「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ウォルトン オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」
Walton: Belshazzar's Feast


プレヴィン ロンドン交響楽団 1972年
André Previn  London Symphony Orchestra
バリトン:ジョン・シャーリー=カーク John Shirley-Quirk
ロンドン交響楽団合唱団

  

録音状態は良い。プレヴィンさんが、EMIに収録した10枚組BOX「グレート・レコーディングス」からの1枚。大スペクタル映画巨編のように、ダイナミックで、劇的要素が高い。最後の開放感は凄くあり、テンション高い。ちょっと大衆すぎるかもしれないんだけどなあ。

この盤は、プレヴィンさんが、2009年に生誕80歳を迎えることを記念に発売された、EMIの10枚組BOXである。タイトルは、「グレート・レコーディングス」となっている。盛りだくさん入ったBOXで、リマスタリングしているのか、結構、録音状態は良い。
この10枚組BOXの7番目のCDに、ウォルトンのベルシャザールの饗宴が収録。
エルガーのエニグマ(謎)、V・ウィリアムズのグリーンスリーヴスによる幻想曲がカップリングされている。
このコーナーで取り上げるウォルトンの「ベルシャザールの饗宴」は、プレヴィンさんが、元々、ハリウッド映画にも縁が深く、アカデミー賞も受賞しているという方であることからか、とっても、ダイナミックに演奏され ている。指揮者にとっても、この作品はうってつけかもしれない。それほど、ピッタリなのだ。
オケもロンドン響だしねえ。出だしの金管は、まるで、攻撃前の威嚇のような吹き方だし、ストレートだ。
コーラスも、凄みもあり、スペクタル映画みたいだ。
ホント、金管を主体とした場面だと、まるでスペクタル映画。

いや題材から言うと〜古代史だから〜 さしずめ、ベン・ハー、アントニーとクレオパトラ、スパルタカスなどの一時期、ハリウッドで流行った歴史物の巨編のようである。今で言うと、グラディエーターとかトロイとか、アレキサンダーみたいなモノだけど、デジタル処理していないアナログ時代の大作って感じがする。
ただし、舞台は古代バビロニアではあるが〜
ホント、最初に聴いたときは、これ、クラシック音楽の範疇からはみ出てるんじゃ〜と思うほど、ど迫力で、ど派手に感じたものだ。

ただし、題材は、旧約聖書「ダニエル書」によるし、神聖なテーマなのだ。
この土地柄、歴史の時代背景、聖書の世界は、未知数だし〜旧約聖書なんぞ読まないので、タジタジなのだが、どうやら、ユダヤ人放浪劇の始まりみたいだ。
詳しくは、専門書でも読んでいただかないと、ワタシには、とても、とても〜解説できる知識はない。
いろんなサイトを放浪すると、口語体で訳された旧約聖書もあり、それを拾い読みしてみたのだが、、、
う〜ん。このストーリーが、まず理解できないと、難しいかなあ。
ホント、さっぱり知識を持ち合わせていないのだが、ユダヤ民族の強制移動、強制大量拉致事件のような、バビロン捕囚が題材になっている。深刻で、今にも続く、大きな民族のテーマである。
でも〜 題材が旧約聖書とはいいつつも、この作品は、オラトリオと言いつつも、マーラーの8番のように、スケールが大きく、大衆っぽさも持ち合わせているようで、とーってもアプローチが難しい。
なかなかに、とっつきづらい、難しい題材である。

ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、バビロン捕囚(バビロンほしゅう)は、新バビロニアの王ネブカドネザル2世により、ユダ王国のユダヤ人たちがバビロンを初めとしたバビロニア地方へ捕虜として連行され移住させられた事件を指す。紀元前 597年、ネブカドネザル王は、エルサレム市街に入城し、住民のうちもっとも有力な若い者をユダヤ人の王エホヤキムとともに殺害し、約3000人の有力者を捕虜としてバビロンに拉致した。 ・・・とあった。

で、タイトルになっている「ベルシャザールの饗宴」だが〜
ベルシャザールとは、新バビロニアの王、ナボニドゥスの息子である。
新バビロニア王国は、バビロニアで勢力を築いたナボポラッサルが、紀元前625年に、アッシリアからバビロンを奪取し建国した国で、
初代 ナボポラッサル → 第2代 ネブカドネザル2世 →
第3代 アメル・マルドゥク → 第4代 ラバシ・マルドゥク → 第5代 ナボニドゥスと続く。
この第5代の王、最後の王ナボニドゥスの息子が、ベルシャザールである。

旧約聖書のダニエル書には、ユダ エホヤキム王の治世3年とあり、バビロン国のネブカデネザル王は、エルサレムを攻めたて、バビロンのシナルという土地に、ユダヤの王と 、神殿から宝物を奪って持ってくるところから始まる。ネブカデネザル王のことが、第4章まで書かれ、第5章になると、ネブカデネザル王から、ベルシャザールに替わっている。

