「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ドビュッシー 版画
Debussy
: Estampes


ドビュッシーの「版画」(Estampes)は、1903年の作品です。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると

1 塔(パゴダ) Pagodes
ガムラン音楽の影響も見られるものの、ペンタトニックを用いてインドシナの民族音楽を模倣しており、アジアを暗示しているもの。

2 グラナダの夕べ Soirée dans Grenade
グラナダの夕べは、ギターの掻き鳴らしの模倣と、アラビア音階(マカーム)の利用によって、スペイン情緒を掻き立てているもの。ファリャは、1小節たりともスペイン民謡から借用されていないにもかかわらず、作品全体が、ほとんどの細部において、スペインを見事に描き切っていると評したそうです。

3 雨の庭 Jardins sous la pluie
雨の庭は、「忘れられた映像」第3曲の改作です。
フランスの童謡「もう森になんか行かない」 「眠れ坊や眠れ」 が引用され、フランスの庭園に篠突く雨が描写されているもの。この曲では、半音階、全音音階、長調、短調が混在している。

全部で約13分の小品ですが、「映像」と共に、印象主義音楽のピアノ曲の書法を確立した作品で、3曲で構成されています。インドシナ、スペイン、フランスと各地域を巡るかのように、柔らかく不思議な雰囲気を醸し出しています。
版画というタイトルを何故つけたのか、音楽と絵画の世界を融合しようとする意図があったのでしょうか。
ピアノを弾かないので、技巧のことは解りませんが、いつも、この美しい雰囲気に浸っています。

ユーリ・エゴロフ  1983年
Youri Egorov



録音状態は良い。とても繊細で内省的な演奏だ。3曲とも、小雨が降っているかのような風景がイメージされる。
カップリング:ドビュッシーとショパンを組み合わせた2枚組BOX
カップリング 2枚組BOX (録音年:ドビュッシー1983年、ショパン1982年) 

1〜12  ドビュッシー前奏曲集第1巻
13     ドビュッシー 映像第1集 第1曲水の反映
14     ショパン 幻想曲ヘ短調
15     ショパン バラード第1番ト長調

1〜12  ドビュッシー前奏曲集第2巻
13〜15 ドビュッシー 版画(塔、グラナダの夕べ 雨の庭)
16     ショパン 夜想曲第5番
17     ショパン 夜想曲第8番
18     ショパン 夜想曲第19番
19     ショパン スケルツォ第2番

1曲目の「塔」は、インドネシアのガムラン音楽に影響を受けて作曲したものだという。なんでもパリ万博の時に、接する機会があったのか、この曲は、5音階を主体にして、鐘のぼわ〜んと響く音をイメージしたものらしい。
ガムランは、鍋の蓋のような青銅製の打楽器が、大小たくさん並んでおり、演奏者は座って、木魚を叩く柔らかい棒のようなもので、その鍋の蓋のようなものを叩く。
以前、バリ島に2回ほど遊びに行ったことがあり、ジャワの王宮で演奏を聴いたり、ウブドで、鉄琴のようなモノや竹で作った木琴のようなジェゴグという楽器を聴いて楽しんだことがあるのだが、特に、ガムランの演奏は良く響く。
倍音を楽しむという感じの楽器なので、残響がすごくある。
その残響が、さざめきあい、いろんな波のように重なるので音が濁ったりするのだ。 その濁り具合が、また微妙なのだ。

で、その響きをピアノで模すっていうのは、ちょっと信じられない感じがする。
無理だろう〜って思ってしまうのだ。だって、ピアノの響きは、「うぉん うぉん〜っ」とは、響かない。すぐに響きが静まる楽器だ。
で、エゴロフさんの演奏は、とても繊細で、左手のもわっとした音の響きのうえに、高音域の音が乗っかって、音の響きを表しているようなのだが、う〜ん。
和音の響きが絡み合った〜という感じには、ちょっと聞こえてこなかった。しかし、実際のガムランとは違うのがアタリマエ。
また再現するわけでもないし〜 まあ、ピアノで、その雰囲気を醸し出そうとるのは、すごい挑戦だと思う。
ピアノで弾くとなると・・・ う〜ん。隣りあう音が微妙にずれて鳴らすんだと思うが。こりゃ難しいでしょう。
なーんか、雰囲気はわかるが、今まで聴いたピアノ曲とは、やっぱり違う。

