バイク考察

 

                

その1 私がビッグバイクに乗る訳???

バイクってまじめな大人から見ると暴力的なものに感じたり、バイク=不良ってな具合で

結構冷たい意見が飛び交うよねー。今は真面目な女性ライダーも増えて少しは普通に

見てくれる人が多くなったけど、私の若い頃(今も若いつもりだけど・・・)は免許取るだけで

オヤジにビンタを食らったものだった。

でも一度バイクの魅力に取り付かれてしまうと、誰がどう言おうと乗りたくなるもの。

一度乗ってしまうと「俺は一生バイクにのるぞー!」ってな感じで、変に熱を上げる人も

少なくない筈。私も老体に鞭打ってでも出来るだけ乗りつづけたいと思っている。

 

私がいつどんな時にバイクに魅了されたか・・・

そうあれは忘れもしない・・・いつだったっけ・・・(忘れてんがな!)

 

中学2年の頃、友達の家にカブ(ホンダC50っていうやつ?)が置いてあって、田舎町だから

その友達は、近所でカブをしょっちゅう乗っていると自慢げに話していた。

それから何となく「一度乗ってみろよ」と言われ、余り気が進まなかったが何となくそのカブに

またがりキックをしてみた。

「シュルシュルシュル」っと一発で小さな単気筒がめざめ「ブロロロ」っとアイドリングを始めたその時、

何か胸にキュンと・・・そう一目ぼれした女の子に出会ったあの瞬間(?)に近いものがこみ

上げてきた。ただの機械なのに「こいつは生きてる・・・」って変な考えをした様な気がする。

そしてそして、チェンジをひとつ踏んでアクセルをゆっくり回してみた。

カブは遠心クラッチだから難しい操作は必要ない。当然それなりに動き出す。

「おおっ!!!!凄い!こいつ動いてやがる!」 何を言ってるのか分からないが

とにかくそう思った。

よいしょっとペダルを回して前に進む自転車とは明らかに違う感覚。今までに感じたことの

ない楽しさがそこにあった。右手に握っているグリップをいくらか回して、その回した分前に

進む事自体が素晴らしく、不思議な気分に引きずり込まれた。

それからは、毎日バイクの事を考える日々。当然中学生だから免許などない。

その頃の私は至って真面目で(今も真面目だけど)あれからその友達に

「もう一度乗せて!」とも頼んでいない。ただただ、早く16歳になりたいと願うばかり

だった。

高校に入り16になり、早速50ccのみの原付免許を取得。オヤジにも何度かビンタを食らっ

たが、負けじとアルバイトに精を出し、念願のバイクを購入した。

その頃は13万円程度で原付のスポーツバイクが買える時代だった。

ホンダ CB50、スズキ RG50、ヤマハ RD50の3強が競い合っている時代、

私は2ストのRG50を購入した。嬉しがりの私は真冬に時速30km/hを守ってあっちこっち

と走り回った。

その後は凝りもせず、免許取得とアルバイトを繰り返し、免許は原付から小型→中型→大型

とひとつずつステップアップ。バイクもRG50→DT125→XL250R→GSX-R400→GSX-R750

と乗り換えた。

待望の大型免許を取るのには、もうひとつのきっかけが合った。高校時代のアルバイト先

で、いっしょにアルバイトをしていた大学生がグリーン/イエローの綺麗な玉虫カラーのZ2

(RS750)で通っていた。その姿を見て心底大型バイクにほれ込んだ。

迫力あるタンク、ぶっといタイヤ、重低音のサウンド。何をとっても今までと次元が

違うと感じた。

結局限定解除を取得したのは26歳の時。仕事柄休んで試験に行けない時が殆どで

キャンセルの繰り返し。おまけに年に3人しか合格しないと言われてきた厳しい時代だった。

2年越し、13回目でようやく合格した時は、高校受験で合格した喜びの何倍もの感動が

あった。

 

大型バイクに乗ってからは、GSX-750→GSX-R1100→CB750FB→現在のCB1000SFと

乗り継いだ。(合間にCRM250Rにも乗ったが・・・)

うちのかみさんも私に合わしてくれたのか、自分が望んだのか、自動車学校を通い詰めて

中型免許を取得。

私がGSXシリーズを乗り次ぐ間に、かみさんもその250cc版を購入。新婚時代は信州、

伊東方面や、南九州一周もした。子供が出来てからは、私単独の日帰りツーリングに変

わってしまい、あの頃をとても懐かしむ。

 

