「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

サティ ピアノ作品集 ジムノペディ
Satie : Piano Works "Gymnopédies"


エリック・サティ(Erik Alfred Leslie Satie)は、1866年生まれのフランスの作曲家です。

あまり馴染みがないので、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、
それまでの調性音楽のあり方が膨張していた時代に、西洋音楽の伝統に問題意識を持って作曲し続け、革新的な技法を盛り込んでいった。例えば、若い頃に教会に入り浸っていた影響もあり、教会旋法を自作品に採り込んだのは、彼の偉大な業績の一つである。
そこでは調性は放棄され、和声進行の伝統も無視され、そして、並行音程・並行和音などの対位法における違反進行も書かれた。後にドビュッシーやラヴェルも、旋法を扱うことによって、既存の音楽にはなかった新しい雰囲気を醸し出すことに成功しているが、この大きな潮流は、サティに発するものである。

サティは「音楽界の異端児」「音楽界の変わり者」と称され、西洋音楽に大きな影響を与えたと見なされており、ドビュッシー、ラヴェルも「その多くの作曲技法はサティによって決定づけられたものだ」と公言している。
そして、印象主義の作曲家たちにも影響を与えたとされる。

「六人組」がこぞって信奉したサティも、いくつか新古典主義的な作品を残していることで知られている。ただし、まじめに新古典主義の理念に従ったものでなく、「官僚的なソナチネ」に代表されるように、「まじめな古典派音楽」を茶化したものにほかならない。この意味でサティは、「新古典主義音楽」の典型的作曲家であるとはいえない。
しかしながら、ストラヴィンスキーやヒンデミットの例を引き合いに出すまでもなく、20世紀における新古典主義音楽にパロディ的な性格があることは事実であり、サティは、さしずめそこに先鞭を付けた作曲家であったと言える。とありました。

あっ! だから、不思議な音なんですね。教会旋法もねえ〜 なるほど、やっと、ちょっぴり解った感じ。
それに、6人組の方が、サティの影響を受けていたんだ〜。知らなかったっ!(Wikipedia感謝です)

チッコリーニ 1966年〜71年
Aldo Ciccolini



録音状態はまずまず。チッコリーニは、サティ全集を2回出しており、ワタシが所有しているのは旧録のEMI版の2枚組である。
新録の全集は、83年〜85年頃に録音されており、5枚組でも発売されている。
カップリングは下記のとおり。
意外と、ゆったりと弾かれており、さっぱりしていて〜 輪郭が極めてクリアな感じがする。
ちょっぴり強い打音となっているのが、このチッコリーニ盤である。お酒で例えて言うと、端麗辛口かな。
硬質的でクールで冷たい感じがするので、もわっとした感じの好きな方は、他盤がお薦め。

でも、すっきりした音だが、間合いは充分とられていて、1音の持つ意味あいに含みがあるように感じる。
曲のなかでの間合いが、絶妙で、ふっと力を抜くところと、強く打ち付けるタッチが鋭く、どきり〜とさせられる。
が、これが妙にはまってしまうかも。結構、おもしろい。

サティにしては鋭すぎって感じもするが、音の流れが、クリアーに描かれてシャープで、聴く人によって、かなり印象が変わるし、なんとも言いづらいが、ぼわ〜っとした幻想的な雰囲気がお好みの方には、意外と、冷たく、ひいてしまうかも〜
でも、クールな面も、聞き進むうちに自然に感じられ、端麗辛口のお酒と一緒で、飽きはこないかもしれない。
ワタシ的には、悪魔的な風合いやコミカルな面もあるし、見た目(?)には硬いのだが、ニヤリと笑っているような底意地悪さも感じられて、斜に構えて、ふ〜んと、ニヒルに見られているような演奏だ。
そういう意味では、なかなかのスパイスが効いた、クールで大人の諧謔的な笑いの詰まった演奏かもしれない。

