「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ドビュッシー 前奏曲 第1巻&第2巻
Debussy: Préludes, Book 1,2


ミケランジェリ  1988年
Arturo Benedetti Michelangeli



録音状態は良い。明晰であり幻想的であり、曲のなかで、微妙に変わっていく様が面白いのだが、曲自体が、とっても抽象的になっていて、う〜ん。とってもとっつきづらく難しい。
カップリング:ドビュッシー 前奏曲第2巻

ドビュッシーの前奏曲(プレリュード)は、24曲あるのだが、小品ながら、メチャ難しい曲が集まっている。
今、聴いても、斬新すぎて〜 ついていけない。(泣)
一応、全てにタイトルがあり、雰囲気的には、うん。そうだなあ。そんな感じがするなあ。とは思うものの、どうも煙に巻かれているような、幻想的で、夢幻的な曲が集まっている。 印象派、印象主義って呼ばれるピアノ作品なのだが、もはや形が無くなってて、抽象画の世界に入り込んでしまい、聴き手が、どんな風にイメージしても、自由だよ〜という感じ。
特に、前奏曲は、形がなく、タイトルにとらわれなくても、それはそれで全く差し支えなし。という感じの曲だと思う。

1曲目 「霧」
この霧は、ブルックナーの霧とは、ぜーんぜん違っていて、なんだかぼんやりしてて、「らしどし らしどし」「みふぁみど みふぁみど」「そぉ〜れっ そぉ〜れれ」「そらしら れみみみ そふぁしふぁれ れ〜 れみみ らふぁし それれ〜」
↑ こんな簡単なフレーズではなく、シャープやフラットが、イッパイついている。
アルペジオで、ぱららら〜っと もごもご、低音が、どぉ〜 ぐじゃっ〜 ぼぼぼん〜 という感じになって、音ではなく、ぼよよ〜んとした、質感や重量感を与えるために鳴っている感じがする。
音のとれる音があれば、全く何の音が鳴っているのやら。さっぱりワカランというフレーズもある。
中間部には、長調になって明るくなって、段々と霧が晴れてきたのかな?と 思わせるようになっているが、でも、あれれれ〜 いつのまにかトラックが変わって、違う曲 2曲めの枯れ葉になっているのだ。
う〜 いつのまに終わったんだろ?  あっ そうか。霧は〜いつの間にか、光が射しこんできたために消えちゃったんだねえ。 てな感じだ。(苦笑) 
ミケランジェリさんの演奏は、粒立ちの良いクリスタル性の輝きを持ったピアニストだというイメージがあるが、これがうってかわって〜 霧ですもんねえ。 クリスタル・ガラスってワケにはいかないです。

第2曲 「枯れ葉」
2番目に演奏される「枯れ葉」も、1曲目の霧もそうだが、なんだか暗すぎなんだなあ。
空中に浮かんでいるような感じがせず、どっか、ドロドロに溶けた地中のマグマ風か、秋空の夜、墓場のくらーい雰囲気の中、何か得体の知れないモノが蠢いているみたいで、怖い。
モノクロの世界である。霧も枯れ葉も、ミケランジェリ盤だと、質感が変わらず〜 
妖怪人間登場って感じになっていた。かなり不気味・・・・
ベロフ旧録盤だと、もっと、浮遊感があり、光があったんですけどねえ。

第3曲 「ヴィーノ門」
葡萄酒の門って訳もあるけど、これって、お酒飲み過ぎの、よっぱらい風情なの〜?
サイト放浪していたら、このヴィーノ門っていうのは、スペイン・グラナダ アルハンブラ宮殿内にある、1つの門の音化したものらしい。 「らし ふぁふぁららあ〜 らしぃ〜 ふぁらら〜」
う〜ん、イスラム風って感じの装飾音があるのだが、イマイチなんか重い。
酔っぱらいのオジチャンが、門限に遅刻して、ドンドン叩いてるみたいなフレーズもあるし、キチンとしたフレーズではなく、バラケタ音がちりばめられている。
「ふぁふぁあ ふぁし どどどど ど〜ら れーし どら れし〜」
ホント、硬くて重いし、装飾音が、これがまた重い。まっ 門ですからねえ。石造りだからなあ。
なんて、変に納得したりする。
で、硬いんですけど、気怠さも醸し出されており、光と影というスペイン風というよりは、城壁の門、ドイツにある城壁都市の、堅牢な門って感じなんですよねえ。
明るい音は、最後にでてくるだけで、なんとも変な感じ。
アルハンブラ宮殿には、ワタシ行ったことがあるんだけど、たっくさんアーチ型の門があって〜 どれかワカランですねえ。
赤っぽい煉瓦で、アーチをつくり、壁面にはイスラム紋様がはめ込まれているようですが、まっ 石の組み合わせで、アーチを形作るだけで、えー どう造るの?と、 驚いているぐらいだから、知識的にも怪しい。
馬蹄形をした門ですけど、まっ いずれにしても、ドビュッシーの印象なんでしょうけど、ミケランジェロ盤では、やっぱ重々しい感じです。