という事で話が長くなりすぎたが、ビッグバイクに魅了され現在に至る。

 

ビッグバイクというのは、昔は750cc、今ではいわゆる「リッターバイク」。規制が軽減され、

1500ccのバイクも国内販売されている時代。

若き頃、本当に乗れるのか?と心配までしたビッグバイクがそこらじゅう走っている。

苦労して限定解除した甲斐も何もない。

 

よく考え直せば何も無理にビッグバイクに乗る必要性があるのかといえばそうでもない。

400ccのバイクでも十分なパワーがあるし、増してや250ccのバイクなんか高速道路も走れ

るわ、車検も無いわでとてもリーズナブル。それでもどうしてここまでビッグバイクにあこが

れるのか?

限定解除の証?見栄?よりビッグトルクのある加速感を味わいたい?人それぞれの思い

があるのだろう。

私も、図太い加速感とビッグバイクを操る楽しさを満喫したいがために乗っているのかも

しれない。200kgの巨体は、限定解除をしたその日からおいそれと何もかもうまく動いて

くれるものではないと思う。今でも「なんかしっくりこないなー。」と感じる日がある。

確かに私の運転技術が未熟なだけに・・・。しかしそれはそれ。ビッグバイクを楽しく

操れる方法をこれからも考えて行きたいと思う。

 

というわけで、次回から“バイクに乗るではなく”、“バイクを操る”という事について

考えてみようではありませんか。みなさんも何かご意見があったらどんどん掲示板に

投稿ください。

 

 

 

その2 ビッグバイクは慣れろが一番!!

私の愛車CB1000SF(BIG−1)。その名の通り、HONDAが

「とにかくデカいのを造る。」

をコンセプトに作り上げられたバイクである。

車両重量235kg、その前に乗っていたCB750FBは228kg

またまたその前のGSX−R1100では197kgと、

CB1000SFは今まで乗ってきたリッターバイクの中で、最も重いバイク・・・。

見た目通り、近寄ればかなりの威圧感がある。タンクなんかまともに見るとかなりデカい。

これだけのデカいバイクに乗るからにはそれなりの覚悟がいると思ったものである。

しかし、ものは考え様。低速から有り余るパワーを持っているという事は、

それだけ低回転域でもマシンコントロールがし易いと言える。

低回転域でトルクの細いバイクは、それなりに回さなければ出足もうまく行かず、

極端な状態だとノッキングを起こしギクシャクする。

ビッグバイクではそれが低速域まで安定感があり安心して扱えるというメリットがあると思う。

いくら重いバイクだからって持ち上げる事などしないんだから、バランスさえうまく

取っていれさえすればどこにも力を加える必要は無い。

 

しかしながらビッグバイクは、一旦コントロールを失うとこれまた大変なものでもある。

以前右折中にあまりの低速でいささかバイクが傾いている時に

エンストを起こしてしまった事があった。

その時は足を踏ん張ったがなかなかバイクが立ってくれず、ありったけの力で

ようやく立ち直ることが出来た。

 

要はバランスをうまく取るためには、クラッチとアクセルワークで微妙なコントロールを

行なう事がビッグバイクを乗りこなす重要なところ。

もうひとつ忘れてならないのはニーグリップ。どんなバイクでもそうだが、これは乗りこなす

基本中の基本だろう。

渋滞路の左隅をすり抜ける時や普段のコーナーリングでも、

その効果は絶大なものだと思っている。

ましてやビッグバイクであればあるほどマシンに乗っているか乗せられているか

の違いが出る程でもある。

通常域の走行でも、バンクする外側の膝でタンクを押してやるとコーナーで曲がり易い。

 

今回の結論は、「要は慣れろ」という事に留めておく事にして、今度は低速域の

ライディングについて考えてみたい。

 

 

その3 ライディングポジションについて

「バイクはとにかくまたがりゃあいい。」と思っていた。でもビッグバイクに乗ってからは、

ライディングポジションが結構シビアなものであると分かってきた。

特にビッグバイクのポジションにはかなりの余裕がある。中でもレーサーレプリカよりも

BIG−1の様なネイキッドは、ライポジを取る範囲が広い。

そこで、どの辺をポイントに座るか・・・。乗る人の体型にもよるので、一言で言うと、

自然な位置に腰を下ろして両腕が軽く曲がる様なところが基本的なポジション

だと思っている。

 

