もぉー君、がぉー君、ぴょんちゃん物語 第4話

 

もぉー君には、秘密の場所がありました。

田んぼに水を引くための、灌漑用水の通路です。              

入り口は、子供がやっと入れる位の大きさだけど 

その中に入るとちょっとしたスペースがあって、子供達が隠れて遊ぶには丁度いい場所でした。

もぉー君は、大人たちから目の届かないその場所が好きでした。

だから、ひとりでもやって来る事がありました。

悲しい時や、寂しい時、喧嘩をして悔しい時等も来ていました。

 

ある晴れた日、もぉー君は友達4人でやって来ました。            

おやつとマンガの本を持って集まりました。

大好きなおやつを食べながら、マンガ読み会です。

背を低くして、ひとりづつ順番に入って行きます。

中はちょっと薄暗いので、ロウソク立てとロウソクとマッチの用意もありました。

真ん中にロウソクを置いて、仲良くおやつを食べました。

チョコレートにキャラメル、飴玉、おせんべい。

楽しいおしゃべりも尽きて、マンガを読み出しました。

するとなんだか息苦しくなってきました。

気が付くと、さっき食べたおやつの紙がロウソクにくすぶっていました。

消そうとしましたが、水が無いから消せません。

煙が充満して何も見えなくなりました。

目は痛くなり、胸は苦しくなってきて「ゴホン、ゴホン」とむせてきます。

恐くなりみんなが、逃げ出そうとしました。

あわてていたので、小さくなって出るのを忘れていたので中々出られませんでした。

でも、やっとのおもいでなんとか怪我もなく脱出する事が出来ました。

それからは、ここで本を読むのは止める事にしました。

そして、もうここでマッチを使うことはありません。

その頃、がぉー君も冒険の最中でした。           

友達5人で、学校の裏山へ遊びに行きました。

そこは崖になっていて、雨が降るたびに崩壊するという危険な場所でした。

だから立ち入り禁止の立て札が、ありました。

それにも係わらず好奇心旺盛な冒険心の塊 がぉー君と仲間5人が、颯爽とその崖の上に現れました。

すると、面白いものが目に入りました。

もう子供達は、目をキラキラ輝かせています。

それは、崖の上から下に向かって土管の排水路があったのです。

言うまでもありません。「面白そう!」考えるより直ぐ行動です。

ひとりづつ、すうー、すうー、すうーと入って行きました。

入った感じは、滑るというより落ちるようでした。

すとん、どっしん、すとん、どっしん、すとん、どっしんです。

着いた所は、真っ暗闇でした。

上を見上げると今入った入り口から、明かりがかすかに見えるだけでした。

さあ大変です。どうしてここから、脱出しましょう。

入る時には、出口の事なんて考えてもいませんでした。

5人の子供達は、入ってから後悔しました。

いくら頑張っても、子供達には登って上がれる高さではありませんでした。

子供達は、考えました。

立ち入り禁止の場所だから、大声を出しても誰にも聞こえません。

土管を壊せるような、大きな石もありません。

仲間のひとりが言いました。

「前に進もう!」

それは、ここにいる誰もが考えてもいなかった言葉でした。

でも、みんなはそれしか助かる方法は無いと思いました。

誰も何も言わずに意見が一致したのです。

直ぐ行動に移りました。

後は、可能性を求めて実行するだけです。

暗闇に目も慣れてきたので、着地点から先に向かってドンドン、ドンドン進んで行きました。

雨で流れた土の塊や石につまずきながら1列になって、恐々歩いて行きました。

するとどうでしょう。

行き止まりになるかと思っていた子供達に、一筋の陽の光りが見えました。

明かりまで進んで行くと、からだがなんとか出れる隙間がありました。

子供達は、喜びました。

助かりました。外に出れました。

「死ぬかと思った。」「怖かった。」口々に言いました。

仲間を信じて光りを見つける事が出来て良かったと、みんな心の中で思いました。

幾つになっても忘れる事の無い、大冒険でした。

その頃 ぴょんちゃんは仲良しのかずちゃんと、毎日一緒に遊んでいました。

学校帰ってから、ランドセルを置いて待ち合わせです。

歩いて探検する事が大好きで、今迄行った事の無い道や知らない道を探しては歩いていました。

この日は、ふたりで遠く迄行って帰り道、もう歩く元気がありません。

だから、ちょっと休んでいくことにしました。

そこは、稲刈り脱穀が終わって藁が高く積み上げてありました。

藁はとてもいい匂いでした。

お陽様の光りでふかふかでした。

そこに座って休みました。

気持ちよくなってふたりは、すやすやと寝てしまいました。

ふと 目を覚ますと辺りは日が暮れて真っ暗でした。

空には星がキラキラと輝いて、遠くの家の窓から電気の明かりが見えていました。

ぴょんちゃんは、あわてて隣に寝ているかずちゃんを起こしました。

かずちゃんは、泣き出しました。

ぴょんちゃんは、辺りをぐるっと見渡したけれどもどっちへ行ったらいいのか解りませんでした。

近くに川も流れているようでした。

落ちたら大変なので、じっとしている事にしました。

ぴょんちゃんは、自分も泣きたいくらい心細いけど、泣いているかずちゃんを「大丈夫、大丈夫。」

と慰めていました。

すると、どこからか「ぴょんちゃ〜ん。かずちゃ〜ん。」って呼ぶ声がしました。

大好きなお父さんの声でした。

懐中電灯を照らして迎えに来てくれました。

叱られると覚悟していたのに父さんは、「大丈夫、心配しなくてもいいよ!」と優しく言ってくれました。

手を繋いで帰りました。

大きな、大きな手に思えました。

その日から、ぴょんちゃんは「いねむりぴょんちゃん」としばらくの間呼ばれていました。

 

MIYU

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