で、この曲のハイライトになっているのは、このベルシャザールが、酒宴を催し、客の前で酒を飲んでいる場面である。
下のレンブラントの絵を見ていただくと、とってもよくわかる。

ベルシャザールが、父王のネブカデネザル王がエルサレムの神殿から奪ってきた金銀の器(酒杯)を持ってこさせ、これでお酒を飲んだ時、突然、壁から人の手が現れ、とある文字を書く。
その壁には、ヘブライ語で「ネメ・ネメ・テケル・ウパルシン(Mene,Mene,Tekel,Upharsin)」と書き記されており、神が、ベルシャザールの治世の終わりを告げる。
まっ、手っ取り早く言うと、その後、王は殺され、バビロン王国が崩壊、ユダヤ民族が解放されるというわけである。
壁に書かれた文字は、神のお告げだったワケだ。

さて、演奏、、、これがダイナミックなのである。
他にも何種類かCDは持っているのだが〜 プレヴィンさんが72年に収録した当盤の演奏が、ワタシのレファレンスになっているので、う〜ん。客観的にはなかなか評価しづらいが、リマスタリングされていて聞きやすく、ホール感もまずまず。演奏も、手慣れた感じがする。
サックスが使われていて、ジャズっぽいフレーズもしっかり聴き取れるし、豪華だし〜。
ホント、ダイナミックで豪快、豪華。

神聖で深いテーマなわりには、どこか、映画音楽っぽい、大衆的な要素も多く含まれているが、まあ、この点が、どう考えるか、聴き手の受け止めてにもよるかもしれない。
ワタシ的には、まあ適度に、柔軟があり、荘厳さも加味されているようにも思えて〜 好ましいかも。
ユダヤ人の解放を喜ぶ気持ちが、結構、デカク取り扱われていて、最後の開放感が凄い。
まっ もっとも、他の盤もそうだが、、、。
演奏より、こりゃ、まずは題材でしょうかねえ。

もっと、時代背景、歴史を知って聴かないとマズイかな。かなり啓示的で、預言の書って感じなんですけどねえ、終末感的な要素も持っているかもしれないし、真剣に聴くと戒め要素もあるしねえ。
そんな単純なモノじゃないんですけど、でも、最後の開放感、盛り上げ、しつこさが〜
プレヴィン盤で聞くと、まるで、ユ○ヤ人讃歌のように聞こえちゃうんですよねえ。
それだけにねえ、なんか、、、ちょっと。でも、やっぱ〜 拍手でしょうかねえ。
プレヴィンさんのCDは、86年にロイヤル・フィルと収録されたCDもあるらしいが、ワタシは未聴である。

アンドリュー・リットン ボーンマス交響楽団 1995年
Andrew Litton
Bournemouth Symphony Orchestra
バリトン:ブリン・ターフェル Bryn Terfel



録音状態は極めて良い。大聖堂で収録されているだけあって、ものすごくホールトーンが豊かで、力強く、荘厳に演奏されている。
躍動感があり、華麗で色彩的、ワクワク感のある壮大な娯楽的要素を含んだ演奏で、取っつきやすい。
カップリング:ウォルトン ベルシャザールの饗宴、ヘンリー5世、戴冠式行進曲

ウォルトンの「ベルシャザールの饗宴」は、マーラーの交響曲8番の「一千人の交響曲」みたいに、すごくスケールが大きい。スペクタル映画を見ているみたいな迫力があり、ストーリー性も豊かなのだ。
でも〜 このストーリーが、よくワカランというのがホンネ。
舞台設定が、古代だし、旧約・新約聖書の物語で、ワタシ的には、ご縁がねえ〜 あまりないため、ピンっと来ないのである。

ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、
「オラトリオ『ベルシャザールの饗宴』〜バリトン独唱、混声合唱とオーケストラのためのカンタータ (Belshazzar's Feast)は、イギリスの作曲家ウィリアム・ウォルトンによる作品。
1931年年にリーズ音楽祭において初演され、それ以来イギリスで最も人気のある合唱曲の一つとなっている。イギリス音楽史における巨大なランドマークとなったこの作品は、独学で作曲を始めた20代のウォルトンによって完成された。
テクストは、旧約聖書と新約聖書のヨハネの黙示録を基に、オズバート・シットウェルが作成した。
当初、BBCに小規模の合唱曲を委嘱されて着手したが、遅筆のウォルトンが作曲に難儀している間に構想が膨らみ、現在知られるような大作に発展した。」ってことになっていた。

