (全6曲)
4 レントより遅く
5 小さな黒人

1 グラドゥス・アド・パルナッスム博士
「ふぁっふぁ そっそ しっし らっれっれ みっみれれっ・・・」と 、パルナッソス山の階段を、軽い足取りで超スピードであがっていく。必死の形相で、峻厳な山を登っていくという感じでは到底なく、まるで雲の上を、ひょいひょい〜っと飛んでいくように、柔らかい。
クレメンティという方の「グラドゥス・アド・パルナッスム」(Gradus ad Parnassum)というタイトルのピアノの練習曲があるらしい。パルナッソス山とは、そうギリシャ神話に登場する神々の住まう山である。
ミューズの住まうパルナッソスへの歩みという意味とのことで、この練習曲を、地道にこなしてマスターできれば、神域に近づけるってワケなのかどうか、知らないが。いやいや、相当に凄い名前の練習曲なだけあって、超難曲なのだろう。
この楽曲は、その練習曲に挑戦している子供の姿を描いたモノと言われている。練習曲名に、博士ってつけるところが、ちょっと嫌みたらしいが・・・。
ベロフさんは、楽しげである。
こともなげに弾かれて、はぁ〜。博士も形無しだろうが、しなやかそうな指で弾いているんだろうなあ。なにせ、素早いです。ただ、階段を上りっていく前半は、アクセントを置いて、リズミカルにのぼっていくという感じではない。するする〜っと上昇しており、足がない幽霊のようだ。
後半は、さすがに「みれみれ そふぁみれ みれどしら らそふぁみ みれみれ〜」のフレーズは、うってかわって、鋭い強い打音に変わっている。

2 象の子守歌
「そみ そられみ そみ れれみみ・・・ そそっ」「れしらそら〜 しれら〜」
あまりアクセントがつかない。重みが無いので、う〜ん。象の子守歌という雰囲気じゃーないんだけど。
低音から始まる曲だが、この低音が響いてこないのだ。
鼻歌のように、子供が歌っているようなコミカルさも、陽気さも感じない。
あまり情感の籠もっていないというか、情感など、あまり必要ではないのかもしれないが、少なくとも、楽しくない演奏だ。ワクワク、楽しげじゃない。ツマランって感じ。

3 人形へのセレナード
「ふぁっど ふぁっど・・・られっそ〜みっらっれ〜」 音が飛び跳ねているのはわかるのだが、インパクトの薄い演奏で、どーしてこんなに、つまらなさそうに演奏しちゃうのだろう。さらり〜としすぎのような気がする。
これは、ベロフさんにとって、ショパンエチュードのような、ドビュッシー版練習曲なのかもしれない。
ワイセンベルク盤のように、ものすごく濃い味付けをしてくれなくても、よいんだけど〜 ベロフさんの演奏は、私的には、薄味すぎて。儚げすぎて。
まあ、夢か幻か、影のような存在なのか、いずれにしても雰囲気的には、影みたいなモノでしょうか。
テクニックのことは、よくわからない。素人なので、楽曲自体を楽しそうに演奏してもらう方が嬉しい。

4 雪は踊っている
「みふぁそら みふぁそら みふぁそら みふぁそら・・・」
右手に、左手が追いかけてくるようなフレーズで、細かい雪が舞い降りてくるようだ。
ここは、とても速く、ふわ〜っとした感覚が描かれており、とても美しい。
でも、マッチ売りの少女のような気分で、寂しさが漂っており、なにか幻を見ているかのよう。

5 小さな羊飼い
「ら〜 そふぁみ ふぁみれど そふぁみ ふぁみ〜 そみ〜 らそふぁみ〜」
ホント、情景のあまり浮かばない演奏で。気合いが入ってないぞ〜と言いたくなっちゃうのだけど、これが持ち味と言われたら、それまでだが。
ベロフさんの、この子供の領分は、憂鬱な気分で支配されているようだ。