1枚目 (インデックスどおりに表記する)
1〜3  3つのジムノペディ
4〜6  いやな気取り屋の3つのワルツ
7〜9  3つのグノシェンヌ(1〜3)
10〜12 3つのグノシェンヌ(4〜6)
13〜19 梨の形をした3つの小品(4手のための)
20〜22 でぶっちょ木製人形へのスケッチとからかい
23    官能的なソナチネ
24〜26 3つの夜想曲
27〜29 ばら十字教団の最初の思想
30〜32 星の子供たち

2枚目
1〜3  びっくり箱
4〜24  スポーツと気晴らし
25〜27 ひからびた胎児
28〜31 犬のためのしまりのない前奏曲
32〜35 乗馬服を着て
36〜38 不愉快な概要
39〜41 自動的な描写
42〜44 組み立てられた3つの小品
45〜47 はた迷惑な微罪
48〜53 冷たい小品
54〜57 風変わりな美女
58〜60 3つのサラバンド

これだけ楽曲が収録されていると、しっかり聞き込むという風にならず、いつもBGM的に流してしまう〜ところが、難点である。
ジャン・ジョエル・バルビエ、ジャン・ウィエネ 1971年
Jean Joel Barbier  Jean Wiener



録音状態は、まずまず。少し音像がクリアーではなく、残響が少し多めという感じがするので、好みが分かれてしまうかも。2枚組(71曲)も発売されている。ジャケットのデザインは同じで、色使いが少し異なっており、当盤の黄色のところが水色っという違いだけなので購入される場合は気をつけてください。 カップリングは、下記のとおり。
録音状態によるのかもしれないが、音自体が大きく、ずっしり重ために気怠く聞こえる。
そのためか、コミカルな軽快さとか洒脱感を、あまり感じない。日本酒で例えると、黄色くなった大甘口の吟醸酒系という感じだが、音の輪郭が、あまり明確ではなく、指の腹で弾いている感じの柔らかさ。ぬめりがある。

最初は、あまり個性的には感じなかったのに、どこか、客観的と言えば客観的で・・・。
また、ふわっとした感じは好きだが、どこか、丸みを帯びているため、諧謔的ではなく、素直な感じに聞こえた。
そのため、ニヒルさとか、底意地の悪さ、小悪魔的な、悪さをする子供のような感じは、あまりしなかったのだが、聴き進むうちに、う〜ん。さらっと弾いていながら、ふんっ。と、鼻で笑われ、湿っけた、ぬめっとした、うにゅうにゅした蠢き、もぞもぞっとした〜感じがしてきた。う〜ん。何故、そう感じたのか。
ちょっとわからないのだが、楽曲によっては、低音の響きかなあ〜? ぬるっとした感覚が独特で、チッコリーニのドライな感覚とは異なって、面白いかもしれないと思った。

このCDは、1枚モノなのだが、ベスト・コレクションとして、2枚組BOXも発売されている。

サティ ベストコレクション ジャン・ジョエル・バルビエ
1  3つのジムノペディ 1番 「ゆっくりと悩める如く」、2番「ゆっくりと悲しげに」、3番「ゆっくりと厳かに」
2  3つのグノシェンヌ 1番〜3番
3  冷たい小品集 「逃げ出させる歌」「歪んだ踊り」
4  おまえが欲しい(ジュ・トゥ・ヴ)
5  うつろな空想
6  不愉快な概要(4手連弾)
7  ぶよぶよした前奏曲(犬のための) 内奥の声、犬儒学派的(皮肉な)牧歌、犬の歌、友情をもって
8  乾からびた胎児 ナマコの胎児、甲殻類の胎児、柄眼類の胎児
9  古い金貨と古い甲胄 金商人の家(18世紀のベニス)、甲胃の踊り(ギリシア時代)、蛮族サンブリ人の敗北(悪夢)
10 世紀ごとの時間と瞬間の時間  有害な邪魔者、(真昼の)朝の黄昏、花崗岩的な狂乱
11 最後から2番目の思想 「田園相関歌 」、「朝の歌」、「瞑想」

