2月15日。
聖バレンタインデーの次の日。
4人の女の子たちが集まって、お茶をする約束をしていた。
毛利 蘭。
中森 青子。
鈴木 園子。
遠山 和葉。
それぞれにタイプの違う可愛い女の子たち。
4人の表情は、皆、晴れやかだった。
今日の4人の集まりの議題は「聖バレンタインデー」の結果報告だった。
事の始まりは、4人で11日の祝日に集まって、バレンタインのチョコ作りをしたことに起因する。
11日、蘭の家、毛利探偵事務所に集まった少女たちは、それぞれに彼氏へのチョコ作りの練習をしていた。
彼へのチョコは前日にそれぞれが想いをこめて作ることにしていたのだが、うまくいくかどうか皆で集まって試作したのだ。
そこで、チョコの渡し方や、シチュエーションの載った雑誌を見て、盛り上がっていたとき、その記事を見つけたのだ。
”今年のバレンタインデーは、彼氏にチョコと一緒にキスをプレゼントしちゃおう!!”
「・・・・これ・・・しちゃう・・・?」
興味深そうに見つめる園子。
「えええ〜!?無理!!絶対無理だから!!」
顔を真っ赤にした蘭。
「・・・本当にこういうのって喜ぶかなあ〜・・・・?」
雑誌記事を半信半疑に見つめる和葉。
「でも面白そうだよね?あ、でも快斗どういう日か未だ分かってないかも。」
去年のバレンタインを思い出し、渡す自体意味がないかも?と疑問を持ってしまった青子。
「でも!!みんな、去年と違って、今年はちゃーんと「コイビト」なんだよ〜・・・?」
「それは・・・そうだけど。」
「本命にはチョコの他に付加価値をつけるのが当たり前みたいじゃない!!」
ぐっと雑誌を握り締めてそう主張する園子。
「それは・・・そうだけど〜・・・。」
未だ、ためらいが残る蘭。
「付加価値をつけるんやったら彼氏ならではのモノ・・・ってのは・・・いいのかもしれへんなあ・・・。」
流され始めている和葉。
「これをあげたら快斗も分かるよね〜・・・?」
青子はうん、うん。とうなずいた。
「じゃ!!決まり!!今年のバレンタインはこれをすること!!」
「えええ〜!?決まりなの!?」
「それじゃ、次の日に結果報告会せえへん!?」
「そんな!!」
「わ〜、面白そ〜!!」
「蘭、覚悟決めなよ?」
一人わたわたする蘭を置き去りに4人の今年のバレンタインの目標が決められた。
チョコと一緒に、彼氏に「キス」をプレゼントすること。
そうして、それぞれの2月14日を過ごし、翌15日、4人で会って結果報告会を開くことを決めた。
「さーて・・・誰からいこうか?」
園子がわくわくといった風に話を進める。
「青子ちゃん、どうだった?」
「えええ〜!?青子が一番なの!?」
「だって、青子ちゃん、結構、ノリよかったやん!」
「うん、うん!!」
「う〜・・・。」
快斗X青子編。
バレンタインデー当日、青子は快斗用のチョコの最終仕上げに入っていた。
「ふ〜・・・!!ここまでくれば、後は3時間待つだけ!!快斗に電話しよーっと!」
成功の兆しの見えたチョコを前に、上機嫌で青子は携帯を手に快斗を呼び出すべく、コールする。
快斗には、あらかじめ、「今日はどこにも出かけないように。」ときつく言ってある。
快斗はその青子の発言の意図が読めず、随分といぶかしんでいたが。
この間まで、バレンタインデーを知らず、ただ「チョコがもらえる日」としか、認識して無い快斗のことだ。
せっかくの休日、どこにも出られずに待機を言い渡されれば、不機嫌にもなっていることだろう。
青子の予想通り、快斗は随分と不機嫌そうな声で電話に出てきた。
