「た、タカさん…!?」
 カタン、とフォークを取り落としたかと思うと、河村は椅子から転げ落ちていた。
「た、タカさん!!」
 大石が真っ先に駆け寄り、すぐ後に全員が続く。
 ぷるぷると震えながら差し出された右手を、大石が握る。
「タカさんしっかり…!」
 励ましの言葉に一瞬意識を戻した河村は、うっすらと瞼を開けた。
「ああ、死んだおばあちゃんが綺麗な川の向こうで手を振ってるよ…」
「タカさん!気を確かに…!」
「それって三途の川じゃん!そっちへ行っちゃダメだって河村!」
 声を上げる英二に不二が同意する。ロシアンパイを自分が提供したことはこの際置いておく。
「そうだよタカさん!僕、またタカさんの握った激辛寿司を食べたいよ…」
 不二が大石の肩越しにそう言うと、河村は青ざめながらも口の端を綻ばせた。
「うん…また握るよ……ああ、父さん、店継げなくてごめ…」
 言葉が途切れ、瞼が閉じると同時、ぱたり、と左腕が床に垂れた。



※あとがき※