この姿勢をセンターにして、ライディング環境の変化でポジションを変えてゆく。

先ずは、渋滞路や街中などの超低速走行時。

基本ポジションからやや前寄りに座り、タンクをしっかりとニーグリップ。

当然両腕に余裕が出来るのでとっさのハンドリングにうまく順応出来る。

このような状態で街角を曲がる様な時などは、当然リーンアウト。

(曲がり方については次号のお話として・・・)

 

続いて中高速の場合。基本ポジションよりやや腰を後ろにずらす。

直線では余り関係が無いかもしれないけど、ワインディングを攻めている時などは、

後輪に荷重をかけ、ハンドリングに自由度を持たせた方が良い。

こんな時、前寄りのポジションでは、コーナーリングの際前輪に荷重がかかっていると

少しテンポが遅れがちな感覚になり、非常に曲がり辛く感じる。

 

すなわち、走行場所の環境やスピードの変化で、少しずつポジションを変えて行き、

人車一体となってビッグバイクを操る事が、ライディングの全てにおける基本であると思う。

 

このライディングポジションを基本的にし、ビッグバイクのトルク特性を考えたライディングや

スピードに合わせたコーナーリング等々、いろいろと考えて行けばライディングそのものが

単純でなく面白いものだと感じてくると思う。

 

 

その4 コーナーリングについて

 

カーブを曲がる。この一言だけでもいろいろな理論が飛び交う。

バイクも車も、直進では殆どエンジンの性能が決め手になるけど、

コーナリングではその車体のバランス(足回りや重量配分等)が大きく関わる。

特にバイクの場合は、そのコーナーリング技術そのものが複雑で、

個人によっていろいろな曲がり方があると思っている。

 

バイクは高速道路でぶっ飛ばすだけなら、楽しさは半分以下。コーナーリングをいかにして

気持ち良くクリアできるかがポイント。

コーナーをいかに速くクリアするかという事ではなく、気持ち良く、スムーズに、リズミカルに。

バイクはただ漠然とリーンをするのではなく、それなりに考えて曲がれば、

バイクの醍醐味は倍化するのではないだろうか。

 

 

1.低速時のコーナーリング

低速時・・・特に超低速時なんかは、ビッグバイクでは曲がりきれないという不安がよぎる。

この時ばかりは図太いトルクも足かせになり、コントロールが結構難しい。

基本的には、タンクをしっかりと締め付け、出口方向を見てのリーンアウトに徹している。

出口付近もアクセルを大げさにあおっては、大きなパワーが一気に出るため、

アクセルコントロールや時には半クラッチも必要になる場面がある。

切り返しの多い場所では、常に中指から小指をブレーキ・クラッチレバーに置き、

とっさのアクションに順応出来る様なスタイルが望ましいと思う。

 

2.中高速時のコーナーリング

昔は、ハングオンでコーナーをクリアするのがかっこ良いと思っていた。

今も峠族(古い?)は膝にガムテープを巻いてやっているのだろうか?

うまい奴はそれなりに速いのだが、カッコだけで攻めている奴は、

バイクは直立でハンドルにぶら下がっているという様な無様なパターン

が殆どだった様な気がする。

 

コーナー手前。ブレーキを強く掛けると、バイクは直進安定が強くなる様な構造になっている。

すなわち一定したブレーキ、それも強めに掛けたままではバイクは傾かない。

そこで、傾かせるきっかけを作るために、曲がり始めのポイントでブレーキを緩める。

そうすればバイクの安定感が弱まり、曲がり易くなる。

 

同時に曲がり始めのポイントで重心を内側に傾けておく。

お尻をずらしてシートの内側に座っても良いが、着座はそのままで内側の半ケツに

重心を掛けておくのが私のやり方。こうすれば大きなアクションをせずに

曲がるきっかけを簡単に作ることが出来る。

 

それともうひとつ。リヤブレーキの応用。結構使っていない人が多いのではないだろうか。

リヤブレーキを掛けるとどうなるか。リヤブレーキがかかった時、

リヤサスの縮み方向に反力がかかり、後輪の浮き上がりを防ぐことが出来る。

という事は、コーナー手前でバタバタとするピッチングモーションを抑え、

バイクが非常に安定し、曲がり始めのマージンが生まれる。

これをやっていない人は、是非試して欲しい。今までに無い安定した突っ込みが

体験出来ると思う。

その後は、ブレーキリリース。これまでの作業がうまく行けば、ブレーキリリース

をした時、バイクは小さく曲がることが出来る(と思う)。

 

