「快斗〜!!おきなさーい!!」
階段下から聞こえてくる母さんの声。
今日がどんな日なのかもわかってる。
今年最初の日。
早く起きてお祝いするんだろ?わかってるよ。
・・・でも昨日、深夜までやってたカウントダウン番組見てて眠いんだ。
頼むしもう少し眠らせてくれ・・・・。
オレはベッドから出もしないで布団に包まっていた。
とたとたとた・・・・・。
不意に聞こえてきたのは階段を登ってくる足音。
母さんが痺れを切らして起こしに来たのか?
やめてくれ〜・・・もう少し眠ってたいんだ・・・・。
オレが愚痴にも似た気持ちで居たのに、部屋のドアはオレの気持ちとは裏腹に開け放たれた。
「快斗〜!!もう!こんな日くらい早く起きれないの!?」
聞こえてきたのは母さんの声じゃなかった。
「ん〜・・・?うっせーな・・アホ子。」
オレはいつもどおりに応え始めた。
「何ですって〜〜!!!早く!!おきなさ〜〜〜〜い!!!バ快斗〜〜〜〜!!!」
「だ〜〜〜!!耳元で大声出すな!!」
いつもどおりに応えたら、青子からもいつもどおりの応えが返ってきた。
青子の声はすげーよく通るから耳元で叫ばれたら余計に響くんだ。
オレはたまらずがばり!と起き上がり、青子の姿を確認することもせずに怒鳴り返してやった。
「あ、起きた?快斗。」
瞬間沸騰した青子は次の瞬間にはもう普通どおりに戻っていた。
だからおれも・・・普通どおりに応えようとして・・・・・。
・・・・・・出来なかった。
青子の姿を見た瞬間・・・・・ホントに言葉を失ってしまい、その場で固まってしまったのだ。
「あけましておめでと、快斗!」
そうぴょこんと頭を下げて、新年の挨拶をオレにした青子は・・・・・
色鮮やかな晴れ着を着ていた。
「青・・・子。お前そのかっ・・・こ・・・・。」
まともにしゃべれているのかさえ、もう解からない。
なのに青子はそんな風にオレが戸惑っているのさえ、気付かずに上機嫌だ。
「えへへ〜vvいいでしょ〜〜〜!?」
青子は快斗の目の前でくるんっと一回りして自分の晴れ姿を披露している。
「叔母さんに着せてもらったんだ〜vv」
気分よさそうににこにこしている。
なん・・・だよ。
青子は普段、カジュアルな格好しかしないから・・・・こんな格好されるとホントに困る。
艶やかな赤い着物は青子にとても似合っていたし、普段の彼女と違い、アップされた髪。
普段隠されているうなじが見えて・・・・ちょっと・・・ヤバイ。
袖をちょんっともって少し照れたようなはにかんだ笑顔を見せる青子に・・・
オレは文字通り、見とれていた。
「ほら、快斗!お祝いしよ!」
「あ、ああ・・・・。」
じーっと見られ、流石に照れくさくなったのか青子はフイッと顔をそらしながらオレの部屋を出て行った。
オレは・・・あいつが部屋をでていってからも・・・・しばらく動けずに居た。
な、何なんだよ・・・・あいつ・・・!!
あんな、あんな格好・・・・。
新年早々、人を驚かせやがって・・・・・!!
不意打ちみたいなマネ・・・・!!
すげー・・・・可愛い・・・・。
「快斗〜!!早くおりてきなさーい!!!」
母さんに大声で叫ばれて漸く意識を取り戻した俺はそれでものそのそと支度をし、部屋を出た。
「あけましておめでとう、快斗。」
「ああ、おめでとう・・・・。」
母さんに新年の挨拶をされても何処か上の空で応えた。
「改めて、おめでとう、快斗!」
「おめでと・・・・。」
青子からの改めての挨拶は・・・直視できないまま・・・・だった。
「はい、じゃあ快斗と青子ちゃんにお年玉ね。」
母さんから渡された今日のお楽しみ。
「うわあ、有難う、おばさま!」
「へへへ、さんきゅー!」
オレはすっかり・・・とはいかなかったがそれでも多少の気は取り戻して。
おせち料理を食べて新年のテレビを見ていた。
「ん、これ上手い。」
おせち料理なんてどれも同じようなものなのにオレの味覚のストライクゾーンにストンと落ちてきたものがあった。
「あら、快斗わかるのかしらね?」
母さんがどこか愉しそうな顔をしている。
コレが・・・なんなんだ?
「それね、青子ちゃん作なのよ。」
「え!?」
「美味しい!?快斗!やったあ〜vv」
青子は食べていた箸を止めてニコニコとしている。
「か、母さん、え?これ青子・・が?」
「今回、一緒におせち料理作ったのよ、青子ちゃんと。成功、ね。青子ちゃん!」
「うん!うれしー!!」
素直に喜び合っている母さんと青子をよそに・・・オレは又戸惑っていた。
また・・・青子に驚かされちまってるよ・・・オレ。
何なんだよ!今年の正月は!!
オレの今年・・・・象徴してるのか・・・??
オレ、今年一年、青子に驚かされて・・・不意打ちくらっていくのか・・・・・??
オレは今年一年を想像して・・・・ちょっとめまいを起こしそうになった。
2005年、明けましておめでとうございます!
旧年中は「Smiling」ともども、お世話になりました。
本年も、マイペースながら頑張って続けていけたらいいなあ・・と思っていますので、
よろしくお願い申し上げます。
お年玉・・・代わり?になるのかなあ・・・?
少しアップが遅れたので、3が日プラス1日。
ってことで1月4日までフリー小説とします。