えっ オラトリオだと思っていたけど、カンタータ? 宗教音楽ってワケではないのかぁ。と思いつつストーリーを調べてみたら、ふむ。聖書がモチーフになっているが、直接的には、宗教音楽ではないみたい。
で、コーラス部分は、ユダヤ人を代弁しているようだが、これがワカランのである。

再度、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら〜
「合唱とバリトン独唱が、「詩篇 第137番(バビロンの川のほとりに)」にのせて、ユダヤ人の故地シオンについて歌いだす。やがて怒りをこめて、自分たちを捕虜にした相手に向けて、苦い思いを表明する。
物語が始まると、長いゼクエンツにユダヤ人の恐怖や、ベルシャザール王の涜神にたいする、憤懣やる方ない怒りがこめられていく。
その後に仰々しい行進曲が続いて、王と廷臣たちの偶像崇拝が描かれる。
この部分は、下降4音によって区切られる。この音型は繰り返されるうち、オーケストラ全体に次々と受け渡されると、ただちに特徴的な音階やシンコペーションによって、ジャズに影響された部分に突入する。
そこから、節約された管弦楽法によって謎の文字の出現とベルシャザール王の死を描く、薄気味悪い描写につながっていく。ユダヤ人民は自由を喜び合い、大都市バビロンの崩壊を嘆く声に中断されながら、歓喜の合唱を歌う。」とあ った。

はあ。ユダヤ人が強制的に移住させられ、国を失うことになるバビロン捕囚が背景にあるというのが解っただけで、それ以上には〜 ハテナなのだ。よく解らない。
当然、歌われているのが英語だし、語彙については、解りやすいとは言うものの〜
ふ〜む。この壮大なスペクタル調の楽想と、言葉が、ワタシのアタマのなかでは合致しづらいのだ。(笑)
直接的には、その時代が扱われているワケではないと思うが、このウォルトンの曲を聴いていると〜
なんだか、ユダヤ人讃歌のようで〜
それをイギリス人が取り上げて演奏するっていうのも、なーんか。腑に落ちないって感じなんだよなあ。

いずれにしても、壮大に、祝祭的に歌われているような雰囲気があり、吹奏楽の要素がたっぷり含まれているので、映画音楽のような雰囲気があり、大衆娯楽風である。
特に、ブラス部分、オケとは別の部隊が配置されていると思うが、これが放つ音、響き、銅鑼の響き、これがすごい。一種、どっか狂気的ですらあって、テンションがあがるのは間違いない。
まず、冒頭で、勇壮な「どどぉ〜 どぉ〜どぉ〜 どどどど どどどっ」というトランペットの音から始まる。
で、全曲は、10個の章に分かれている。
華麗で、きら星のごとくフレーズが登場するし、飽きさせない。
シンプルに、「ん〜たららっ ん〜たららっ〜」と落ちていくようなフレーズ等、これでもか〜と畳みかけてくるフレーズが、特徴的だ。

アンドリュー・リットン盤は、ウィンチェスター大聖堂で収録されている。
残響がしっかり入っているが、しっかり芯のある音で、誇らしげに、楽天的に、楽しげに演奏されている。
なんだか、時代背景を読んで、あちこちのサイトで囓り読みした、ダニエル書のストーリーとは、ちょっと乖離が激しいんじゃーっと思うぐらい、苦笑いしちゃうぐらいの、ワクワク感のある演奏で〜
これで、良いの?って思うんだけど〜 リットン盤を聴いていると、ハイ、とっても、親しみやすく、活劇風でもあり、大スペクタル映画のような満足感がある。
(え〜 これで良いのかなあ〜)とは、思うんですけどね。いいんでしょう。
これからの時代、マーラーの次世代として、膨らむだけ膨らんだ、娯楽的要素を含んだこのような楽曲も、一方で、流行っていくんだと思うなあ。

追記ですが〜
2012年7月、イギリス・ロンドンで開催された「プロムス Proms」の映像が、You Tubeにあります。
そのなかで、BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団を振った尾高忠明さんの演奏を発見した。
興味のある方は、どうぞご覧下さい。

レンブラント ベルシャザールの饗宴 Rembrandt Belshazzar's Feast

↑ ロンドン ナショナルギャラリー National Gallery
http://www.nationalgallery.org.uk/
 http://www.nationalgallery.org.uk/paintings/rembrandt-belshazzars-feast 


1972年 プレヴィン ロンドン交響楽団 EMI ★★★★
1989年 ロバート・ショウ アトランタ交響楽団 Telarc
1990年 ラトル バーミンガム市交響楽団 EMI
1995年 リットン ボーンマス交響楽団 Dec ★★★★★
2001年 ポール・ダニエル イングリッシュ・ノーザン・フィルハーモニア Naxos
所有盤を整理中です。

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