6 ゴリウォーグのケークウォーク
「しらっ しそ しっ らふぁみど〜 らふぁみど らふぁみど らっ」
「どふぁ どっふぁふぁ どふぁ どっふぁふぁ・・・ どしどそっ どらっふぁど」
この最後の曲になって、ようやく快活になってくるのだが、強い打音だけが耳に残る。遊び心がない。
まだ、若い頃の演奏だから仕方ないのかなあ。大人の演奏ではない。
ゴリちゃんも、最初の方は快活なのだが、中盤、沈んで〜 やっぱ鬱なのねえ。可愛そうにと思っちゃう。
ジャズの要素を感じられないのは、悲しい。タメが無いのと、息づかいが浅く、音符がそのまま音に出ているのかもしれないけれど、味気なく、ニュアンスの無さが、やはり悲しい。
ただ、テクは凄いみたい〜というのは感じる。さらり〜と弾かれちゃって、唖然としてしまう1曲め。
雪だって、ふわ〜っと舞い降りてくる様が描かれているし、幻想的である。
でも、ゴリウォーグみたいな楽しい曲は、遊び心を入れて欲しかったなあ。
パスカル・ロジェ 1979年
Pascal Rogé

録音状態は良い。デッカの厚みのある音だが、柔らかい。
運動機能性という点では、どうかとは思うし、いたって普通っぽいのだけど、子供の領分に収められた「雪は踊っている」という曲では、儚い雪が、溶つつ踊っているようなイメージがあった。
カップリング:下記のとおり。

パスカル・ロジェ ドビュッシー  ピアノ曲集 2枚組
1 ベルガマスク組曲 (全4曲)
2 子供の領分 (全6曲)
3 映像 第1集 (全3曲)
4 映像 第2集 (全3曲)
5 2つのアラベスク(全2曲)
6 前奏曲 第1巻 (全12曲)
7 ピアノのために (全3曲)
8 版画 (全3曲)
9 喜びの島
10 夢

パスカル・ロジェさんのドビュッシー ピアノ曲として収録されている2枚組のCDである。
収録された年は、下記のとおり。
1977年 ベルガマスク組曲、2つのアラベスク、ピアノのために、版画、夢
1978年 前奏曲第1巻
1979年 子供の領分、映像第1集と2集、喜びの島

1 グラドゥス・アド・パルナッスム博士
細かい音が、階段状に詰まっている曲だが、う〜ん。イマイチ、クリアーには鳴ってこない。
必ずしも、キッチリ、カッチリ弾いて貰わないと、嫌ってワケじゃないんだけど。
パルナッスム博士というには、ちょっとモノ足らないかもしれない。
最初の方は、小声で、たらら ららら〜っという風に、呟いてみせる。
音色としては、柔らかく、明るく、軽快さを持ち合わせており、休日の朝に聴くと気持ちが良い。
適度な気怠さが満ちている。
あまり優等生風の練習曲ではないかもしれないけど〜 
最後、降りてくるときには、「れれ みれそふぁみれ みれどしらそふぁみ みれみれ そふぁみれ みれどしらそ〜」っと、音量をあげて、煌めきを放って終わる。
あらっ 最後は、しっかり帳尻合わせかあ。

2 象の子守歌
「そみ そられみ そみ れれみみ」
低音の響きに厚みがある。「そみ そみ そみ そられみそ〜みれれみれみ れそみ〜」というフレーズになって動きが出始める。重々しいだけではなく、ロジェ盤では、弾みが感じられ、音自体は沈むものの、残る音は軽くなってきて、軽妙さも出ており楽しい。

3 人形へのセレナード
「られっそ〜  みっらっれ〜」と、弾むリズムがあるが、ところどころ高音域の明るく抜ける音が綺麗だ。
ことさらに煌めき度は高くないし、粒立ちが、立ち上がってくるワケではないし、ワクワクするような楽しさまでには至ってないが、パラっとはじけている音が、まずまずの雰囲気を出している。

