「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

リスト 超絶技巧練習曲
Liszt: Études d'exécution transcendante S.139


ホルヘ・ボレット 1985年
Jorge Bolet

これもありかっ

録音状態は良い。若手の演奏家と比べると、とっても遅い。
70歳を超えての演奏なので、致し方ないかとは思う。
まるで別の曲を聞いているかのような気がしてくるのだが、素人のワタシには、曲の雰囲気がわかって良いかもしれず・・・ ゆったりとした演奏で聞き込んでみます。 
超絶技巧練習曲(全曲)
ボレットさんの超絶は、メチャ遅い。
ピアノの響きは、とっても美しいのだが、なんで〜というほどに遅め。音の粒立ちは、とても美しく、キラキラしており、 録音状態も良い。音は、クリスタルのように輝いているし、打音の力も強く、とっても魅力的だし、迫力満点だ。

しかし、これは、リストの超絶技巧なのだ。
他の楽曲だったら、ベタボメしていたかもしれないのだが、超絶ですよねえ〜 バカテクで、猛烈に速い 速くなくてはならぬ〜って曲だと思っているものだから、 あれれ? 調子狂っちゃう。

だが、計算すると、ボレットさんが71歳頃の演奏なのである。
それなのに、これだけの強い打音で、迫力が満点で、明晰な響きを醸し出しているのだ。
年齢を知って見直しました。ハイ、70過ぎて、これだけクリアーに弾けるってことは、すごいことなんじゃーないかと思う。
それに速いピアノだったら、若い演奏家の他盤でも良いわけで・・・。
この前、気持ちだけ先に行ってて、前につんのめって、指のまわっていないオグドン盤を聴いたのだが崩壊していた。
それに比べると、なんと精緻なことか。
もしかしたら、70歳を超えた自分の力量を考え、究極の選択をして、スピードよりも、表情付けに、より、こだわり抜いた演奏なのかもしれない。そう考えれば、すごい立派な選択ではないだろうか。

で、超絶技巧練習曲は、全12曲ある。
全てを聴いていたら大変なので、とりあえず、超有名な4曲目のマゼッパを聴いてみた。
なんでも3段の譜面になってて、もう1本手がないと、とても弾きこなせないという超難曲だそうだが、ボレット盤で聴くと、音符の全て聞こえてくるような感じで、ど素人のワタシの耳にも、音が綺麗に届いてくる。つまり、全て聞こえる。

他盤では聴いたことのないような、とっても綺麗なフレーズで、素敵な楽曲のように思える。
沈み込んだ時には、さらに、ゆったり弾いており、とてもマゼッパとは思えない。
だって、マゼッパでしょ。管弦楽曲版でよく演奏されている楽曲だ。馬を駆って、猛ダッシュで走って行くというか、英雄マゼッパは、一応、裸で馬に括られて追放される〜ということになっているので、荒々しい荒野を逃げるように、夜、走って行くという疾風怒濤さや苛烈さは、ここにはない。まるで、宮殿での優美なワルツのように演奏されている。

5番の鬼火も、細やかに動いてはいるが、他盤に比べると、やっぱり遅いし、あまり気持ち悪さ、不気味さはない。
ちなみに、ボレット盤のスピードが、どの程度遅いのか、ベレゾフスキーさんの演奏したCDがあったので、演奏時間を比べてみた。

  ボレット ベレゾフスキー
1  前奏曲(プレリュード) 1:04 0:43
2  無題 モルト・ヴィヴァーチェ 2:56 2:21
3  風景 4:50 4:03
4  マゼッパ 8:55 6:33
5  鬼火 4:32 3:24
6  幻影 6:21 6:52
7  英雄(エロイカ) 5:31 4:31
8  狩り 6:30 5:00
9  回想 10:52 9:25
10 無題 アレグロ・アジタート・モルト 5:30 4:22
11 夕べの調べ 10:42 9:20
12 雪かき 6:07 4:50

