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ラヴェル 水の戯れ
Ravel: ''Jeux d'eau''


ラヴェルの「水の戯れ」(Jeux d'eau)は、パリ音楽院在学中の1901年に作曲され、作曲の師匠であるフォーレに献呈されています。ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると

ホ長調 4/4拍子 曲の構成はソナタ形式です。
七の和音、九の和音、並行和声が多用されており、初演当時、きわめて斬新な響きのする作品だったそうです。
ラヴェルは「テンポ、リズムも一定なのが望ましい」と述べており、楽譜の冒頭に、「水にくすぐられて笑う河神」というアンリ・ド・レニエの詩の一節を題辞として掲げています。

「不協和音に満ちた作品」というサン=サーンスの酷評を招いたそうですが、今日では「水の運動と様態を描いてこれほど見事な作品はあるまい」(三善晃)という評価もあるように、ラヴェルのピアニスティックで精巧な書法が、本格的に開花した作品として、高い評価を得ています。また、ピアノ音楽における印象主義の幕開けを告げた作品として、1903年のドビュッシーの組曲「版画」に先んじていることも特筆すべきことであるとのこと。

リストの「エステ荘の噴水」から影響を受けているとも、ドビュッシーの「映像」第1集第1曲の「水に映る影」(または「水の反映」とも、よく比較されます。
ラヴェルの「水の戯れ」は、噴水のような美しい水の動きを、古典的なソナタ形式を用いて描いているのに対し、ドビュッシーの「水に映る影」は、水そのものよりも「水に映った風物の輝き、ゆらめき」をより自由な形式で描いているとのことです。また、ラヴェルは、組曲「鏡」の第3曲「海原の小舟」、「夜のガスパール」の第1曲「オンディーヌ(水の精)」など、水を題材にしたピアノ曲を残しているので、聞き比べるのも、とても楽しいと思います。
なお、日本語では「水の戯れ」と訳されますが、フランス語原題 "Jeux d'eau" は、通常は噴水のことを指すそうです。

モニク・アース 1968年
Monique Haas

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。丸い音質で柔らかく、ハープのような響きがあって、大変心地よい。
← ラヴェル ピアノ作品全集 モニク・アース 2枚組BOX
68年の録音と、古めかしい録音なのだが、この楽曲に関しては、まったく問題がない。
ちょっぴり、日差しの弱いなか、水の精が、きままに遊んでいるかのような、ふわっとした雰囲気が良く出ていて、軽やかでまろやかだ。
モニク・アースさん(1909年〜87年)は、カサドッシュやR・ゼルキンから学んだという女性ピアニストである。
このCDは、1969年に、フランスACCディスク大賞を受賞している。

冷たい感覚ではなく、つんつんした鋭角な響きではなく、音に弾力があり、ふわっとした感触で、シャボン玉のように丸く、飛んでいきそうな、儚さを持っている。
音に色彩があるとしたら、そうだなあ〜 キラキラ光っているのだが、反射した光とか、間接的に光があたっている感じがするので、柔らかい。どこか、ほっとするような穏やかさがあり、挑戦的な気負いがないので、ふわーっとした心の持ちようというか、身を委ねていくことができる。
すごく柔らかい手触り感の音質なのである。

水の戯れは、わずか5分ぐらいの楽曲だが、水をモチーフにした場面が、いろいろとイメージされる。
水面に光る照度や、流れていくスピードが変わるし、枝分かれて小さな岩にぶち当たっているような音とか、小さな滝を描いているかのような場面もあって〜 すごく楽しい。

分散和音をアルペジオで弾いていくのだが、アース盤で聞くと、ピアノというよりは、まるでハープのような響きに似ているような気がする。弦をつまんでいるかのような残響と、流れるグリッサンド感がある。
最後には、ふわーっと空中に飛沫しながら、水が落ちてくるような感じの旋律がある。
柔らかくて、細い滝のような感覚が、すごい。ものすご〜い 柔らかいグリッサンドで〜 ピアノとは、信じられないような、ふんわり感がある。これぞ、まさしく真夏に聞くにふさわしい楽曲だと・・・(笑)
それにしても、何度聞いても、不思議な和音で綴られた楽曲だ。

楽譜の冒頭には「水にくすぐられて笑う河神」という、アンリ・ド・レニエの詩の一節が書かれているそうだが、聴かせていただくワタシも、涼しくなって気持ちよく、微笑んでしまう。
アース盤は、ホント とびっきり柔らかい音質だ。指のお腹で、柔らかく滑るように奏でられている。
テンポは速いわけでもないが、ワタシ的には、ゆったり聞けるので気に入っている。

音の固さが、場面ごとにかなり変わる。最初は硬めだが、そのうち柔らかくなったり、光の様子が変わっていくし、この変わり方が、とっても自然な感じがする。左が主題を弾いていくなか、右手が素早く動いて〜 装飾音を奏でていくところの粒立ちも、固さが、頃合いのところがあるし。
まあ、 この頃合いっていうのが、とても難しいんですけどね。耳の経験度も高めないと、わからないし〜(笑)