「あ〜・・・・?・・ンだよ?人にどこにも出かけるなっつっといて、電話なんて・・・。」
「うん!あのね、今から3時間後に青子の家に来て!!」
「3時間後・・・・・?」
「そう、3時間後!!」
「なんで・・・3時間後なんだよ・・・?」
きっちりと指定された時間に快斗の声に不機嫌がますます増していた。
「3時間後じゃないと、だめなの!!絶対来て!!遅れちゃ、だめだからね!!」
不機嫌な快斗をよそに、青子は「絶対3時間後」を譲らず、一方的に電話を切ってしまった。
一方的に電話を切られた快斗は疑問が消えず、イライラも増してはいたが、青子に逆らうことなどできる訳もなく、
きっちり3時間後に中森家の前に立っていた。
「いらっしゃーい!!待ってたよ、快斗!!」
「ああ・・・。」
にこにこと自分を招き入れる青子に文句のひとつでも言ってやろうと思っていた快斗はそんな士気もそがれ、素直に家へと上がった。
「はーい!!ここ、ここ!!座って、座って!!」
「あ・・・??」
青子に示されたのは、中森家のダイニングテーブルの一角。
ちょっとよそいきのテーブルクロスにスプーンがひとつ。
テーブルの中央にはちょっとした花まで飾られていた。
青子に勧められるまま、椅子に座る快斗。
青子が何をしたいのかは・・・全く分からなかった。
「ちょっと、待っててね〜!!」
上機嫌の青子がそう言って、キッチンに消えた後も、訳がわからず、首をひねるばかり。
「おまたせ!!どうぞ!」
青子がそういいながら、快斗の目の前にガラスの器を置いた。
薄い茶色の丸い物体。
それがよく冷えているのを示すように、ガラスの器は白い冷気を発している。
丸い物体に刺さった、白いウエハースに、彩をプラスするように飾られたミントの葉。
どこからどう見ても、快斗の目の前にあるものは、チョコレートアイスクリームであった。
「チョコアイス・・・?」
快斗は見たままを素直に口に出した。
「そうだよ〜。バレンタインのチョコ。」
「へ!?」
「バレンタインデーでしょ?今日。だから、青子から快斗へのチョコなの。快斗チョコアイス好きだから、青子作ったんだ!」
「バレンタインデー!!え、作った!?」
「えへへ〜。」
急に告げられた、今日という日。
予想だにしていなかった快斗は目を丸くして、青子を凝視した。
そうして、理解する。
青子が何故、「今日は出かけるな。」と告げたのか。
「アイスってね、出来上がってから、3時間後が一番美味しいの。でもそれがいつ出来上がるかわかんなかったから。」
「それで、3時間後・・・か。」
「うん。あ、食べてみて?」
溶ける前にと青子が快斗に勧める。
「んじゃ、遠慮なく。いただきます。」
手をぱんっとたたき、快斗はスプーンを手に、青子手作りのチョコアイスを口に運んだ。
「ん!!うめえ!!」
「ほんと!?」
快斗のお褒めの言葉に青子は嬉しそうに声を上げる。
「ああ、これ、めちゃめちゃうめえよ!!」
「よかったあ〜!!あ、快斗、一口ちょーだい!」
「あ?」
「味見。青子もしたい。」
あーんと口をあける青子に快斗は呆れたように口を開いた。
「普通、味見って・・・俺が食べる前にするもんじゃねーのか?」
「いいから、ちょーだい!!」
「わーった、わーったよ。ほら!」
快斗は自分の食べていたスプーンにアイスを一口分掬い取り、青子の口へと運ぶ。
青子は快斗が運んでくれたアイスを口へと入れた。
「ん!美味しい!!」
「だろ?」
二カッと笑った快斗はそのまま、もう一口、アイスを掬い、自分の口へと運んだ。
これも・・・キス・・・だよね?
