約束



by東海帝皇



ある金曜日の帝丹高校の昼休み……。



プルルルルル……。

「はい、こちら工藤です。」
『おお、工藤君か。今回も君の助けが欲しいのだが……。』
「ええ、いいですよ。それで……。」

と例の如く目暮警部からの事件の依頼を受ける新一。

「……じゃあ今からそちらに参ります。それでは。」

ピッ!

「新一、また事件の依頼なの?」

と横から彼に尋ねる蘭。

「ああ。」
「色々と大変ね。」
「まあな。けど俺こう言うのはほっとけない性質なんでね。」
「うふっ、そうだったわね。」

微笑む蘭。

「それじゃ俺、今日も早退すっけど、後の授業の事は頼んだぜ。」
「うん、任せといてよ♪」

とウィンクする蘭。

「じゃあな。」

蘭のウィンクの見送りを受けた新一は、勢いよく飛び出して言った。



「ふー、やれやれ。アンタのダンナって相変わらずよねえ。」

とちょっぴり呆れ顔な園子。

「まあ、良いじゃないの、別に。あれこそが新一の新一たる所以なんだから。」
「まあ、確かにそうよねー。もっとも、新一君からああいう性質を取ったら、ただの気障(キザ)なサッカー好きに成り下がるのも事実だし。」
「成り下がるって、アンタね……。」

と蘭はジト目で呆れていた。



  ☆☆☆



夕方……。


「さーてと、材料も買ったし、早く夕食の用意をしないと……。」

と言いながら自宅の事務所前に帰りついた蘭。
が、ふと、

「それにしても新一、ちゃんと事件を解決する事が出来たのかしら……。」

と何気に蘭が思っていると、

「よう、蘭。」
「えっ、あっ、新一!」
「何だ、蘭。急に驚いたような顔して?」
「当たり前じゃないの!急に後ろから声をかけられたら、誰だって驚くわよ!」
「ハハハ、そりゃすまねー。」
「所で事件の方は?」
「ああ、それだったらバッチシ片付けてきたぜ。けど今回はちと面倒だったけどな。」
「へえー……。」
「あ、所で蘭。オメー明日暇か?」
「え?まあ別に何も予定入ってないけど……。」
「そっか。それは良かったぜ。」
「良かったぜって、何が?」
「いや、実はな、事件の解決のお礼にって、トロピカルランドのペアチケットをもらったんだ。もし良かったら、明日俺と一緒に行かねーか?丁度祭日だし。」
「え゛っ、いいの、ホントに!?」
「あったりめーだろ。オメー以外に誰を誘うんだ?」
「うわあ、やったあ!!」

大喜びの蘭。
そんな彼女を見て新一も思わず微笑む。

「それじゃ新一、また明日ね★」
「ああ、じゃーな。」

新一は、るんるん気分で事務所に戻って行った蘭を見送った。

「……さてと、俺も戻るか。」

蘭を見送った新一も自宅へと戻っていく。
顔をモロに綻ばせながら。




  ☆☆☆



翌日の土曜日……。



「どーだ、蘭。来て良かったか?」
「うん、とっても!!」

と休日のトロピカルランドを楽しげに満喫する二人。

「さあ、次のアトラクションに行こうか。」
「うん♪」

と、二人が向かおうとしたその時、

プルルルルル……。

コナンの時から使っている新一のイヤリング型携帯電話に連絡が入る。

「つったく、誰だあ?こんな時に電話入れるのは?」

とぶつくさ言いながらケータイを取る新一。

ピッ。

「はい、もしもし?」
『あ、もしもし、工藤君かね?』
「あ、これは目暮警部。」
『あの、今回もまた事件の事でちょっと君の手助けが欲しいんだが……。』

と昨日に続いて依頼をする目暮警部。

蘭は思わず、

(新一、事件の方に行っちゃうのかな……。)

とちょっぴり心配顔になる。
が、それに対して新一は、

「申し訳ありません、警部。今日は予定が入ってて、依頼は受けられないんです。」

と断りを入れる。

(え!?)

驚く蘭。

『おお、そうかね。いやあ、それは済まなかったね。』
「いえ、こちらこそ申し訳ございません。」
『いやいや、別に気にしないでくれたまえ。では、またの機会にでも。』
「はい。」

ピッ!

「……ねえ、新一。」
「ん、何だ、蘭?」
「事件の依頼、ホントに受けなくて良かったの?」

とちょっぴり心配そうに聞く蘭。

「ああ。」
「でもホントは行きたいんでしょ?だったらムリしないで……。」
「おっと、待った。」
「え、新一?」
「確かに俺は事件を解決しに行きたいとは思ってる。けどな、今日は事件の依頼よりも、蘭との約束の方を最優先にしたいんだ。」
「え?」
「だってよ、オメーとせっかく交わした約束をほっとくなんてとてもできねーし、それに……。」
「それに、何?」
「俺には事件よりもオメーとの約束の方がずっと大事なんだ。ほら、俺はちゃんとあの時の約束も守っただろ?」
「あ……。」

蘭は、かの米花センタービル展望レストラン『アルセーヌ』にて、またコナンになってしまった新一との約束、


――いつか……いつか必ず絶対に……死んでも戻ってくるから……それまで蘭に待っててほしいんだ……。


を思い出す。

「あ……ありがとう、新一……。」

蘭は感動のあまり思わず目を潤ませながら微笑んみ、そして嬉しそうに新一にそっと寄り添う。

「うん……。」

新一もまた彼女の肩をそっと抱きよせ、


CHU…….


と静かに唇を交わした。



それからほんの少し経って……。

「さあ、行こうぜ、蘭。俺たちの時間をもっと楽しまなきゃ。」
「うん!」

と新一は蘭の手を取り、次のアトラクションへと向かった。


こうして2人は、今日一日をフルに楽しんだそうな。


めでたしめでたし★





Fin…….




戻る時はブラウザの「戻る」で。