太陽とタヌキさん

 

東の山に住むタヌキさんは、西の山を見ていつも思っていました。

西の山は、真っ赤な夕日をいっぱい持っている。

夕方になると隠しきれなくなって、辺り一面を真っ赤に染める事が出来るんだ。

西の山に住むタヌキさんは、東の山を見ていつも思っていました。

東の山は、金色の朝日をいっぱい持っている。

だから毎日朝日を出しても、無くなる事がないんだ。

東の山に住むタヌキさんは、西の山に 西の山に住むタヌキさんは、東の山に行きたいと思いました。

ふたりのタヌキさんは、決心しました。

東の山に住むタヌキさんは、西の山に。

.西の山に住むタヌキさんは、東の山に行く事にしました。

タヌキさんは、それぞれに旅の支度を始めました。

リュックに着替えを入れて、食料も入れて、磁石を持って出発しました。

東の山に住むタヌキさんは 西の山を目指して、

西の山に住むタヌキさんは 東の山を目指して

どんどん 、どんどん山を下って行きました。

林を抜けて、谷を越えてどんどん、どんどん。

やっと、見晴らしのいい野原に着きました。

 

丁度東の山に住むタヌキさんと、西の山に住むタヌキさんがはちあわせしました。

東の山に住むタヌキさんは、夕日を求めて西の山に、

西の山に住むタヌキさんは、朝日を求めて東の山に旅に出かけたことを話しました。

ふたりのタヌキさんは、挨拶をかわしてまた出発しました。

今度は、どんどん、どんどん山を登ります。

谷を越えて、林を抜けてどんどん、どんどん。

東の山に住むタヌキさんが、やっと見晴らしのいい頂上に着きました。

丁度日暮れになりました。

おやおや。今迄住んでいた東の山と同じです。

真っ赤な夕日は、もうひとつ向こうの西の山に沈んでゆきました。

西の山に住むタヌキさんも、朝になるのを待ちました。

おやおや。今迄住んでいた西の山と同じです。

金色の朝日はもうひとつ向こうの山から昇りました。

「なぁ〜んだ、もうひとつ向こうの山だったんだ」ふたりのタヌキさんは、思いました。

東の山に住むタヌキさんは、どんどん、どんどん西の山を目指していくつもの山を越えました。

西の山に住むタヌキさんも、どんどん、どんどん東の山を目指していくつもの山を越えました。

東の山に住むタヌキさんも、西の山に住むタヌキさんも、とうとう 昔住んでいた自分の山に辿り着いてしまいました。

ふたりのタヌキさんは、思いました。

太陽は、みんなを明るく照らしているけど恥ずかしがりやなんだと・・・。

 

MIYU

 

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