「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

モーツァルト 戴冠ミサ
Mozart: Krönungs Messe K.317


モーツァルトのミサ曲ハ長調「戴冠ミサ」 は、1779年に作曲されたミサ曲第14番で、同年の復活祭の祝日(4月4日)に初演されたそうです。

ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら
「戴冠ミサ」という名称は、かつては、ザルツブルクの北側の丘の上に建設された、教会の聖母戴冠像のために作曲されたことから「戴冠ミサ」の名称がつけられたとの記述があるが、実際に戴冠の儀式が行なわれたのは、6月であるという記述がなされています。その後、「戴冠ミサ」という名称は、1791年、プラハで行なわれたレオポルト2世の戴冠式で、サリエリが指揮して以後に定着されたそう。
第6曲の「アニュス・デイ」でのソプラノ・ソロが、オペラ「フィガロの結婚」の第3幕で、伯爵夫人が歌うアリア「楽しい思い出はどこに」に、よく似ている事でも知られています。独唱4部(ソプラノ、アルト、テノール、バス)、合唱4部、オーボエ2、ホルン2、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、ヴァイオリン2部、チェロ、コントラバス、ファゴット、オルガンの編成です。

基本的には、「キリエ」、「グローリア」、「クレド」、「サンクトゥス」、「アニュス・デイ」のいわゆる「ミサ通常式文」の順序に従っていますが、「サンクトゥス」と「アニュス・デイ」の間に「ベネディクトゥス」を入れて6曲で構成されています。

第1曲 キリエ(あわれみの讃歌)
第2曲 グローリア(栄光の讃歌)
第3曲 クレド(信仰宣言)
第4曲 サンクトゥス(感謝の讃歌)
第5曲 ベネディクトゥス(ほむべきかな)
第6曲 アニュス・デイ(平和の讃歌)

聴き始めたら、あっという間に終わってしまうほど、短い全25分程度の楽曲です。
なんでも、当時のザルツブルクは大司教領だったようで、モーツァルトは、当時の大司教さまコロレード(コロレド)のご要望に応じて、短いながらも華やかで、ぐぐっと詰め込んだコンパクトな楽曲に仕上げたようです。

クーベリック バイエルン放送交響楽団 1973年
Rafael Kubelik
Bavarian Radio Symphony Orchestra

ソプラノ:エディット・マティス Edith Mathis
アルト:ノーマ・プロクター Norma Procter
テノール:ドナルド・グローベ Donad Grobe
バス: ジョン・シャーリー=カーク John Shirley-Quirk
バイエルン放送合唱団

満足っ満足っ

録音状態は良い。筋肉質的に推進力よろしく、サクサクっと演奏される。
華やかな歌声で、まるで歌劇を見ているかのような気分に〜
カップリングは、下記のとおり。

1〜 5 戴冠ミサ ハ長調 K.317 クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団 (73年)
6〜11 雀のミサ ミサ・ブレヴィス ハ長調 K.220(196b) クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団(73年)
12    エクスルターテ・ユビラーテ K.165(158a) ベルンハルト・クレー指揮 シュターツカペレ・ドレスデン(77年)
13    アヴェ・ヴェルム・コルプス K.618  クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団(73年)

クーベリック盤の戴冠ミサは、1 キリエ  2 グローリア  3 クレド  4 サンクトゥス、ベネディクトゥス  5 アニュス・ディに、インデックスで区分されている。

1 キリエ
戴冠ミサは、パワフルかつ、壮大で喜びにあふれている〜という感じのするミサ曲で、通常のミサ曲とは、一線を画していると言えると思う。神妙に頭を垂れて〜というより、派手で堂々としすぎじゃーないの。って感じで驚いてしまうほど。
で、クーベリックさんの演奏は、とっても筋肉質で熱い。
73年の録音なので、いささか録音状態を心配したのだが、なかなか良くって、これでワタシ的には充分すぎるほど充分だと思う。モダン楽器使用だし、古楽器盤とは違って、シンフォニックに響くので、とっても立派っ。さすが戴冠ミサと呼ばれるだけの威厳があるなあ。と思う。
キリエでは、合唱と共に、バックのオーボエの音が、鋭い輪郭線を描いていく。
ソプラノとバスが輪唱のように歌うのだが、おもわず、えっ これはオペラなのかしらん。と錯覚しそうになった。
結構、ビブラートがかかっっているなあとは思いつつ、モダンならではの優美さがあって、歌劇に似た雰囲気があるものの、さらっと転調をして、雰囲気をがらり〜っと変えちゃうところがすごい。

