「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

プロコフィエフ アレキサンドル・ネフスキー
Prokofiev: Alexander Nevsky


マズア ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 1991年
Kurt Masur
Gewandhausorchester Leipzig
(Leipzig Gewandhaus Orchestra)



メゾ・ソプラノ:キャロライン・ワトキンソン、ラトヴィア合唱団 ライブ盤
録音状態は良い。奥行きもあるし、横も広がって聞こえてくるし、コーラス入りなのに、これがライブ盤とは信じられない感じ。
パカパカ馬の蹄が鳴っているし、銅鑼も入ってくる派手な鳴り物入り楽曲だが、勇壮さもあり土俗性も、まずまず。

プロコフィエフ作曲の「アレキサンドル・ネフスキー」は、元は映画音楽だったものをカンタータにしたもの。
映画も知らないし、カンタータだから、とっつきづらいな〜と思っていたのだが、聴いてみたら意外と聞きやすい。
時代背景が色濃く描かれた作品だが、戦闘シーンが盛りだくさん。いたってシンプルである。
まあ、日本史で言うと、鎌倉幕府や室町幕府のような武士時代を、イメージした方が良いかもしれないが、まっ もっとも、場所はロシアだから 〜 馬に乗っかった騎士軍団のバトルである。
ストーリーがあって、下記のように7つの楽章に分かれている。

1 モンゴル治下のロシア
2 アレクサンドル・ネフスキーの歌
3 プスコフの十字軍
4 起て、ロシアの人々よ
5 氷上の戦い
6 死の原野 メゾソプラノ独唱とオーケストラ
7 アレクサンドルのプスコフ入城

1 モンゴル治下のロシア
冒頭が、すごいコントラバスの弦の響きで、どす黒い音が出てくる。
「れぇ〜〜 みふぁみ〜 れぇ〜〜 みふぁみ〜 れぇ〜〜みふぁみ〜 れぇ〜」
「ふぁーー らしら そどしらそ ふぁ・・・」と、オーボエが吹かれている。
モンゴル時代の圧政に苦しむロシアというイメージを植え付けるような、ホント、びっくりするぐらいの重々しさだ。ヴァイオリンの高音と、コントラバスの腹に響く音。弦の音域の広さと共に、重量を感じて〜
へえ〜 こんなに重いのかと驚かされる。マズア盤は、オーボエとコーラングレの響きが入ってくるのだが、もう少し粘りがあってもよいかも。

2 アレクサンドル・ネフスキーの歌
アレキサンドル・ネフスキーという英雄誕生っ!
まるで宗教音楽のように、清々しい。ハープが入っているのだと思うが、晴れやかに歌われる。
まあ、1曲目と2曲目の曲の変化が、極端で〜 あれれ〜短編小説を読み飛ばしているかのような展開の速さがある。1240年、ネヴァ川でスウェーデン軍を撃破した模様を描いているらしい。

3 プスコフの十字軍
3曲目、これまたブラスの迫力が、すごい。
「れぇっっっ〜 どっどぉ〜〜 れぇええ〜 どっどぉ〜 れみふぁら〜 れぇっ どっっしぃ〜」
「しぃぃ〜 らっそぉ〜」 チューバと太鼓の音がすごい。
プスコフの十字軍って言うのは、どうやらドイツ(ゲルマン)の騎士軍らしい。 映像を見る限り、メチャ、白装束で、十字を持って教会スタイルで祈りを捧げているが〜 なんか、まじめくさってて、変に滑稽だ。
楽曲は、なんとも重くて、腰まで沼につかって歩いているかのような、どぉ〜っとした粘りのある響きだ。
プスコフは、バルト海近くの地方の名前。
後半はコーラスが入ってくるが、悲痛な悲しみで彩られる。
「らぁ〜ららそ そらられ ら〜れみ みれらふぁ〜」
トロンボーンの悲痛な音色と、奥でドロドロ〜と響く大太鼓で、弦が柔らかく、風が吹いているように東洋的なフレーズが流れる。が、なんとも言えない、言葉にならない暗さ がある。
トロンボーンの響きがメインで、大河ドラマを見ているような感じのするBGM風フレーズだ。
これ以上、ダメ押ししないでぉ〜っというぐらい、だめ押し感が強いフレーズが、ずーっと続く。

