「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ラヴェル 組曲「クープランの墓」 ピアノ版
Ravel: Le Tombeau de Couperin


モニク・アース 1968年
Monique Haas



録音状態はまずまず。60年代後半なので多少古めかしい。どこか、ハウリングがしているような響きがする。
ラヴェル ピアノ作品全集 CD2枚組BOX
他の曲を聞いた際に、テンポが遅かったので、てっきり、このクープランの墓も遅めだと思い込んでいたのだが、さにあらず。
第1曲目の前奏曲は、快速で〜ぱらら らん ぱらら らんっと進んでいくので、あっけにとられた。
弾き飛ばしてるのかと思ってしまうほどで、16音符が、無窮動のようで素っ気ないほどだ。
装飾音である筈の、ぱららんと言う音が、丸すぎて装飾音のように響かないように思う。
雰囲気は後半になってくると、密やかさが出てくる。
録音状態によるのだろうが、どこか、び〜んっというハウリングのような音が残り、あまりクリアーな感じはしない。

フーガは、音のひとつ、ひとつが、穏やかな語り口ではあるのだが、迷路にはまった感じがする。
ピアノは右手と左手しかないので、2声だが、アース盤で聴くと、その2声すら、旋律感がなくなって。えっ?
フォルラーヌは、キュートだが、控えめで、音の粒が、まぁ〜るい。
たん タランっという、響きが特徴だと思うし、音がつっかえたように出てくるのだが、跳ねた感じがしない。
タランっと、鈴のように鳴って欲しいような装飾音も、どっか、ひしゃげているような感じで、こんなモノなのかなあ。
内省的で、おセンチで、風合いとしては枯れている感じがする。ウチに籠もる感じがする。
この曲は、舞曲じゃーなかったのかなあ。

リゴドンは、出だしこそ、おっ やっと華やかになったかと思ったのだが、たん たら たぁ〜ん タッタッタっ。
もう少しアクセントがついててもよさげだが、音が立ってこない。明るくもないし・・・ ウツウツ・・・
キレが悪く、音が飛び越えて行かない。カラダに脂肪がついて、どこか気怠く重く、最後は、ヨッコラショ・・・と言って終わるかのように聞こえる。
メヌエットは、内省的すぎて〜暗いっ。息も絶え絶え〜という感じがする。
左手の響きが、太い弦が揺れているようで雰囲気は出ている。しかし、最後の高い右手の音は、もはやピアノの音というよりも、キーが埋め込まれた音というか、キーが隣のキーに擦れて落ちたというような、物理的な音しかしない。
はあ? 弦の音がしないんだけどなあ。

トッカータは、たったた たったた と、少しは元気になって、リズミカルに動き回っているのだが、左手は、なんか、もたっとしている感じがする。多彩な音が重なって、細かく動き回っているのだが、そこに、大きな旋律が生まれてくる。
しかし、トッカータというには、少し機敏でもなく、機能性に少し首をかしげたくなってしまった。

ジャン=イヴ・ティボーデ 1991年
Jean-Yves Thibaudet



録音状態は良い。幾分、くぐもった音で、内省的な楽曲は良いのだが、ラヴェルの色彩感からは遠いかもしれない。
「クープランの墓」は、元々は、ピアノ曲だが、管弦楽編の方も有名である。
改めて聴いてみると、やっぱり管弦楽の方が、多彩な表情を見せてくれるので、いいな〜って思ってしまったが、管弦楽編のなかでは、2曲が除外されている。
で、ラヴェルが、第一次世界大戦で亡くなった、知人たちへの思いを込めた作品だと言われており、以下の6つの作品で構成されている。

1 プレリュード(前奏曲)
2 フーガ
3 フォルラーヌ
4 リゴドン
5 メヌエット
6 トッカータ
ちなみに、管弦楽編にした際に、除かれてしまったのは、2番目のフーガと、6番目のトッカータである。

ティボーテさんのラヴェルは、繊細 だが、ちょっとくぐもっており、冒頭のプレリュードでは、なーんかもたついた感じがしないでもない。もっとクリアーな音が立って来て欲しいかなあ。
テンポの速いのは良いのだが、粒立ちが鮮やかではなく、パララ ラララ〜 パララ〜 ラララ〜っとは、綺麗に進んでいかない。どっか、音が、弾き飛ばされて、はしょられている感じがする。
深い音が欲しいな。って感じもするし〜 煌めきも欲しい、まあ。そんな快速に飛ばさなくてもって感じがするのだが、ぽわっと 亡霊が出てきそうな雰囲気もあって面白い。

フーガは、可愛い。「しらっ どらふぁっ しらっ どらどら ふぁそふぁみ らし ど ふぁ どれっ」と、1音増えてテンポがずれるような感覚のフレーズが続く。音の鮮やかさが立ってくるというのではなく、どちらかと言うと、くぐもった響きで、ひとりごち〜って感じだ。内省的で、ふわっとした感覚がある。

フォルラーヌは、特に、このふわっとした雰囲気が良くでてて〜 「みっ らどみ〜 どみど られふぁ っらら そふぁ ふぁっそみ ふぁ〜」というフレーズが、口ごもりながら呟いて出てくる。
引っ込み思案ぽい感じで、翳りがあって、オチャメ風ではないところが特徴かなあ。
沈む音が、夜の怪しさがでており、かと思ったら、「ふぁっどどっ」高い音が鈴のように鳴ってくる。
この楽章は、とってもオシャレで、装飾音が楽しく、面白く、そして残響がほどよく〜残っている。
音が、雨粒が落ちて、水たまりに波紋が広がるように響いてくるのだ。
リゴドンは、「れっみ そどぉ〜 みっみれ どぉ〜  れっみそ どぉ〜 らっそ どっみ〜」と弾んだリズミカルな楽曲だが、まあまあ、くぐもってはいるが、録音のせいかも しれない。
もっと活発でも良いんだけどなあ。と思う。 快活に弾かれているという感じは、あまりしない。
メヌエットは、「み〜れみ み らぁ〜しど し〜ら ふぁそ ら〜 し〜 れぇ〜どし ふぁ〜みふぁど しどら そ〜」と、これは翳りのあるフレーズが続くので、ティボーテさんの音に似合っている。
うつむきがちな、繊細で傷つきそうな、肩を振るわせて、ちょっと泣いてそうな少女のようだ。

トッカータ、「ふぁふぁふぁふぁ・・・ ふぁっみっ ふぁっふぁみっ・・・」と、細かく震える音が繰り出されたあと、
「そぉ〜そら ふぁ〜みれ そぉ〜そら ふぁみれ ふぁ〜ふぁそ みれどっ れっらっどっ」
というフレーズが出てくる。
パカパカという音型が、ずーっと続くなかに、このフレーズが登場するのだが、どっか浮かない顔なのだ。
音が、なーんか沈みがちで、右手の高音域のフレーズが登場すると、煌めきが出てくるのだが、中音域の界隈では、う〜ん。ぷしゅっ〜っと、勢いよりも、もう少し深めの音が聞きたかったかなあ。って思う。
ティボーデさんの音は、ドビュッシー向きなのかなあ。
でも、クープランの墓ってイメージからすると、翳りがあっても良いと思うし、う〜ん。その点、どうだろう。

1968年 モニカ・アース ★★★
1991年 ジャン=イヴ・ティボーデ  Dec ★★★★
所有盤を整理中です。

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