まあ、このタイトルだけを見てもハテナ? で、これ、なんて読むの?という漢字もあり、例えば・・・ 柄眼類って読めます? 「へいがんるい」 ナメクジやカタツムリのようなモノらしいが、ええ〜っ!
専門家にきかないと、さっぱり定義がわかりません。
サティ自身にお訊きしないと、何を表現したのか? ナマコに甲殻類の違いも、その胎児? 幼虫じゃーないの?
まあ、どっちでもいいやん。特に、こだわりはありません。って答えが返ってきそうな気もしますが・・・。
とにかく、こんな気味の悪いタイトルは、普通の人だと、つけませんよねえ。また、イメージしづらい、例え、揶揄なので、結局、自由にイメージを膨らませて聴いてくださいって感じなのでしょう。ありゃりゃ〜

パスカル・ロジェ 1983年
Pascal Rogé

録音状態は良い。柔らかく、ふわ〜っと流れてしまうが、健康的で、淡い雰囲気を持つ。ムードに流されるような感じだけど、それを求めているところもあるし〜
チッコリーニ盤は、硬質的でクールで冷たい感じがするので、雰囲気で聴きたい場合は、ロジェ盤がお薦めかもしれません。
カップリングは下記のとおり。
1〜3 3つのジムノペディ ジムノペディ第1番〜3番
4 おまえが欲しい
5 4つのしまりのない前奏曲(犬のための)内奥の声、犬儒学派的牧歌 、犬の歌、友情をもって
6 あやなす前奏曲
7 4番目の夜想曲
8 古い銀貨と古い鎧 金商人の家(13世紀のヴェニス)、鎧の踊り(ギリシャ時代) 、蛮族サンブリ費との敗北(悪夢)
9 ひからびた胎児 ナマコの胎児、甲殻類の胎児、柄眼類の胎児
10〜15 グノシエンヌ第1番〜6番
16 官僚的なソナチネ
17 ピカデリー

このCDは、昔に買った、サティ:ピアノ作品集〜3つのジムノペディ〜である。
で、ここで、ピアノを弾いているのは、パスカル・ロジェさん。
サティと言えば、ジムノペディが、いちばん有名な曲だと思う。
で、昔、CMで使われていたように思うのだが、ちょっと思い出せない。
青春時代に聴いたような、淡い記憶がなのだが、う〜ん。何のCMだったのだろう。すっかり忘れている んだけど。
ひととき、サティは流行していたように思う。そして、ちょっぴりアンニュイで、アブナイ感じもするが、訳がわからないまま、ぼわ〜っと雰囲気で聴いていたように思う。
今、このCDを聴いても、ランチタイム後の午睡時間帯にもってこいの曲だなあ。と思う。
ふわーっとした生暖かい風に吹かれて、アルコールを傾けるのに、ちょうど良い、倦怠感のある風に聴けるな。と、単にそう思う。

で、改めて、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、次のように書かれていた。

「ジムノペディ」 (Gymnopédies) は、エリック・サティが1888年に作曲したピアノ曲。
第1番から第3番までの3曲で構成され、それぞれに主題があり、
第1番「ゆっくりと悩める如く」、第2番「ゆっくりと悲しげに」、第3番「ゆっくりと厳かに」となっている。
3/4拍子のゆったりとしたテンポ、装飾を排した簡素な曲調、独特の愁いを帯びた旋律が特徴として挙げられ、特に、この曲の第1番がサティの代表的作品として、タイトルとともに知られるようになった。

「ジムノペディ」とは、青少年を大勢集めて全裸にして踊らせて、古代ギリシアのアポロンやバッカスなどの神々をたたえる「ジムノペディア」(古典ギリシア語: Γυμνοπαιδίαι、ギュムノパイディア)」という祭典に、由来しており、サティはこの祭りの様を描いた古代の壺を見て曲想を得たといわれる。
また、一説には彼が愛読してやまなかった、ギュスターヴ・フローベールの「サランボー」から、インスピレーションを得て作曲したとも言われている。・・・とのこと。