グラナダの夕べは、う〜ん、グラナダと言ったらアルハンブラ宮殿でしょう。
ライオンの形をした小さな噴水や、建物の中庭に作られた長方形の浅い噴水、イスラム様式の鍾乳洞に入ったような天井などが思い出されるが、夕暮れ時には、フラメンコを見てたので、要塞のような宮殿が夕焼けに染まったシーンは、残念ながら、見てないなあ・・・。などと思い出して聴いた。
でも。なーんか、陽炎のようでもあり、小雨が降っているようでもあり、イマイチ。イメージがわからない。

雨の庭は、舞台は、フランスらしいが、う〜ん 曲を聞いていると、結構、雨量が多いらしい。
テンポが速く、リズミカルで、タッチが鋭い。チャーミングなフレーズもある、音量も大きくなる場面があり、キツい雨の降り方やん。と、思ったぐらいで・・・。イマジネーションが、さほど働かなかった。

確かに、ドビュッシーのピアノ曲の進化して、挑戦的になってきているのは、なーんとなく、解るような気がする。
が、まだまだ、いろんな盤を聴いて、解説した本でも読まないと、ワタシの理解は進まない。
3曲目の雨の庭は、旋律が出てくるので、まだわかりやすいが〜 特に、1曲目の塔(パゴダ)は、とっても意欲作なんだろうなあ。旋律という旋律が出てこないというか、横に流れた線を描くのではなく、縦ラインというか、普段使わないような和音のようにも思える。
いやいや、まだ旋律の形態は残っているしな〜とか、どこが特徴的なのだろう〜とか、今までとは違うな〜とは解るが、どこが、どう違うのか、う〜ん 理解が進まないのだ。それに、聴いていると、インドネシア、東南アジアというより、アラビアに近いような気がするんだけど〜っと。変な突っ込みを入れたくなるし。まあ、これからも聴いてみます。
なかなかに難しいっ。楽曲です。

  ミシェル・ベロフ 1996年
Michel Béroff



録音状態は良い。ある一種の明瞭さがあり、一瞬浮かび上がってくるところを見るのが楽しい。
ドビュッシー ピアノ作品全集4
1〜3 版画
4〜9 映像
10〜12 忘れられた映像
13 喜びの島(97年) 14 マスク(仮面)(97年)
ベロフさんの演奏は、力強く、明瞭な線が出てくる演奏で、わかりやすいと言えばわかりやすい。
まあ、もっとも、ぼんやり〜とした雰囲気が好きという方もいるだろうけれど〜。

塔の冒頭の部分は、ぼわ〜っと始まるが、水の精が踊り出したかのようなフレーズが始まると、うえに向かって跳躍する場面は、キラッと輝いてくるし、キラっとさせているフレーズが、部分的にハッキリと出てくる。
全てを繊細で内省的に弾くわけではなく、ウチに籠もるというわけではなく、場面で、がらと変えて、ぴかっと光る一瞬があるのだ。で、その光のあたり方が時間の経過で、微妙に変わる。
キラっとするのが、一瞬であったり、ワンフレーズであったり〜 また穏やかに、まろやかになったり、音の質が変わっていく。
他の演奏家でも、それぞれ個性があって、聞き分けるのは難しい。
けれど、その難しさが面白かったり、聴く時によって受ける印象が変わったりするので、楽しめちゃうように思う。

2曲目のグラナダの夕べは、ちょっぴりラヴェルのような、妖しげな〜 地表から精霊が表れるかのようだ。
ハバネラのリズムは、ゆったりしているが、どこか落ち着かない、アラビア風のフレーズだ。
たぁ〜ん たたん たんたん という重みのあるリズムになってみたり。
慌ただしさ、落日間近の太陽光線が、強いオレンジ色を放つような一瞬を感じる場面もあって、なかなかに楽しい。
「たぁ〜んた たんたん たたんた たんたん」と、揺れるリズムや、16音符なのかな〜ステップするかのようなリズムが交互に出てきたりする。あはっ フラメンコ?

雨の庭は、弾むリズムが、雨が降っているのに、少し楽しげに聞こえてくる。
タッチが柔らかいところと、鋭さが、一枚の布のかなに織り込まれてて、その変化がグラデーションのように見えてくるのが、楽しくもあり、ベロフ盤の、面白さかもしれない。
ドビュッシーの版画は、なかなかに難しい楽曲なので〜 もっともっと同曲異盤で楽しみたいと思う。

1963年 ハース Ph
1963年 フランソワ EMI
1983年 エゴロフ EMI ★★★
1985年 ワイセンベルク  
1986年 ルヴィエ De
1996年 ベロフ De ★★★★
所有盤を整理中です。

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