快斗をこっそりみながら約束が果たせたことを確認した。
「ずるーい!!青子ちゃん!!」
「え〜!?だって、キスだもん!!」
「間接キスって〜・・・?」
「うん!!」
「・・・でも快斗君、キスって・・・気付いて無いよね?」
「で、でもキスしたもん!!」
「反則〜!!」
「じゃあ、園子ちゃんはどうだったのよ?」
真X園子編。
「や、やった!!完成〜!!」
園子は鈴木邸の大きなキッチンの一角で完成の歓声を上げた。
目の前には大きなハート型のチョコレート。
凝ったものを作ろうか?とも思ったが、そんなことをして、気付いてくれるほど、敏感な人じゃないことも分かっていた。
だったら、思い切り、ベタなものを作り、あげたほうが分かり易い。
真と付き合いだして、園子が学んだことだった。
去年、思いが通じたときにあげた、同じレシピのチョコレート。
ただし味は違っている。
去年のものは普通のミルクチョコレートだったのに対し、今年のものはセミ・ブラックチョコレート。
あまり、流通の多いものでは無いけれども、甘いものが得意とは言いがたい真のために用意した甘さ控えめの苦いチョコだった。
「真さん、喜んでくれるかな〜・・・?」
ラッピングを完成させて、意気揚々と家を出た。
向かう先は、真が修行している道場。
今日が何の日なのか全く分かっていないであろう堅物な人。
テレやで真面目な性格の彼はだけど、自分をちゃんと見てくれる数少ない人。
好意をはじめて示してくれたとき、嬉しかったけど、素直になれない自分がいたのも本当。
こんなに好きになるなんて思ってなかった。
道場で汗を流す彼に見とれ、じっとその姿を追った。
きっと園子のことさえも意識から消し去って集中しているはず。
でもそんな彼も大好きだと思えた。
彼女の親友が、「でもそういうところも好きなの」と自分勝手な彼氏を庇った時、不思議に思っていた。
何故、擁護するのかが理解出来なかった。
刹那、苦笑いが零れる。
私も、理解出来るじゃない。
夢中になる彼も好きなんだって・・・・。
そんな園子に気付いたのか、動作を止め、彼女のほうへかけてきた。
「園子さん!」
「あ、真さん。もういいの?」
「園子さん、どうなさったんですか?こんなところにまで・・・。」
「真さんの勇姿を見に来たの。」
「え!?」
真は園子の言葉に真っ赤になって固まってしまった。
そんな彼に対して園子はくすりと笑い、チョコの入った箱を目の前に差し出した。
「はい、真さんに。」
「わたし・・にですか?」
「そっ!バレンタインのチョコレート。・・・受け取ってください。」
じっと真の目を見つめ、箱を手に乗せ、差し出した。
「ありがとう・・・ございます。」
照れて、真っ赤な顔のまま、彼はその箱を受け取った。
「あ、あけてみて?」
「はい。」
彼の手が、その性格の通り、丁寧に開けられていく。
「大きな・・・チョコですね。とても嬉しいです。」
「・・・もうひとつ・・・プレゼントがあるの。」
珍しく弱弱しい、園子の声。
声にのみ反応し、園子の声がどういう状態かまでは理解していない様子の真。
「もうひとつ・・・・ですか?」
「うん、え・・っとね。」
僅かに彼の頬に触れた園子の唇。
真はびっくりして園子を見た。
「そっ!!園子さん!?」
「えへへ、成功。こうするのが流行なんだって。・・・チョコ、食べて?」
僅かに赤い園子を見つめ、セミ・ブラックのチョコを食べた。
・・・園子以上に赤い顔のまま・・・・。
「美味しいです、園子さん。」
彼はそう答えるだけで、精一杯だった。
「きゃー!!不意打ちにキスだなんてー!!」
「京極さんのびっくりした顔、なーんか想像出来るな〜・・・。」
「流行って・・・流行やったんや・・・。」
「蘭!!蘭はどうだったのよ!!」
新一X蘭編。
バレンタインデー当日。
新一は未だ帰ってないんだろうなあ・・?と思いながら蘭は工藤邸までの道を歩いていた。