えっ。若い青年を全裸にして踊らせて〜 神さまへご奉仕っ?
そのBGMに使われていたのかぁ? ウッソぉ。ワタシの想像とは、かけ離れて〜すごい。エロティックじゃん。 そんな風に短絡的に考えてしまったのだが、どうやら、エロティックなお祭ではなく(その要素も多分にあったかもしれないが)、古代スパルタのスポーツ祭典でもあるらしい。

スパルタ教育とも言われるほど、戦闘的で鍛えあげた戦士をシステム的に輩出した国家、スパルタ。
BC668年頃、運動と武術を表現する体育祭のような祭典で、披露されていたらしきダンスである。
まあ裸体って言えば裸体だが、美を表現するモノでもあったのかもしれない。
古代ギリシャの美意識でもあろうし〜
競技会でもあり、神々を祀る儀式、アポロやヴァッカス、アルテミス神等を讃える儀式なのだろうと思う。
現代社会では、スポーツ競技会っていえば、目的は1つに絞られるかもしれないが、複数の要素を兼ねていたかもしれないなあ。

↓ これが ギュムノパイディア 戦士の踊りって感じのイラストである。
左手に盾、右手に剣を持っていたとおぼしき兵士が、フォークダンスを踊っている感じで、笑えてしまう。
どうやら、ヴァチカン美術館にレプリカのレリーフがあるらしいのだが、詳細はわかりません。スパルタの神殿か、ギリシャの神殿の壁が発掘されて、レリーフが元になっているのかもしれない。(これワタシの推測)

もっとも、これは、想像の範囲を超えないし、サティは、古代の壷に描かれたモノからインスピレーションを受けて作曲したらしいので、なんとも言えないのだが、こうやって調べてみて、ワタシ的には、ちょっぴり、イメージが変わってしまったのである。スパルタ、ギリシャねえ。
サティは、古代に憧れていたのかもなあ。そこが、創造の源だったのかもしれませんねぇ。

さて、パスカル・ロジェ盤は、かなりゆっくりめに演奏されている。
日本酒で例えると、まったり、どっしり甘口系の、とろみ感のある演奏である。 録音状態によるのかもしれないが、明確に響くわけではなく、ぼや〜っと霞がかかったような雰囲気が漂っている。これが雰囲気的によさげなのだが、全部がぼんやりしてて、遅めのテンポで、雰囲気に騙されている感じがしちゃう。
良く売れている盤らしい(ワタシも購入した)が、なんとなく、これがサティか。と、思っちゃいますね。

BGMとして聴くなら良いし、ワタシ的にも、古くから聞いてきた盤なので、何とも言えない。
もう少し、諧謔的で、悪魔的というか、暗さや深さ、ずるさ、怖さという面もあっても良いのかもしれない。
そういう意味では、ぼんやりとした不可思議な感じだけで終わってしまうかも。
ジムノペディだけでなく、他の曲を聴き進むにつれて〜 そういう思いがしちゃった。

でも、夜の世界というより、日曜日の昼下がりに聴くには良いな〜と思う。
ある意味、健康的な演奏で、さらりと流れてしまうが、これはこれで良いと思う。
ワタシは、チッコリーニ盤を聴いてしまうと、何か物足りなさを感じてしまったが、チッコリーニ盤は、ちょっと硬めで理論的すぎるかもしれないし、感覚的でもワタシ的には良いと思う。
うん、ぼわ〜っと自分のアタマのなかで、いろんなことを想像させてくれる余地があって、ワタシは好き。
1966〜71年 アルド・チッコリーニ EMI ★★★★
1971年 ジャン・ジョエル・バルビエ victor ★★★
1976年 高橋悠治 De  
1983年 パスカル・ロジェ Dec ★★★★
所有盤を整理中です。

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