異次元の世界――おコメに関するミステリー

 コメというものは「合」や「升」の単位では販売されず,ひたすら「キログラム」単位で販売されています.では1キログラムのコメは,いったい何合なんでしょうか.「1合でごはん茶碗3杯」「ごはん1杯は約120グラム」という定説がありますが,これは炊いた後の「ごはん」の話であって,コメの話ではありません.コメの計量カップはすりきり1杯で1合ということになっています.炊飯器の内釜に引かれた目盛りも「合」単位で水加減の基準を示しています.炊飯器のスペックを表す時もその容量は「何合炊き」と表現されるのが通例なので,至極当然のように思えます.

 「合」は尺貫法で「キログラム」はメートル法です.これらの換算方法は,ちょっと調べればすぐわかります.いまここの問題で何より致命的なのはそんなことではありません.「合」と「キログラム」は,単位の次元が違うのです.1合=約180cc,これは体積の単位なのです.対してキログラムは,語るまでもなく質量の単位です.どうして買う時は質量単位で,使う時は体積単位なのでしょうか.これは美しくありません.ということで考えてみましょう.

 一般的に,コメを炊く場合の水加減は,コメ1に対して水1.2です.コメを1合炊く場合,水が1.2合必要になります.1合=約180ccなので,1.2合の水は,約216ccというところでしょう.また,先述の「ごはん1杯は約120グラム」の法則と「1合は茶碗3杯」の法則を合成し,「コメ1合は,ごはん360グラム」の定理を得ます.1合のコメは,216グラムの水を吸って,約360グラムのごはんと化すのです.つまり,360グラムの「ごはん」から216グラムの水分を除いた残りの144グラム≒約150グラムが,コメ1合ということになります.また,これより「コメ1キロは約7合」という換算式を得ることができました.

 これで謎がまた1つ解けました.安心して眠れますね♪