言葉では簡単に言ったが、曲がり始めまでのアプローチは、なかなかスパッとうまく行かない。

「今日はなんか変やなー」とか、「調子悪いなー」と思う日は、それがうまく行っていない事が殆ど。

私も日々精進している身である。

 

昔は、腕だけでバイクを傾かせていた。曲がり始めのところでハンドルを外側にこじる。

そうすると、バイクはいきなり内側に傾き旋回し始める。

しかし、これだけでは余りにも前輪に負担を掛け危険である。

 

コーナーリング時では、基本的にはパーシャルの状態で、後輪に負荷を掛けずに

小さく曲がっている。出口を迎え徐々にアクセルオン。これもいきなりトラクション

を掛ければズルズルと後輪が外側に膨らむので、ビッグバイクでは要注意。

 

コーナーリング中は、当然の事ながら目線は出口に。せっかく良いアプローチ

をしたのに出口を向いていなければ意味が無い。

バイクは見ている方向に進むのが基本です。

 

言葉ではなかなか伝えにくいけど、いろいろと考えて走ってみると、バイクってのは

面白い乗り物だなとつくづく思う。

今回はコーナーリングのほんの一部しか書き入れてないから、

もう少し考えて書き込んで行きたいと思っている。

 

 

その5 コーナーリングについて (続き)

 

コーナーリングの中でも、アクセルとブレーキが大別されるが、今回はトラクションについて・・・。

一言で言うとバイク(車もそうだが)はトルクを車輪に与えると進路(直線でもカーブでも)が安定する。

これがトラクションって言うんだけど、これがうまくはまれば「乗れてる〜!」って感じるところ。

 

ただコーナーリングではリーンしながらかけるトラクションは曲がらないので、スロットルさえ開ければ・・・というものではない。

その中で、私が感じているところは、スロットルの開け始め(トラクションのかけ始め)がポイントであるということ。

 

すなわち、

コーナー突入のアクセル全閉時でも、コーナー途中のパーシャル状態からでも、

とにかく明確にトラクションがかかり始めるところまですばやくスロットルを開ける。

 

そこからそのコーナリングに合った更なるアクセルオン。

こうすれば、トラクション効果の高い、安定したコーナーリングが得られる。

 

もうひとつ重要なところはトラクション時に体重を乗せる・・・。

例えば、長いコーナーの場合ではトラクションをかける時間も長くなる。

それ故、アクセルも徐々に大きく開けてゆくことになるわけで、こういう状態では自分自身の体重を後輪側に。

もう少し細かく言うと、アクセルの開度と比例して体重をジワーっと後輪側にかけて行く。

これでコーナーリングの安定性も旋回力も増してグイグイ加速しながらグイグイ曲がって行ける。

この経験がライディングの醍醐味だと思う。

でも、ある程度のマージンを残しておかないと、やりすぎてしまえばハイサイドを起こす危険があるから、エスカレートしないように・・・。

 

少し込み入ったトラクションの話をしたけど、これはコーナー進入時の減速時でも同じで、

長い下りのブラインドコーナーでパーシャル状態が続くとバイクは不安定になるので、

アクセルを閉じてエンジンブレーキをかけてマイナスのトラクションを与える。

 

ただ、余り長いマイナスのトラクションは前輪への負担が大きいため、短時間のみということで・・・。

特にワインディングのS字コーナーなんかは、トラクションのプラスマイナスの切り替えの連続。

その切り替えし時のパーシャル状態の瞬間、バイクが不安定になったところがバイクの運動性が鋭くなっているところ。

ここで、すばやく車体を引き起こす。

 

この辺り、言葉がうまく表現できないけど、要は、

トラクションのプラスマイナス、体重の移動、パーシャル時の不安定なところでの車体の引き起こし

をうまくシンクロさせることで、素晴らしく鋭い切り替えしが出来るようになる。

 

普段あまり意識せずに乗っている人も、考えてみると勝手にそういう風に乗っているな〜っと感じてもらっている筈。

この辺りの理論をもう一度確かめてもらって、更に楽しいライディングをしてもらいたいと思う。

 

 

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