4 雪は踊っている
非常に弱い音だが、そのなかで煌めきを出すのは、とーっても難しいだろうに。
ロジェ盤は、回転度は、さほど高くない。高くないというより、回転しているのかな〜と、あまり気づかないまま、歌のフレーズになっている。
ワイセンベルク盤だと、光を放つような煌めき度があったが、ロジェ盤では、淡く溶けてしまいそうな雪だ。運動機能性という点では、どうかなあ。って思うが、儚さを表出している点では、う〜ん。巧いっ。

5 小さな羊飼い
この曲は、いずれの演奏でも、丸い球体のなかで浮いているような気分になるのだが〜
オリエンタルチックな〜 不思議な音が詰まっている。
ロジェ盤でも、暖かい空気感のなか、草原で寝っ転がって星空を見ているような〜 夜の空を感じる。
素朴感があり。

6 ゴリウォーグのケークウォーク
ロジェ盤は、まろやかな音が特徴で、全体的に、ふんわり〜感がある。
リズミカルではあるし、明るいし、陽気さがあるのだが、とことん突き抜けて行かないところもあって〜
確かに、いいんだけどなあ。平均点と言っては、大変失礼なのだが〜 一般受けするんだけど。
なーんか。もうひと味追加して欲しいかなあ。って思ってしまった。
でも、結構、手堅く、透明度もあって、明るい音色が良い。
音の強弱もハッキリしているし、飛んで降りてくる1音にも、柔らかく、煌めきもあり。

柔らかい厚みのある音で奏でられている。映像のように、水に浮かんだ、空中に浮かんだような、抽象的な楽曲ではなく、どちらかというと具象に近い曲なので、ロジェさんの演奏は、ちょっぴり平凡じみて聞こえてしまうんだけど。
ワイセンベルク 1985年
Alexis Weissenberg



録音状態は良い。6曲とも表情づけが濃く、イマジネーション豊かに演奏されている。超高速バージョン、宙に浮いてくるようなモノ、色鮮やかな感覚や恐怖感など、その多彩さに驚かされる。
カップリング:下記のとおり。
ワイセンベルク ドビュッシーピアノ名曲集 亜麻色の髪の乙女〜月の光
1 版画(全3曲)
2 組み合わされたアルペジオ(練習曲集より)
3 ベルガマスク組曲(全4曲)
4 子供の領分(全6曲)
5 亜麻色の髪の乙女(前奏曲第1巻より)
6 喜びの島
7 レントより遅く

1 グラドゥス・アド・パルナッスム博士
はやっ!
「れっみっそっふぁっ らっそっしっら・・・」と、音階をあがっていくスピードに驚くっ。
しっかし精巧なのだ。この「タッタ タッタ タッタ タッタ・・・」
ハース盤のようには、まんなかの音 つまり、「れみそふぁ らそしら・・・」は、綺麗に粒立ち良くは聞こえてこないのだけど、でも、音色はクリスタル。右手の高音域の音は、やっぱ輝いてるんです。
中間での間合い、ゆったりしたところを充分に聴かせて、また、ぱららららら・・・と、降りていくんですな。
前半より、ずーっと後半の部分が綺麗に感じる。
で、後半の力強さには、はあ〜ため息が出ちゃう。太くて、そのくせ豪華に輝いていて強靱なのだ。
で、最後の1音は、ゴンっ。
げっ なんやねん。このだめ押しの様な音・・・。顔が一瞬引きつるのだが、メチャ笑えてしまう。
これが、ワイセンベルクさんらしいところか。ゴージャス感は、あいかわらず健在っ。
2 象の子守歌
「そ〜み そられみ そ〜みれれみみ れ〜そ〜み そそっ」
「そ〜れしらそら〜 しれら〜みれ しらそら れ〜 ららっ」
これ象の鼻歌か。と思うほど、のんびり〜 
重くもなく軽くもなく、むしろ、ぞ〜っとするほど(←洒落じゃない)低音の怖いような響きがある。
池に何かモノを落として、池底を覗いているかのようだ。
シュシュポポと小走りに走るところは、ちょっとしたコミカルさが感じられるものの、なんだか、表情づけがオーバーなんだけどね。でも、カラフルで幻想的。
他の盤だと、変哲もない曲に聞こえるが、ワイセンベルク盤を聴くと、イマジネーションが豊かに広がっていくので、とても嬉しい。