2 グロリア
ここの楽章も、華やかで、立派すぎるほど、いきなり、グローリアっ!と歌いはじめる。
ミサ曲だよなあ。あれまっ・・・とは思うが、お祝いごととして、ドラマティックに歌いあげていくのであれば、これは、これで良いのかな〜とは思う。まあ、ちょっと驚かされるが。
ここのオケのオーボエが、ペタコイ音で少し目立っているが、オケも合唱も交互に、軽妙で、リズミカルに、弾むように、タラン タランっ!と、転がるように3拍子のリズムの語尾を、鋭くうえにあげて、歯切れ良く力強く歌われる。
推進力が抜群にある。

3 クレド
「どっ どれみふぁ そっ! みふぁそら しっ! みふぁそら しっしっらっそっそっ ふぁみれどしっ!」
と、オケは、ティンパニーを伴って、小気味良いほどの推進力で、タタタタ たんっ!というリズムで進んで行く。
お忙しい弦と共に、サクサクと合唱が歌われる。
ぱぁ〜んっと花火が打ち上がっているみたいなフレーズもあるし、あれっ いつの間に転調しているの? 
さりげなく、スケールを変えていたり、不協和音もあったり、いったん静まって緩やかなフレーズで、短調に変わる。
結構、変化があって飽きさせない。クーベリック盤は、弦のカシカシした動きが、とっても魅力的だ。
また、オケと、合唱とソリストとの聞こえ方もバランスが良く、混濁せずに聞こえてくる。

4 サンクトゥス、ベネディクトゥス
コーラスは、最初は平坦にフレーズを歌っていくが、途中でリズムが変わり、たらら らんっ! たらら らんっ!
またスピードアップされて、「どどど どどど みっ みみみ みみみ そっ! しっしし しし しぃ〜どぉっ ふぁ〜みれど」
まあ、小憎たらしいほどに軽快で、単純なくせに、なんで〜こんなに楽しいのだろう。
途中で、テンポを落として、ソロに変わっていたり、最初のフレーズに戻って終わり、うまく構成をまとめている。

5 アニュス・デイ
「そぉ〜そ らぁ〜 そふぁそ れそら しぃ〜 どぉ〜しらし れそし れぇ〜」 
アニュス・ディでのソプラノは、抑え気味なのだろうが、やっぱ、オペラの雰囲気が少し見えちゃうかもしれないが、柔らかく甘く、歌いあげられていく。オペラの愛を語る二重奏のようになっていたり、キリエの部分が再現されて、
「みぃ〜 ふぁれどっ みぃ〜 ふぁれどっ」と、テンポがあがり、盛り上がっておわる。

う〜ん、華やかでテンポ良く、オペラのように歌われるのが、魅力的な要素なんだと思う。
が、オペラじゃーなんだからねえ〜 という言葉が聞こえてきそうで・・・ 一応、ミサだしねえ。勘違いしてるんじゃーないかなあとも思います。ソリストの歌い方に(オペラチックで)癖がありすぎるかも。


コープマン アムステルダム・バロック管弦楽団 1994年
Ton Koopman
Amsterdam Baroque Orchestra
ソプラノ:バルバラ・シュリック Barbara Schlick
アルト:エリーザベト・フォン・マグヌス Elisabeth von Magnus
テノール:ポール・アグニュー Paul Agnew
バス:マタイス・メスダッハ Matthijs Mesdag

これもありかっ

録音状態は良い。スイスイと推進力が良いのだが、ちょっと軽め。カップリングは下記のとおり。
カップリング:
1〜6    モーツァルト ミサ曲ハ長調 戴冠ミサ K.317
7       モーツァルト アヴェ・ヴェルム・コルプス K.618
8〜13   モーツァルト 証聖者の盛儀挽課 ハ長調 K.339
14〜17 モテット エクスルターテ・ユビラーテ(踊れ、喜べ、幸いなる魂よ)K.165

1曲目 キリエ
「どぉ〜〜 どっど みっみ そ れぇ〜 しっし れっれ そぉ〜」
いきなりトゥッティで、豪華に「きりえーっ」と3回歌う。
いかにもシンプルな音なのだが、これが、美しく響くんですよねえ〜 まいっちゃうなあ。モーツァルトって、やっぱ天才だ。
このコープマン盤は、古楽器演奏で、録音状態は良く、残響も適度にある。