第4曲 「妖精は良い踊り子」
えっ 妖精ですか? 踊り子と言うよりは、こざかしい、跳ねっ返り風情なんですけどねえ。
いたづらモノって感じですねえ。
「れどしら れどしら〜 パラパラ〜」
メンデルスゾーンの妖精とはうってかわって、なんとも抽象的すぎて、ついていけない。
確かに、ちょこっとぐらいは可愛いフレーズがあるんですけど、でもやっぱり、可愛らしさが、あまりなくって、「そ〜らふぁれ そ〜らふぁれ〜 パラパラパラ〜」で終わり。
はあ。ジャズっぽい感じもするんですけど。即興的な雰囲気がタップリ。

第5曲 「ヒースの茂る荒れ地」
「ふぁ〜れ どれら どそ〜 ふぁ れ〜  れ〜どれら ど〜れらしら〜」
この曲は、前奏曲2巻のうち、雰囲気がつかめるかなあ。聞きやすいですねえ。
(他の曲に比べれば・・・)
和音の美しさと穏やかさがあって、草原地帯を思わせる。荒れ地とはなっているけれど、ヒースだから、恐らくイングランド北部 スコットランドかなあ。
遠くに目をやると、羊さんたちが草をはんでいるような、可愛いフレーズが続く。
ほっと〜 ほっこり〜 前奏曲の第1巻風で、ドビュッシーらしいという雰囲気の続く、水の精のような雰囲気もあって、荒れ地ではないですねえ。 
「どぉそ〜 ふぁみれど〜 どぉそ〜みふぁそどぉ〜」
ところ どころ〜 聞きやすいフレーズが顔を出しているし、ミケランジェリさんの粒立ちの良い演奏が聴けて嬉しい。

第6曲 「風変わりなラヴィーヌ将軍」
あれれ〜 これどっかで聴いたことがあるんだけど・・ ゴリウォーグだよねえ。
そう、ドビュッシーの「子供の領分」に入っているゴリウォーグのケークウォークの姉妹品らしい。

ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら・・・
ケークウォークとは、黒人の間で発祥したダンスの一種。2拍子の軽快なリズムからなる。19世紀末に南米で興り、20世紀にヨーロッパへもたらされ流行した。またアメリカ南部へ伝播されジャズの起源のひとつともなった。一説にはケーキを賭けて巧さを競い合って踊ったという。
クロード・ドビュッシーはこのダンスを題材にいくつかの曲を書いている。中でも「ゴリウォーグのケークウォーク」は有名。
@ ゴリウォーグのケークウォーク (Golliwogg's Cake-Walk) 組曲「子供の領分」より
A ミンストレルズ (Minstrels)  前奏曲集 第1巻より
B 風変わりなラヴィーヌ将軍 (...général Lavine - excentrique) 前奏曲集 第2巻より
C 小さな黒人(Le petit Negre)  ・・・と書いてあった。

ふむ。結構軽快な曲だし、洒落っけタップリの音楽なんだけど、ミケランジェリ盤では、ちょっと堅苦しいかもしれない。マジメなんだなあ。

第7曲 「月の光がふりそそぐテラス」
う〜ん。第1曲から抽象的な楽曲が続いているので、この第7曲まで来ると、ワタシ的には正直、疲れてくる。ちょっぴり冷たい感じはするが、月というイメージより、水の精っぽい。
で、繊細さも持ち合わせているのだが、結構、豪快な月だなあ〜って感じる。豪快って言葉は、ちょっと違和感があって、マッチングしないかもしれないので、重厚さとでも言おうか。
テラスといえども、そこらに建っているワン・ルームマンション風のテラスではないです。
ピアノの低音域から高音域の音まで、幅広い音が鳴ってくるので、雰囲気的には、堅牢な城のテラスでしょう。って感じ。なんだか。ちょっと偉そうな人が住んでいるお城ですかねえ。
ミケランジェリさんのピアノは、結構、堅牢で頑丈そうな感じと、光の面を、なんだか溶け合って、漂っている感じがする。