3 人形へのセレナード
「ふぁっど ふぁっど・・・ られっぉそ〜 らそ らそ られ ど〜 みっらっれ〜 みっれ〜」
オルゴールのような響きだけど、ちょっと暗い。軽やかに人形が回って踊っているようにも感じるし、呟いているようにも聞こえる。
「っれ みれ れっ みれ〜」 ちょっぴり壊れているみたいでもあるし、夜、だーれもいないところで踊っている感じもするし。可愛いというよりは、悲しそう。人形が、自分自身を慰めるために歌っているようにも聞こえる。ワイセンベルク盤は、表情づけが豊かなので、勝手にイメージしちゃいやすい。

4 雪は踊っている
よくこんな弱音で、テンポ、いやスピードをあげて行けるな〜と感心するほど、速いっ。
「みふぁそら みふぁそら みふぁそら みふぁそら・・・」
「ど れ ど み み み ・・・」 ← みふぁそら みふぁそら パラララ パラララ・・・という伴奏付き。
すごい指が回転している。精巧な機械なんだが、でも表情豊かで、決してマシンではない。
「そみふぁ〜 ふぁ そそみみふぁ〜 ふぁれみ〜 みふぁふぁれれみ」
歌心もあるし、右手の高音域の音色が、めちゃんこ輝いて〜 フレーズから浮きあがってきて光を放つ。
ひぇ〜 こりゃ すごいっ。絶品である。息をのむほど、すげ〜っ。

5 小さな羊飼い
この羊飼いは、宇宙に居るようで〜 無重力の空間に、浮いて生活しているかのように感じちゃう。
そぉ〜 音が宙に浮いて響いているような感じなのだ。これ、驚き。
「ら〜 そふぁみ ふぁみれど どら〜 そふぁみ ふぁみ そみ らそみ〜」
「れっどれみ ふぁみれっど れどれみ ふぁそふぁみれど〜 れみど〜」
ティボーデ盤でも、どことなく宙を浮いているみたいだったのだが、あの盤は、輪郭が明瞭ではなかった。
ワイセンベルク盤は、これ音がクリアーである。でも浮いているんだよなあ。
音が広がっていく、その軌跡が見えるようで〜 はぁ。どうなっとるんじゃ。このピアノの音。
で、この楽曲 不思議な和音が使われているんだよなあ。どこがどう。ってワカランのだが、和風というか大陸的というか、中央アジアの高い標高で生活してて、月に行っちゃうような羊でありましょう。
↑ もう〜 頭がぶっ飛んでる。

6 ゴリウォーグのケークウォーク
「しらっしふぁ しっ らふぁみど〜 らふぁみど らふぁみど どっ」
「ど〜どふぁ どぉ〜どふぁふぁ どぉ〜どふぁ どっふぁふぁ・・・ どしどふぁ どらっふぁど」
冒頭、きらり〜っと光って、バンっと1発叩いて、そこから歌い出す。
刃物をキラリと光らせて、肉をブチ叩いて切っているかのような、激しいタッチなのだ。
黒人のゴリちゃんが、鼻歌を歌いながら、長い刃物をちらつかせながら、吊り下げられた牛を解体しているような感じ。
ギャハぁ。どひゃ〜 顔に斜が入るほど、凄みがあるのだ。
ちょっぴり、狂気を感じちゃうぐらいで・・・これは、思わず引いちゃう。
ジャズや踊りのセンスなんて、ありゃ〜せん。ブンチャチャ。と、ごっつい腕で叩かれて、中間部も、パリジャンのようなハイソな感覚は無い。
ちょっと違うやろぉ〜と思うんだけど、なにせ凄みがありまして、金縛り状態っ。