もっと、線の細い音が流れてくるのかと聴いたのだが、なかなかに豊かな音が響いており、ニュアンスも細やかで、ふわ〜っとした空気感を持っている。録音は、オランダのウードカルスペル アレマンス教会だということで、この音響効果なのだろう。この演奏で、残響がなければ、メチャクチャ素っ気ないものになっていたかもしれない。
オーボエのフレーズが聞こえて、「みぃ〜 ふぁれどぉ〜 そどれ どぉ〜(そどれ)」
「きぃ〜りり えぇ〜 きぃ〜りり え〜えぇ」」と歌われ、どぉ〜(バンっ)

2曲目 グローリア
「バンっ! ぐろぉーりあぁ」 「どぉ〜 どどどっ どぉ〜どどどっ」
オケの方は、パパンっとティンパニーのキレがあり、タンタ タンっ タンっと、推進力があり、気持ちよさそうに進んで行く。
まあ、それにしても、ティンパニーの音が、バン バンっと叩かれており、金管の破裂音も、ちょっぴり気になる。
「どぉ〜 みっみっそっ」っというところは、たらんっ〜っと滑るような装飾音がついた、独特の小節まわしで、ちょっと気にくわないんですけど・・・。
ホント、合唱の声に神経をいかせたいのだが、耳につきかけると〜
パパパパ バン パパパパ バンっ とティンパニーの音ばっかりが気になるのだ。ちょっとねえ〜

3曲目 クレド
「どっ どれみふぁそっ みふぁそらしっ みふぁそらしぃ〜ら そふぁみれ・・・」
バンっ ババババ バンっというリズミカルさがあるのだが、ちょっと、これって軽すぎませんかねえ。
確かに、ブックレットを拝読していると、速い動きのヴァイオリンの伴奏音型の上に、合唱が繰り広げらたのち、人間の罪を振り返る部分「人間となり、十字架につけられ苦しみを受けて・・・」で、ゆったりとした内省的な重唱となる。
やっぱり、とっても大事なシーンだと思うんですけど、これじゃ、少し軽めかしらん。
独唱者の声は、表情細やかで、豊かだと思うのだが、ゆったりとした〜というところは、思いっきりテンポを遅くしており、急に発作でも起こして倒れたかのようで、ちょっと急ブレーキすぎるかも。
で、「3日目に復活し」というところで元のテンポに戻るんだけど、はあ〜 速すぎっ。
なんだー 息を吹き返したんかぁ〜って感じなのだ。あのぉ〜 これじゃ、コミカルすぎないかしらん。

4曲目 サンクトゥス〜 5曲目 ベネディクトゥス
聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、万軍の神なる王 天と地とはその光栄にみちあふれる。
いと高き天にホザンナ!
主の御名によって来給う御者は、祝されよ。いと高き天にホザンナ!

シンプルだけど、和音の美しさが感じられる楽章だが、たらら ららん たらら らんっ・・・と、ちょっぴり速い。
はあ、このセリフ(典礼文)に、この演奏は、ちょっと軽いかなあ。まあ、推進力はあるし、ティンパニーによって引き締まったメリハリ感はあるし、幸福感も適度にあって良いんですけど〜
「そぉ〜みれどっ そぉ〜みれどっ!」
ベネディクトゥスも、最初の方は、穏やかな重唱があるのだが、いきなり、ぼわん!と爆発するかのようなテンポになって、たらら らん たらら らんっ!と、転がるのだ。

6曲目 アニュス・デイ
「どふぁそ らぁ〜 しぃ〜 らぁ どぉふぁら どぉ〜〜」
ソプラノで、ゆったり、アリアのように歌われる楽章で、大変美しい。
ここは前の楽章のように急がないで、ホント、ゆったり。
「みぃ〜ふぁれ どぉ〜 そどみ みぃ〜ふぁれ どぉ〜」
ラストにはキリエの部分が出てきて、締めくくられる。
「どっどっ みっみっ そっ  みぃ〜ふぁれどっ」 (ドソドソ!)
ラストも、タタタタ タンっ!と叩かれるティンパニーが、すごく目立ってしまうんですけど・・・。メチャ 笑えてしまった。

総体的には、ちょっと軽めの戴冠ミサかな〜と思う。
ここのティンパニーの目立ち方には、不謹慎ながら、少し笑えてしまった。祝祭的なミサっだと思うので、それでも良いと思うが、テンポの設定は、ワタシ的には、速すぎてついていけないかも。
最初の1枚としては、聴きやすいとは思いますが・・・ どうでしょ。


1973年 クーベリック バイエルン放送交響楽団 ★★★★
1993年 ピノック イングリッシュコンサート Ar  
1994年 コープマン アムステルダム・バロック管弦楽団 ★★★★
所有盤を整理中です。

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