う〜ん、やっぱり、かなり差がありますね。まあ、なにも速いのが、是ってわけじゃーないが、遅いことは確かだ。
まあ、リストが、ロマン派の作曲家ということを、再確認させてくれたのかな〜と思うし、遅い盤で聴いて、しっかり聞き込んで、超快速盤を聴いてみた方が良いのかもしれないと思う。
だって、ど素人のワタシでは、超快速盤はツライです。音符が耳に入りすぎて処理できず、目がまわってパンクしちゃうんですもん。
まあ、せっかくの機会なので、ボレット盤を、当面は、これを聞き込んでみます。
そうすれば、曲本来の魅力的な風合いぐらいは、解るかもしれません。(自信はありませんが・・・)


小菅優 2002年
Yu Kosuga

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は極めて良い。鋭くダイナミックに描かれ、スピード感と太い音の響き、繊細に詩情豊かに歌いあげる瑞々しい感性、その両面に、ついつい引き込まれてしまう。楽しげに弾かれているのが伝わってきて、とても嬉しい。
超絶技巧練習曲(全曲)
リスト:超絶技巧練習曲集

1  第1番 ハ長調「前奏曲」
2  第2番 イ短調
3  第3番 ヘ長調「風景」
4  第4番 ニ短調「マゼッパ」
5  第5番 変ロ長調「鬼火」
6  第6番 ト短調「幻影」
7  第7番 変ホ長調「英雄」
8  第8番 ハ短調「狩り」
9  第9番 変イ長調「回想」
10 第10番 ヘ短調
11 第11番 変ニ長調「夕べの調べ」
12 第12番 変ロ短調「雪あらし」

いきなり超快速で、ダイナミックに演奏されて〜 のけぞってしまう。
まあ、超絶の完全盤を演奏して、CDに収めようとするんだから、それだけで相当なテクニシャンであることは、もう間違いがないのだが、それも、CDとして世に問い売る・・・という方は、本当に大変な天才肌なのだと思う。
きっと、若い年齢でないと、指はまわらないだろうし、かといって、テクだけでもダメだろうし、心身共に成熟するって言っても、絶対に難しいっと思う。ピークなんぞ、下り坂になって初めて気づくわけで・・・
ど素人は勝手なことを、いくらでも放言できるが、演奏家さんたちは、悲痛な厳しい世界におられるのだろうと思う。
ハイ、なかなか大変なことだと、ど素人でもわかります。
だから、聴き手もそれなりに、耳を研ぎ澄ませてなきゃーいけないのだと思うが、これだけの曲を、受け止めるには、ちょっと、いやいやかなり、素人には難しいように思う。

で、この全曲盤を収録しておられる方は、意外と少ない。今日、聴いたのは、小菅さんの演奏だ。
確か、知人に凄い演奏があるよ〜とお薦めいただいたと記憶している。
すごくクリアで、ダイナミックなところと、とっても繊細に歌い込まれているところがあり、音が踊り出しているようで嬉しい。
それぞれの曲想に合わせて、楽しげな雰囲気がでているのが伝わってくる。

ワタシ的には、管弦楽曲にもなっている第4曲のマゼッパが好きなのだが〜
序奏部から後の低音部分が、超快速で、驚いてしまった。
左手の波のように押し寄せてくるフレーズが力強く、また、若々しさがあり、間髪入れず力強い打音が、驚異的だ。
交響詩「マゼッパ」を聴いているかのようで、とてもドラマティックで、暴れ馬が走っているかのような荒々しさ、疾走するトルク感があり、唸ってしまう。
しかし、抒情的なシーンに変わると、うってかわって、これが美しく、甘いフレーズが、たっぷりに歌われるのだ。
これには、うっとり〜 この曲だけお聴きするだけで、もう充分に舞い上がってしまいました。

この超絶は、一度に全ては聴けませんっ。だって、凄いパワー、オーラがありすぎて疲れてしまうから。何度かに分けて、聴いていきたいと思います。また、次回は、抒情性の高い第3曲の「風景」や、第9曲の「回想」等を聴いてみましょう。

1974年〜6年 アラウ Ph  
1985年 ホルヘ・ボレット  Dec ★★★
1988年 ウラディーミル・オフチニコフ EMI  
1995年 ベレゾフスキー Tel  
2001年〜2年 大井和郎(初版) 徳間ジャパン  
2002年 小菅優 SC  
所有盤を整理中です。

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