昨日の放課後、かかってきた警察からのヘルプコールで学校を飛び出したまま、何の連絡も無かったからだ。
もともと行事に弱い新一が、今日という日がどういった日なのか分かってないのだろう。
今日も一日、帰ってこないかも知れない。
でも帰ってくるかもしれない・・・との期待を抱いて、荷物を持ち、向かっているのだ。
合鍵で家の中に入ってみるも、未だ家主は居そうになく、シーンと静まりかえっている。
「やっぱり・・未だ・・か。」
蘭は一人ごちて、それでも家に上がりこみ、掃除、洗濯を始める。
夕飯の準備を済ませて、とっておきのプレゼントの用意の準備を整えて、後は愛しい人を待つばかり。
と、丁度タイミングよく、ドアが開く音が聞こえてきた。
「お帰りなさい。」
「あ、蘭。来てたのか。」
「事件は解決したの?」
「あったりまえだろ?スピード解決!あ、良い匂い。今日なに?」
「ポトフにしたの、あったまるよ。用意しておくし、着替えておいでよ。」
「アー・・そうする。」
着替えのために階段を上る新一を見送ったあと、蘭はポトフを温めなおすためにキッチンへと向かった。
ポトフを盛り付けて、夕食の用意をしていく。
全ての準備が整ったところで、新一が降りてきた。
2人きりの、でも楽しい食事の時間。
ゆったり流れる至福の時。
食事が終わり、後片付けも終えたはずなのに、蘭は未だ、キッチンで何かをやっていた。
食事を終えた後、リビングで2人でくつろぐひと時が何よりも好きな新一。
その時間を手にするために、キッチンへとやってきた。
「何・・やってんだ?こんなとこで・・・。」
「ん?もうちょっとで出来るから。」
「・・・何が?」
「何がって・・・・。」
「そういや、なに?この甘い匂い・・・。お菓子でも作ってんの?」
「・・・やっぱり、新一忘れてる〜。」
「何を?」
呆れたような声を出す蘭にそれでも何なのかが皆目見当も付かない新一は首を傾げるばかり。
くすくすと笑いながら出来上がりの合図の音が鳴り響いたオーブンからその甘い匂いのするものを蘭は取り上げた。
茶色いお菓子。
チョコレート・・っぽいよな。
ん?チョコレート・・・?
そこまできて、ようやく新一は気付いた。
「あっ・・・!!」
「気付いた?新一。」
「バレンタインデー・・か!」
「ピンポン。さ!あったかいうちじゃないと美味しくないから、食べて?」
綺麗に盛り付けられたそれは新一が座ったテーブルに置かれた。
ナイフとフォークとともに。
ケーキ・・・??
ともかく、すうっと切り目を入れた。
「え!?」
新一が瞬間、目を丸くする。
切り目を入れたその場所から、あふれ出してくるチョコレートソース。
暖かな湯気が立ち込めていた。
「フォンダンショコラっていうのよ。」
蘭の説明を聞きながら、一口、口に運ぶ。
「去年は食べてくれて嬉しかったけど・・・眠っている間に食べちゃったでしょ?」
ズキリと新一の胸が痛んだ。
去年は「新一」として、蘭の前に立って、チョコを食べられなかった。
だから、眠っている隙を突いて、食べたのだ。
「去年はしょうがないけど、今年まで同じようになるのはいやだったから、確実に目の前で食べてくれるようにしたの。」
「・・・すげーうまいよ、これ。」
「ほんと?よかった〜。」
美味しそうにフォンダンショコラを口に運ぶ新一を見ていた蘭は新一のそばまで寄っていく。
意を決したような蘭は新一の頬についていたチョコソースを自分の唇でぬぐった。
新一は驚いて蘭を見た。
蘭は、これ以上無いくらいに赤い顔で「今日だけ・・・だからね。」と照れ隠しにすねて見せた。
「蘭ちゃんだって、ずるいじゃない〜!!」
「工藤君、絶対気付いてへんよね!!」
「え、で、でも!!すっごい恥ずかしかったんだからね!!」
「らぁ〜ん!新一君、それだけで、終わったの〜・・・??」
「え!?蘭ちゃん、何か続きあるの!?」
「し!知らないわよ!!そんなの!!!!か、和葉ちゃんはどうだったの!?」
平次X和葉編。