4 起て、ロシアの人々よ
この楽章は、コーラス入りで、言葉のとおり。戦意高揚って感じのカンタータだ。
映画のなかでは、軍隊が行進している時に流れてくる楽曲だ。

さて、最も有名な楽曲は、5曲目の「氷上の激戦」である。
白装束の十字軍、チュートン騎士団をチュード湖で撃破した模様を描いている。
映画のカメラは、地平線を映し出し、空にはぽっかり雲が浮かぶ。岩に仁王立ちスタイルで立つアレキサンドル・ネフスキー。白十字軍が、馬に乗って走って攻めてくるのだが、その騎士隊が走ってくる状況のところで使われており、映画のコマ送りは、へっ。と思うほど、駒落ちしているみたいで〜 動きがギクシャクしているところもある。でも、もちろんコンピューターでグラフィック処理していないわけで〜
戦闘シーンは、もちろん、人海戦術なのである。

「れみみれ れっら〜」 まるで蒸気機関車の走る様を描いたようなフレーズが、繰り返して流れてくる。
キッシ キッシっと、軋む音や回転する音が、ちょっと機械的すぎるが、まずまずすごい音で〜
まあ、すごい長いシーンである。
重そうな剣を振り回しているだけって感じのする、あまり迫力のないシーンなのだが、はあ。
(今となっては、すごく滑稽なほどシンプルな戦い方なのだ)
氷の上で、馬が滑って転倒するし〜 馬の蹄をイメージする「パカパカ」する音も入っているし〜
しかし、力任せで闘うっていうのも、壮絶な戦いで〜
最後には、斧を取り出して、ガツンっ。と一発撃ち込むというスタイルだ。

ちなみに、1932年に作られた映画を「You Tube」で見たのだが、あまりにも長いっ。
この氷上の激戦がメインなので、ハイライトシーンらしく、結構壮絶だ。
十字軍がバケツ型兜、ネフスキーはソフトクリーム型兜を身につけているし、これが面白くて目を引く。
白い十字軍と、黒い鉄の帷子を身につけたロシア軍が、入り乱れて〜の戦いなので、モノクロだが、結構クリアーに見ることができる。

それに、闘っていても、どこか滑稽さが入っていて、オチャメな場面もある。
あっ もちろん、ロシア語なので、台詞はさっぱり解らないのだが〜 動きはシンプルだ。
興味のある方は、「Александр Невский / Alexander Nevskij」 で、検索してみてください。
↓ リンクを張っておきます。
http://youtu.be/Qnaj12zmBeQ

最後には、一騎打ちで、打ち負かすのだが〜 バケツ型兜が壊れるのは、いひひ〜っ。
ホント、なんじゃーこりゃ。という、娯楽主義の映画っぽい。

6 死人の野 この楽曲は、メゾ・ソプラノで、戦って死んだ人を悼む歌となっている。
7 アレクサンドルのプスコフ入城
これは、映画の最後、英雄を讃える歌で〜 力強く歌われる。2曲目とよく似たフレーズだが、銅鑼がシャーンっと入っている。
「みれどぉ〜ど どれみふぁそ〜」シャーンっ。
マズア盤は、子供の声も入っているようで、勇壮だが未来を感じさせる明るさがある。
聴きどころは、シャンっ〜と鳴る銅鑼だが、もちろん、鉄琴、木琴などのパーカッション。
すばしっこいパーカッションの動きと、コーラスの入った勇壮なフレーズが交錯するところだ。

マズア盤は、録音状態も良いし、ドンドンっ鳴る重低音、ジャーンっと響く銅鑼の音。
ハイ、これはド迫力です。ゲヴァントハウスの音色は重いが、これが良い。
マズア盤は、奥行きも広がりも〜音響は文句なく良い。「Apex」から発売されているが、原盤はテルディック(TELDEC)である。
なかなかの迫力で〜 ぐいぐい〜、ぶっとい音で押しまくる。土俗性もまずまず。もちろんロシア臭いとまでは至らないものの、合唱も、綺麗に入っているし、これだけ鳴ってくれれば良いのではないだろうか。

楽曲自体が、派手だし、とっちらかった楽曲のように感じるが、戦闘メインの映画だしねえ。
38年の白黒の映画の映像を見てみると、冗長すぎて長いし、展開のテンポも現在の映画のようにはいかないが〜 映像を見ると、やっぱり、CDだけ聴いているよりも面白いし、イマジネーションも湧く。
まっ 映画のなかで流れている音楽は、それは貧相そのものだが〜
楽曲は、これから、もっと格好良く演奏できる楽曲だと思う。
カンタータと言うから、どっか、とっつきづらいように感じるが〜 合唱付きの管弦楽として、全く問題ないように思う。
1991年 マズア ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 Tel ★★★★
所有盤を整理中です。

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