第8曲 「オンディーヌ」
この8曲のオンディーヌは有名だし、これぞ水の精なんですが〜
最初はソフトだし、「そしふぁ〜し どそらぁ〜し」というような音らしきモノがあるのだが、もわもわ〜とした、ふわ〜っとした感じがするのだが、「そふぁっれ みっどし ど〜パラパラパラ〜」
しっ しっ パラパラ〜 しふぁ〜 しふぁ〜 みふぁふぁそら らししらそふぁ ふぁみみれ〜と、粒が立ってきてクリアーに変わる。 粒立ちは綺麗なものの、ちょっと硬め。硬質な感じのするオンディーヌで、女性っぽい感じがイマイチしないのだ。ミケランジェリ盤は、ちょっと、きっぱりしすぎるかなあ。
どっかの経済評論家っぽい雰囲気があって、たよりなさげな、儚げな雰囲気は〜 う〜ん。
とれぁ〜っとした、帯が、たらり〜っと結ばれた、怪しげなお姉さんって感じがしないなあ。と思っていたのだが、いやいや、どっこい。クリアーな部分と、ふわ〜っとしている部分が、両面あるのだ。
で、粒立ちが極めて綺麗で〜 ほほぉ。やっぱ、すごい。
クリアーさと、ぼんやりさせた柔らかさが、両方、粒になっていのだ。う〜ん、合わせ技かあ。すごい。
それにしても、ラヴェルのオンディーヌとは、作風が違ってて、ちょっと暗い。和声の知識がないので、どう違うのか。う〜ん。困った。

第9曲 「ピックウィック卿を讃えて」
「そそら ふぁ〜そら ししられぇ〜みふぁそ〜」
ん? どっかで聴いたような気がするんだけど・・・と、何度か繰り返しきいて。あっ!
どっかの国の国歌なんですねえ。ハイ、ユニオンジャックの〜
明るく、ペチャペチャしゃべっているような雰囲気もするし、開放感もあって、そのくせ、オチャメな曲だ。
親しみやすい曲だし、ミケランジェリ盤でも、ふふ オチャメに演奏されている。

第10曲 「カノープ」
「みしれふぁ みられし みしらみ ふぁ ら み〜 れふぁみら れしみみ・・・」
う〜ん、淡い音で綴られた曲で、暖かいけど冷たいような、とても不思議な曲である。
で、ワタシは、この曲好きなのだが、カノープって何? 女性の名前でもないしな〜と、調べてみたら、あらら〜 カノープス カノプスなんですね。 エジプトに旅行して、カイロ博物館に行くと見ることのできる器なんですよ。 ワタシも見ましたねえ。
乳白色の綺麗な器なんですけど、これ臓器を入れて保存する器なんです。
メチャ インパクトのあったのは、向かいあってお風呂に入っていった4人の女性・・・って感じの構図だったカノープスがあったのですが、これ、用途の説明がないと、美しい美術品で終わっちゃいますね。
えっ 内蔵を保存する容器なの!と、驚くと同時に、ぞぞぞぉ〜っとしたのを覚えてます。
ハイ、ミケランジェリさんのピアノは、綺麗すぎ。(笑) 美しい容器のなかに、ミイラの内蔵ねえ〜 それを見た感想かい?
作曲したドビュッシーにも、ぞっぉ〜。とする。
タイトルを教えないで、何かの壷を見た印象の曲です。さて何でしょう?とクイズのように問いかけると、日本人だったら水琴窟って答えそうですねえ。

第11曲 「交代する3度」
細かいフレーズ ふぁそしど れみふぁそ ふぁそら〜
れみふぁみ れみふぁみ しれふぁれ しれふぁれ・・・と細かく音を刻んでいく。
冒頭の4つの音が提示されているが、その音が、シャープやフラットがイッパイついてそうな音で〜
その後は、聴いていると、とっても平明な曲である。
 
第12曲 「花火」
華やかなパチパチっと爆ぜるような音が聞こえてきそうな曲。
細かくフレーズを刻むかと思えば、みっらっみっらっ みっど れっ みっら れっ みられら みらみら・・・
ミケランジェリさんのピアノは、メチャ明晰というか、ハッキリした音で〜 ふぁれっど〜 それっどぉ〜
左手の綺麗な細かいフレーズと、右手の跳ねる音が、ホント綺麗だと思う。
最後は、豪快でにクッキリと描かれていている部分と、抽象的なのに、くっきり鮮やかで〜 
パッと広がる勢いもありながら、内省的だな〜と感じる部分や幻影のように広がる面もあり。
う〜ん。この曲は有名なので、いろんな演奏を聴いてみたい。