これは、子供の領分、すっかり超えてるわい。
と思いつつも、これほどの多彩・多才とは〜 絶句である。
よく、作品として録音してくれてていたモノである。感謝〜。で、ワイセンベルクさんがドビュッシーねえ。
あの繊細さは、どう料理されるんだろっと、興味はあったが、予想を遙かに超えて〜 う〜ん。さすがだ。すげっ。最後の曲は、トンデモ盤に近いけれど。いや〜他の曲も含めて、悶えそうなほど絶品っ。
聞き終わって、固まってしまい・・・ブラボーとは直ぐに叫べず・・・
顔を引きつらせながらではあるが〜拍手は惜しまないっ。
この楽曲に適合しているかどうかは、別の議論として〜 この突き抜けにワタシ的には☆5つである。
ジャン=イヴ・ティボーデ 1998年
Jean-Yves Thibaudet



録音状態は、少しくぐもって聞こえる。音が明瞭ではなく、全体的に丸く感じられ、動きが少ない。
ティボーデ ドビュッシー 月の光〜ドビュッシー・ピアノ作品集〜
1 夢
2 2つのアラベスク(全2曲)
3 月の光(ベルガマスク組曲より)
4 子供の領分(全6曲)
5 前奏曲第1巻(全12曲)
6 レントより遅く

1 グラドゥス・アド・パルナッスム博士
ティボーデさんのピアノは、1曲目の「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」の出だしが速い。
で、草書体的に響く。
ハース盤だと、「れっみっそっふぁっ らっそっしっら・・・」と音階をあがっていくところが、メチャ明瞭なのだが。
(↑ もちろん、れみそふぁ らそしら なーんて簡単な音ではなく、イッパイ音が詰まっている)
この音階風の響きにならず、全部の音の区別が明瞭ではなく、全て「ぱらら ら〜」で終わっちゃって。
はれ? 最初、何の曲を弾いているのやら、さっぱりわからなかった。
パルナッソス山への階段とかハシゴ、なーんて言わることもあるぐらい、いや違った、クレメンティの教本、指の練習じゃーないの? まっ いいか。もう練習段階は終わって、有名なピアニストだもんね。
ティボーデ盤を聴いてから、ハース盤を聞き直すと、目から鱗、目から火花が散るほど、明解だとわかる。

2 象の子守歌〜 3 人形へのセレナード
ぼや〜っとした低音の響きが、象って感じがしない。
「そみ そられみ そ〜み れれみみ・・・ららっ」「そみ そみ そみ そられみそ〜みれれ みれみ」
いや、これは象を表したモノではないのかも。音の響きが全体的に丸い。
人形へのセレナードは、速いような気がするのだが、あまり跳ねてないので、ぼよ〜ん。として聞こえる。

4 雪は踊っている
ほわ〜っとした淡雪的な雰囲気で、暖かい。この曲は、かなり幻想的に聞こえてくる。
「みふぁそら みふぁそら みふぁそら みふぁそら・・・」
響きが交差してきて、タララ タララ タララ・・・と余韻を残しているし、踊るというよりは、囁いているような気配がする。右手が、タタタタ・・・と踊る雰囲気もあるにはあるけれど、雪の結晶が、細かく動いているような感じ。全体的に、小さく、こぢんまりしてて〜 
外に広がるような気配や、風景描写でもないようで。よくワカラナイ。