「あ〜・・・!!ちょっと遅くなってしもうた〜!!平次ちゃんと居るやろか?」
和葉はやっと完成させたチョコを持って服部家への道のりを急いでいた。
思いのほか、時間が掛かってしまったチョコ。
コイビトとして渡す初めてのチョコだからと思い切り張り切った。
友達との約束事が頭の中を駆け巡り、なかなか眠れ無かったのもおくれたひとつの原因。
どうしよう・・・?メッチャ恥ずかしい・・・・。
でも、コイビトになったっていうのに、平次にアプローチが減ったわけでは無い。
バレンタインのチョコも・・・きっと多いんだろう。
その中のひとつにうずもれさすなんて・・・嫌や。
だったら・・・特別なプレゼントをあげたい・・・・。
「こんにちわー!!」
「あら、いらっしゃい、和葉ちゃん。」
「こんにちわ、おばちゃん。平次、いてる?」
「ああ、部屋におるよ。」
「あれ?おばちゃんでかけるん?」
「買い物にちょっとな。和葉ちゃんはゆっくりしていき。」
「ありがとう、いってらっしゃい!」
買い物に出かける服部の母、静を見送り、平次の部屋へと、階段を上がる。
「平次〜!いてる!?」
「おう。何や?」
平次の部屋を覗き込んで飛び込んでくる、綺麗なラッピングの数々に顔をしかめた。
「平次・・・これ・・・。」
「あ?ああ、なんやくれたんや。」
「そう・・・なんや。」
声のトーンがとたんに低くなってしまう。
沢山のチョコたち。
別に平次を疑うわけじゃない、これが彼の優しさだと知っている。
けど・・・この沢山の中のひとつにされるのは・・・嫌・・・・!!
「和葉・・??どうした?」
下を向いたまま動こうとしない和葉をいぶかしんで平次は覗き込んでくる。
沢山のチョコ・・・にうずもれたくない・・・。
特別なプレゼント・・・・!!
そう思いつめた和葉は行動に移していた。
「平次・・・!!」
少し体をかがめていた平次に抱きつき、唇を重ねる。
「か、和葉!?・・・ど、どないしたんや、急に・・・。」
ようやく離された唇。
何よりも驚いた平次はパニック状態だった。
「せやかて・・平次モテるし・・・沢山のチョコのひとつになるの・・いややってんもん!!」
顔を真っ赤にして、泣き出しそうに大声を上げる和葉を見て、平次がひとつため息を零した。
「アホ!いくらぎょーさんもろてもお前のチョコを沢山のチョコのひとつにするかいな。」
「平次・・・・。」
「んで?和葉のチョコは?」
「これ・・・。」
照れくさそうに、自分の行動を恥じるように、小さな声でそっと小箱を平次に差し出す。
「んじゃ、改めて。」
和葉から受け取って平次が早速あけた。
丸いチョコが数個、入っていた。
「トリュフ・・・なんや。美味しい・・??」
「ん、うまいで。」
「ごめんな、勝手になんか・・・暴走してもーて。」
「ん〜・・?俺は嬉しかったで?」
「へ、平次!!」
慌てる和葉に落ちて来て唇が重なった。
「平次・・・。」
「ありがとうの・・・気持ち。」
「チョコの味・・・したな。」
「きゃー!和葉ちゃん、だいたーん!!」
「でも、分かるなー・・・。私も不安だったもん。新一モテるし・・・・。」
「信じてへんわけじゃ、無いねんけど・・・なんか・・・・。やっぱり不安やってんやろね。」
「うん、うん。」
「うーん、今回は和葉ちゃんが一番進んでたな〜・・・。」
「いやや、もう、恥ずかしいからやめてーな!」
「でも、皆、ちゃんとチョコ渡せてよかったよね。」
「そうやな。」
「うん。これでホワイトデーが愉しみって?」
「やだ、園子ってば!!」
「へへ!」
沢山の恋がさまざまな形で現れるバレンタインデー。
日本じゃ、お菓子業界の陰謀だなんていわれてるけど、女の子にとっては特別な一日に代わりは無い。
大好きな彼に、チョコと一緒にプレゼント。
ちなみにホワイトデーには3倍、5倍返しが常識らしい。
ホワイトデーにどんなプレゼントが返ってくるのかを彼女たちが知るのは、一ヵ月後。