総体的には、ミケランジェリさんのピアノは、鮮やかで、明晰で、クッキリした描写と、ぼんやり〜 滑らかな幻想的な面が、いりまじっている。 抽象画を見ているような、ちょっと解りづらい曲が多いなか、印象派のような柔らかさも持っている。
形が無くなり、溶けちゃうような雰囲気でありながら、内部は、1つ1つの転がるような音が、輪郭線のように描かれているような〜  どうも言っていることが、矛盾しているようなのだが〜
1つ1つの要素が、ちゃんと整理されてて、両面合わせもっているような感じがした。

ただ、散文的で、難しい詩を読んでいるような、とっても難しい曲が並んでて〜 ちょっと疲れる。
しかし、片方では、地図を広げると、あちらこちら〜の歴史や風土を取り上げており、異なる印象が、ちりばめられていて、とっても面白い曲でもある。 有名どころのミケランジェリ盤だが、他の演奏家だと、またまた違った印象を受けることは間違いなし。 これは、聞き込んで行きたい曲だな〜と思う。

  ミシェル・ベロフ 1994年
Michel Béroff



録音状態は良い。息の長い、瞑想的な演奏で、聞いているうちに、人魚のように水のなかに漂っている感じがする。
カップリング:ドビュッシー 前奏曲第1巻(全12曲)、スケッチブックから、コンクールの小品、ハイドンをたたえて、かわいい黒人の子供、子供の領分(全4曲)
94年〜96年、ドビュッシー ピアノ作品全集の5枚組BOXもあり。
ベロフさんは、若かりし頃、キュートな髪型をしている頃(70年代)、前奏曲を録音しておられた。
80年代後半、右手を故障されたが、90年代に復活返り咲きを遂げられた。これは、94年に録音されたCDである。
そう、ドビュッシーと言えばベロフでしょ。という感じでもあるし〜 
ドビュッシーのピアノ曲と言えば、前奏曲でしょ〜という感じなので、多くのピアニストがこぞって録音しており、CDも数多く発売されているのだが、実は、ワタシ、あまり、気合いを入れて聴けない曲の代表格なのである。

今、聴いても、斬新すぎて〜 ついていけないことと、イメージを勝手に膨らませて聴けるのだが、知らぬ間に、リラクゼーションの世界にのめり込んでいるというか、ハッキリ、正直に言うと、うとうとして寝てしまう。
または、想像の世界を飛び越え、意識が薄れてしまい、ピアノの音が遠くに聞こえる。という感じになるのである。
まあ、はやい話、いつも集中して聴けてないやん。ということになりがちなのだ。

がっちがちに硬いイメージのするドイツ語やドイツ産の音楽は、縦割り、堅牢な社会を構築していかねば〜という感じがするが、このCDに詰まっている音楽は、全く異なっている。
ぼしょぼしょぼしょ〜っと喋られるフランス語のように、フランス産の音楽は、耳に心地良く、ふわふわ ふわわ〜っと響く。
自由自在に泳げる、水のなかの世界のようだ。
人魚のように、長い時間、海のなかで素潜りでもしているかのような気分になるのだ。
ベロフ盤を聞いていると、陸上で過ごす時間とは違った概念が、別の世界で存在しているかのような時空間を感じる。
どういえばよいのか、う〜ん。
まるで、時間が止まったかのように錯覚を生むような、長い空間というか、長い時間というか。
音と音の間合いが長く、その間、ふわーっと、水のなかで、ぽわぽわ〜っと浮いて、漂っている感じになるからだと思う。

それと、ベロフ盤は、ワタシ的には、小さなギャラリー、街角の画廊で水彩画を拝見しているような感じがする。
ごてごての油絵の大作を見て歩くような肩ぐるしい感じは受けないし、立体的で、バランスの良い大理石で作られた彫刻を見ている風でもないし、何が言いたいのかワカランと即座に言ってしまいそうな抽象画のイメージでもない。
とても親しみの感じられる、さらっと、楽しげに書かれたパステル画とか、水彩画の世界のようで。
それゆえ、BGMのように聞き流してしまうので〜 耳に残らない。

みなさんに誤解を与え、ファンの方には、チョー怒られてしまいそうだが、ワタシにとっては、耳障りにならない、邪魔にならない演奏が好きなのである。それゆえ、感想がとても書きづらいのである。(あー いい加減な・・・ スミマセン)

1963年 ハース Ph
1970年 ベロフ EMI
1982年 ルヴィエ De
1988年 ミケランジェリ 第2巻 ★★★★★
1991年 ツィマーマン
1994年 ベロフ(新録) 第1巻 De ★★★★★
所有盤を整理中です。

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