5 小さな羊飼い
「ら〜 そふぁみ ふぁみれど どら〜 そふぁみ ふぁみ そみ らそみ〜」
「れっどれみ ふぁみれっど れどれみ ふぁそふぁみれど〜 れみど〜」
夢の世界のようで、ほんわか〜している。リアル感がないので、絵本の世界でもイメージされているのだろうか。どことなく宙を浮いているみたいで、輪郭が明瞭ではない。
う〜ん。幻影的というか、夢の世界というか、いや。やっぱ幻的。
ティボーデ盤を聴いていると、羊飼いが、どうしているとか、こうしているとか、なーんもなくて、もちろん、羊飼いがどう思っているとか関係ないみたいだ。
いや、この5曲目だけでなかく、雪も、人形も、象も・・・ とにかく、動いているとか、生きているとかが、感じられない。ぴたっと止まった、動きの感じられない世界だ。

6 ゴリウォーグのケークウォーク
さすがに、この最後の曲になると動く。
「しらっ しっふぁ しっ らふぁみど〜 らふぁみど らふぁみど どっ」
「どふぁ どっふぁふぁ どふぁ どっふぁふぁ・・・ どしどふぁ どらっふぁど」
響きはソフトで、運動機能がイマイチ。
どことなく。ギクシャクしているというか、動きが突然止まりかけて、あへっ。
とにかく6曲目最後って感じの、インパクト感が少なくって、響きが平たいって感じというか、なよってしている感じがする。
私的には、もっと快活感が欲しいんだけど、倦怠期風というか、場末風って感じがしないでもない。
でも、フランソワ盤のような軽妙なタッチでもないし。う〜ん、難しいなあ。カエルが鳴いているような、「ぐえっ ふぁ ぐえっ ふぁ・・・」に、聞こえてしまうし。
私的には、う〜ん。イマイチっ。だるい。5曲目までは静的なアプローチでも良いと思うんだけど、最後は、もっと機敏に動いて欲しいような気がする。そうでないと〜粋に感じないんだけど。
いずれもしても、インパクトの少ない演奏だ。期待していたのに・・・ ぶーっ。
マルティノン フランス国立放送管弦楽団 1973年〜74年
Jean Martinon
Orchestre philharmonique de Radio France



録音状態は良い。極めてクリアーで、色彩的で甘美だ。描き方は、くっきりしているのだが、上質な甘さが感じられる。
ドビュッシー・ラヴェル管弦楽全集8枚組BOX
管弦楽曲版

子供の領分(原題:Children's Corner)は、ドビュッシーのピアノのための組曲(6つの小品を集めた組曲)だ。
1908年にピアノの曲として発表されており、娘のエマのために作曲されたとされているのだが、その後、1911年に、アンドレ・カプレが、オケ用に編曲している。で、今日、聴いたのは、この管弦楽曲版である。
マルティノン盤は、とても録音状態が良く、明瞭に響いている。
柔らかい木管の響きが聞こえてくるし、オケの分離状態が良く、気持ち良いほど明るくて色彩的だ。

ここで、ちょっと「子供の領分」について、ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると

第1曲 「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」 (Doctor Gradus ad Parnassum)
クレメンティの練習曲集「グラドゥス・アド・パルナッスム」(パルナッスム山への階梯)のパロディである。
練習曲に挑戦する子供(← ドビュッシーの愛娘エマ ニックネーム:シュシュ)の姿を生き生きと描いたものとされる。
退屈な練習に閉口する子供の心理を表現した曲で、ドビュッシーは、モデラートで始まり、スピリトーゾで終わるこの曲を「毎朝朝食前に弾くべき曲」としています。

第2曲 「象の子守歌」 (Jumbo's Lullaby)
5音音階による旋律と、2度の和音が異国情緒を掻き立てる曲です。

第3曲 「人形へのセレナード」 (Serenade of the Doll)
「人形のセレナード」とも言われるが、この曲集で最も早く作曲され、1906年には単独で出版されています。五音音階の主題に基づいています。

第4曲 「雪は踊っている」 (The Snow is Dancin)
静かに降る雪を、窓辺で飽きることなくじっと眺めている子供たちの情景を描いたもの。
ゆっくり舞い降りてきた雪の妖精が、地表を白いビロードで覆う様を表現したトッカータ。ドビュッシーは、イギリスの妖精を題材としたアーサー・ラッカムのイラストレーションから、インスピレーションを得たといいます。

