ある夏休み
ここは山のふもとにあるのどかな田園地帯です。
そこにはひろし君のお爺さんと、お婆さんが住んでいました。
畑ではいろんな種類の野菜を作っています。
きゅうり、なす、トマト、ピーマン、すいかなど精魂込めて作っています。
ひろし君は夏休みも 後少しという頃、お爺さん、お婆さんの住んでいる田舎にひとりで遊びに行きました。
着替えをリュックに入れて、帽子をかぶって出発です。
お父さんに駅まで送ってもらって、キップを買いました。
道順は、昨日から何回も教えてもらいました。
忘れないようにメモも、持っています。
お父さんに元気良く「行ってきまあ〜す。」と、手を振りました。
初めての一人旅です。
わくわく。どきどき。ちょっぴり大人になった気分です。
ひろし君は、電車が止まるたびに駅の名前を確認します。
電車の外は、街から田園風景に変わってゆきます。
乗り換えも、しっかり出来ました。
そして、いよいよお爺さんの待っている駅に着きました。
お爺さんは、お父さんから連絡を受けて駅まで迎えに来てくれてました。
お爺さんの顔をみると、安心しました。
ひろし君は、お爺さんと手を繋いで田んぼ道をお家に向かって歩きました。
お爺さんのお家は、山の直ぐ下にありました。
ここは、ひろし君の住んでいる町とは違います。
道は舗装されていません。
道の端には、小川が流れています。
川の側には絵本で見た事のある草花が咲いていました。
道には、夕立の後の水溜りもあります。石ころもいっぱいありました。
ひろし君は、周りの景色が珍しくて嬉しくなりました。
遠いと思ってたのに、早く着きました。
お家では、お婆さんが迎えてくれました。
「こんにちわ」と元気良くあいさつをすると、お婆さんは頭をなぜなぜしてくれました。
ひろし君は、お婆さんが用意してくれたお菓子とジュースを飲むとしばらくして 眠り込んでしまいました。
すやすや、すやすや眠りました。
キーン、キーンという音がしました。
ひろし君は目を開けました。
綺麗な池の真ん中で、葉っぱを浮かべた上に寝そべっていました。
そおっと落ちない様に、体を起こしました。
ひろし君の周りで水の妖精達がダンスをしています。
水色の衣装を着て、楽しそうにリズムに合わせて踊っています。
今日は、ひろし君がここの来てくれた歓迎会です。
妖精たちは歌うように言いました。
「さあ、私達と一緒に踊りましょう。」
ひろし君もリズムに合わせて手を、叩きました。
ひろし君は立ち上がり、踊りの輪の中に入りました。
「ヨクキテクレマシタネ!ひろし君」
「ナカヨクシマショウネ!ひろし君」
「キョウノコトワスレナイデネ!ひろし君」
ひろし君は、みんなにうなずきました。
「ありがとう ありがとう」
「忘れないよ ちゃ〜んと覚えとくよ。忘れないよ。」
キーン、キーンという音が聞こえました。
ひろし君は、眠りから目が覚めました。
ひろし君は、起き上がってあたりを見回しました。
縁側から、大きな向日葵が覗いていました。
MIYU