うしとらうさぎ物語

 ここは深い深い森を通り抜けた所にある、小高い丘の上です。

この丘の上には、森の印刷屋さんがありました。

うしさんの印刷屋さんです。

森の出来事を書いた新聞や、いろんなお店の広告を印刷します。

うしさんには、大きな夢がありました。

毎晩、毎晩眠るとき、夜空を見上げるとキラキラと輝く星たちが、いっぱい見えます。

この綺麗な星を 沢山の人たちに、見せてあげることが出来たらいいのにな・・・っと。

 考えていました。

うしさんは、決心しました。

そうだ!ここに、天文台を作ろう!

そして、たくさんの人たちに、このおいしい空気と、やさしい風と、夜には、

キラキラ輝く星空を味わってもらおう!

うしさんは、印刷屋さんのお仕事を一生懸命しました。

そして、余った時間は、天文台作りにあてました。

 

うしさんの様子を見ていたうさぎさんが、やって来ました。

「うしさん、いったい何を作っているの?」

「こんにちは、うさぎさん!僕はね、沢山の人たちに、

おいしい空気と、やさしい風と、夜にはキラキラ輝く

星空を味わってもらいたくて、天文台を作っているんだ!」

「それは、素敵な事だわ!私にも手伝わせて!

私は、天文台の周りに、お花をいっぱい咲かせるわ!」

うさぎさんは、 畑で野菜やお花を作っていました。

うさぎさんは、畑の仕事が終わると うしさんの天文台の周りに

お花の種を蒔きました。

可愛いお花がいっぱい咲きますようにと 願いながら毎日、毎日お水をあげました。

その様子を、見ていたとらさんが、うさぎさんに聞きました。

「うさぎさん、ここに何が出来るのですか?」

「うしさんの、天文台ですよ!」

「なぜ 天文台を、作るんですか?」

「うしさんの夢なのよ!うしさんはね、沢山の人たちに

おいしい空気と、やさしい風と、

キラキラ輝く星空を味わってもらいたいんですって!

私も、大賛成だわ!」

「それはいいことですね!私は、この森ことは、

何でも よく知っているから、この天文台に来てくださる人たちが、

道に迷わないために、この森の地図を作りましょう。

そうして、うしさんに 印刷してもらって、みんなに配ったら

どうでしょうか!」

「それは、良い考えだわ!とらさん!」

とらさんは、この森の学校の先生をしていました。

森の生徒達の、家庭訪問をしていたので、

どんなに細い道でも 知っていました。

それに、とらさんには、不思議な力がありました。

学校の先生だから、どんな動物ともお話が出来ました。

とり語も、かえる語も、くま語も どんな小さな動物 どんな大きな動物とも

仲良くお話ができました。

とらさんは、森の生徒達が、帰った後、詳しく 詳しく

森の地図を、作りました。

 

いよいよ、うしさんの天文台が完成しました。

天文台の周りには、小さな可愛いお花が、満開です。

お花畑には、もんしろちょう達が、楽しそうに飛び回っています。

天文台のある森の地図も、いっぱい印刷できました。

でも、この森の天文台には、ルールがありました。

 

  ★この森には、車では入れません。★

  ★どうぞ、歩いて お入り下さい。★

  ★道に迷わないように、地図を お渡しします。★

  ★それでも、わからない方は、私たちが案内します。★

 

っと、地図の裏に書かれていました。

この天文台に 訪れる人達は 限られていました。

始めのうちは、歩くのが好きな人たちや、

自然を愛する人たちだけでした・・・

 

でも、この森を、訪れた人達は、みんな元気になって帰ります。

そして、口を揃えた様に言いました。

「また、行ってみたいよ!あの森は、天国のようだ!」

その噂を聞いて、大勢の人たちが、訪れる様になりました。

そうして、人々は 元気になって帰って行きました。

そのなかに、「ゆきちゃん」と言う少女いました。

ゆきちゃんは、生まれた時から話すことが出来ませんでした。

ゆきちゃんは、素直で優しい心を持った女の子でした。

自分の事を可哀想だとは、ちっとも思っていません。

★だって、最初から こうだったんだもん。

不自由なんかじゃ ないわ!★っと思っていました。

だから、道案内をしてくれた とらさんに 

「ゆきちゃんは、幸せよ!」

っという、 思いを込めてニッコリ微笑みました。

とらさんは、ゆきちゃんに「幸せで良かったね!」って言いました。

ゆきちゃんは、「うん」と、返事をしました。

そうです!ゆきちゃんは、声がでたのです。

しゃべれるように、なったのです。

お話が、出来るようになりました。

とらさんには、だれとでもお話が出来る不思議な力がありましたよね!

ゆきちゃんの、パパとママは 大喜びです。

ゆきちゃんが、喋れるようになった噂は、どんどん広まりました。

この森を、訪れた人たちも、元気になって、帰ることも・・・

そうして、町の人々は考えました。

どうして、あの森の天文台に行けば、みんな元気になれるんだろうと。

人々は、気がつきました。

そうだ、あの森は車では入れない!歩いて行かなければ入れなかったんだと。

そうですね。地図の裏に書いてありました。

  ★この森は、車は入れません。★

  ★どうぞ、歩いてお入り下さい。★

人々は健康になる事が、出来るんだったら 車に乗るのはやめよう!

と思い始めました。

この国から、車の数がだんだん減ってゆきました。

この事を耳にした王様は、「自動車禁止令」をだしました。

人々も、「そのとうりだ!」と、思い王様に従いました。

だから、この国の車というと、バスと、赤い消防自動車と、

白い救急車、お年寄りの為のタクシーと

仕事用の車ぐらいしか 見かけなくなりました。

人々は、出来るだけ電車を利用して、

自転車、歩く事を楽しみ始めました。

だから、道はというと 今迄、車道だった所が整備され

自転車道、歩道を中心とした道に変わったそうです。

 

                             おしまい

 

                                  ★依頼・・・・・・・・・・とら★

                                   ★題名・・・・・・・・・・うし★

                                    ★お話し・・・・・・うさぎ★ 

                                                                 

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