第5曲 「小さな羊飼い」 The Little Shepherd
三部形式で、付点リズムの単旋律が静かに歌われる曲です。

第6曲 「ゴリウォーグのケークウォーク」 (Golliwogg's Cakewalk)
この曲集の中で、一番有名な曲です。ゴリウォーグとは、フローレンス・アップトン(Florence Upton)の絵本に登場する黒人の男の子人形のキャラクターの名前です。
ケークウォークは黒人のダンスの一種とのこと。ケークウォークの中間部では、ワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」の冒頭部分が引用されています。


ピアノ曲が管弦楽曲に変わると、どこか、軽音楽ぽくなっているような気もするが〜 いやいや、この軽妙さが、この楽曲に合っているかもしれない。
グラドゥス・アド・パルナッスム博士では、クラリネットの明るくて伸びやかな音色が特徴的だし、やっぱり色彩的にカラフル。
ドビュッシーの楽曲というより、ラヴェルのようにも聞こえちゃって、ちょっと微笑ましい。
まあ、本来は、スケールの練習曲で、イヤイヤ、モタモタ弾いているって風情なのだろうが、ここでは、快速だもん。
あっはは・・・ ちょっと趣旨が違うのかもしれないが、でも、とっても素敵な曲に仕上がっている。
これを、モタモタ、クラリネットでやられちゃうと、ずっこけてしまうかも。

「象の子守歌」は、低音なのだが、ん? これは、コントラバスの音なんだろうなあ。
「人形へのセレナード」は、中国風の音楽に聞こえるが、弦のピチカートの響きが、とても美しい。「れみ れみ らっれっ そぉ〜」 とても細やかな響きで、充満してくるので嬉しい。

「雪は踊っている」という曲も、弦の響きとなると、ピアノとは打って変わる。多分ハープが入っているのだと思うが、マンドリンの響きのような音も聞こえるんだけど・・・。
サラサラした粉雪が舞うっているという冬の光景というよりも、管弦楽曲で聴くと、まるで、南欧の夕暮れ時のような気がする。モノトーンの世界ではなく、ホント、カラフルなんだもん。
暖かい空気感があり、ノスタルジックで美しい。

「小さな羊飼い」にもおいても、木管が大活躍しており、オーボエのソロが、郷愁を誘う。
また、日本の稲刈りの後、山間に沈みゆく夕陽って感じの光景で〜 おお、これは、日本の風景じゃん。と、勝手に思ってしまったのだが、多分、五音階の楽曲が続いたからのだろう。

「ゴリウォーグのケークウォーク」は、とっても軽快な楽曲で、うふふっ。ジャズっぽいのだ。これは凄い。
スウィングできちゃう楽曲となっており、まるで、アメリカじゃん。
そうですねえ、ホント、軽音楽の世界のようになっているが、これをフランスのオケが奏でているわけで、リズミカルだ。
タメ感は、さすがに本場のジャズのようにはいかないが、まったりとした雰囲気を持ってて、それでいて、シャンシャンっと鳴っているところは、さすがに巧い。
ピアノ曲バージョンも、そりゃ楽しいが、管弦楽版は、ノリノリで〜とても楽しめちゃう。
ドビュッシー自身が、この編曲を気に入っていたのか、どうかは知らないが、ワタシたちには、親しめて、すっと受け入れられる今にも通じる新しさを感じる。
1961年 ウェルナー・ハース Ph ★★★★
1968年 フランソワ EMI  
1971年 ミケランジェリ  
1979年 ベロフ EMI ★★★
1979年 パスカル・ロジェ Dec ★★★★
1984年 ルヴィエ De  
1985年 ワイセンベルク ★★★★★
1998年 ティボーデ Dec ★★★
管弦楽曲版      
1973年〜74年 マルティノン フランス国立放送管弦楽団  EMI ★★★★★
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「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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