う〜 いずれにしても、この楽曲、ほとんど、聴く人の感性に依るところが大きいので、好みが分かれてしまうかもしれません。もっとクールで、硬質感のある音質が好きな方には、全く向いていないと思う。
ワタシ的には、とっても、女性的で、雰囲気のある、素敵な「水の戯れ」で、パワースポット的に、マイナスイオンを感じたい時に取り出す、お気に入りのCDである。 何度、繰り返して聞いても聞き疲れせず、いつまでも爽やかです。

  セシル・ウーセ 1988年
Cécile Ousset

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。少しボリュームをあげて聴きたい。
カップリング:
1〜8 ラヴェル 高雅にして感傷的な円舞曲(全8曲)
9  ラヴェル 水の戯れ
10 ラヴェル ハイドンの名によるメヌエット
11〜13 ラヴェル ソナチネ
14 ラヴェル 亡き王女のパヴァーヌ
15〜19 鏡(全5曲)
セシル・ウーセさんは、1936年生まれのフランスのピアニストである。
2006年に引退されてしまったのだが、
ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、ロン=ティボー国際コンクール入賞、エリザベート王妃国際音楽コンクール4位入賞、ブゾーニ国際ピアノコンクール入賞、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール優勝など、輝かしい経歴をお持ちである。

水の戯れは、この演奏は、わずか5分28秒と、とても短い。
だが、思わず引き込まれてしまった。
腰は柔らかいのだが、うねりが感じられ、高音域の音も強いタッチではあるが、柔らかく、ふわっとした空気感を巻き込んで、水がほとばしっている感じがする。
キラキラした硬質感のある音ではない。粒が立っているというよりは、ぼかしの手法が使われているというか、曖昧模糊としていながら、どこか芯が感じられて、大きな流れとしての、うねりが見える。
う〜ん うまくいえないのだが、わずかな響きのなかで、色彩の濃淡が感じられる。光の具合は中庸的で、太陽の光線はキツくないし、ぼんやりしている。
水の温度は、生ぬるい感じがする。で、白い水しぶきが感じられるものではなく、4月の下旬から5月初旬の水ぬるむ〜という感じがする。あまり明確に輪郭を際立たせる演奏ではないのだが、カーッとなって、激しく盛り上がっていき、また、ふっと、すっと、思いがけない力の抜ける瞬間があって、ハッとさせられる。
とても新鮮に感じられる演奏でした。


ジャン=イヴ・ティボーデ 1991年
Jean-Yves Thibaudet

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。少しボリュームをあげて聴きたい。
← 2枚組BOX
ラヴェル ピアノ作品全集 ジャン=イヴ・ティボーデ 2枚組BOX

CD1
1 グロテスクなセレナード
2 古風なメヌエット
3 亡き王女のためのパヴァーヌ
4 水の戯れ
5〜7 ソナチネ
8〜12 鏡
CD2
1〜3 夜のガスパール
4 ハイドンの名によるメヌエット
5〜12 優雅で感傷的なワルツ
13 前奏曲
14 ボロディン風に
15 シャブリエ風に
16〜22 クープランの墓

柔らかい響きでありながら、キラキラしており、細かな音が飛び交っている。
また、ふわっとしながら、すばしっこく、速めのテンポで奏でられている。
左手が伴奏風の音で、「ぼわん」と響かせ、そのなかを、右手が、たら らら らら らん たららら らら らんっ。と奏で始める。
この左手のつま弾くような音を聞くと、う〜ん、まるでハープだ。
まるで、ハープとピアノによる○○○・・・って感じの曲に聞こえてくる。

ティボーデ盤では、このピアノの響きは、残響が濁っているのか、ちょっと気になるが、煌めきよりも、水のうねりを感じさせる。また、ラスト近くの途中で出てくるグリッサンドを聴くと、ピアノとは思えないほどに音の粒が細かくて、これまた、美しい響きが出てくるのだ。

息をのむほどの美しい響きがあり、ノリ感もあって、うねりが生じている。
音に重さを感じつつも、軽やかに進み、畳みかけてくるかのようでもあり、前につんのめるかのような勢いを感じる。この水の戯れは、水そのものの描写なのだろうか、ピアノの音を聞いているうちに、水が生物のように感じられ、上流から下流に向けて、自らが水になって、流れに即して、進んでいるかのように錯覚するほど。
ティボーデさんの水の戯れは、オンディーヌのように、人を惑わすかのような、まめかしさと 勢いが感じられる。

1968年 モニク・アース ★★★★★
1988年 セシル・ウーセ EMI ★★★★★
1991年 ジャン=イヴ・ティボーデ Dec ★★★★★
       
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