建国記念の日に寄せて

06年02月11日の日記に書こうと思ったのですが,思ったよりも長くなったので,独立させました.

Saturday, 11th Feb. 2006 National Foundation Day

誕生花は黄色のパンジー,花言葉は「私を想ってください」,誕生石はサードニクス(sardnyx),宝石言葉は「夫婦の幸福」.

逆ナンパ.

 別に私が逆ナンパをされたわけではありません.あらかじめご了解ください(笑).

 今日は建国記念の日ですね.太陽暦に換算して,紀元前660年の今日に,神武天皇が橿原に宮をたて即位した,といわれていますが,まぁ間違いなく創作(世間はそれを神話,とも言う)でしょうね.

 で,今日のお話は,建国とは直接関係ありませんけども,国生みの神とされるイザナギ(イザナキ)とイザナミのお話です.性別はイザナギが男,イザナミが女です.

 イザナギとイザナミは,日本で最初の夫婦の神様です(兄妹でもあるんですけど).

 イザナギとイザナミの2人が,自らの作った,最初に出来た神の島「オノゴロ島」に広い御殿を建てました.

ある時のことです.

イザナギ「貴女の体はどんな風になっている?」
イザナミ「私のカラダはほとんど完璧なんですが,1ヶ所だけ欠けた部分があるんです」
イザナギ「私のカラダもほとんど完璧なんだけど,1ヶ所だけ余計な部分があるんだよ.
     私の余計な部分で,貴女の欠けた部分を刺し塞いで,国を生もうと思うんだけど,どう?」
イザナミ「それは良い考えですわ.」

何じゃこりゃ.それってつまりムグ.わからない人はお父さん・お母さんに聞いてみましょう(笑).

そして2人は大きな柱をお互いに反対側に回って出会い直すことにします.2人はお互いの姿を見て声をかけます.

イザナミ「まぁっ,何ていい男!」
イザナギ「おぉっ,何ていい女!」

ということで日本初の逆ナンパです.日本初のナンパが逆ナンパです.そもそも「いざな」とは「誘う」という意味であり,イザナギは「誘う男」,イザナミは「誘う女」という意味になります.「誘太」と「誘子」みたいな感じですか.……なんかイヤになってきますね.

イザナギは,イザナミから声をかけたことにしっくりしない感じを覚えましたが,とにかく2人は夫婦になって子どもが生まれました.

 しかし,1人目は骨がない(ひる)のような子どもでした.2人はびっくりして,この水蛭子(ひるこ)を葦の舟に乗せて流してしまいます.(この蛭子はえびすとも読み,えびす神(厳密にはえびす神の指す神には2種あるのですが,そのうちの片方)になっています.)
 そして,2人目の子どもが生まれましたが,淡島といってこれもはかない子どもでした.

 2人続けて子どもを生み損じてしまったイザナギとイザナミは,天津神に相談しました.すると,イザナギが予感した通り,出会いの時に先にイザナミから声をしたのが良くなかった,ということで,2人は出会いをやり直すことにしました.

イザナギ「おぉっ,何ていい女!」
イザナミ「まぁっ,何ていい男!」

ということで,2人からは本州・四国・九州等の島々や,石・木・海・水・風・山・野・火などの森羅万象の神々が生まれました.

 ある時,イザナミは火の神であるヒノカグツチを産んだ際に,陰部に大火傷をして死んでしまいます(←本州島を生んだ,とかいうスケールの話の直後に急にリアルになりますね).

 イザナギは怒り,ヒノカグツチを殺します.殺されたヒノカグツチからも,そして,殺した剣からも神が生まれるのですが,それは別の話.

日本誕生のお話はここまでですが,もう少しだけ記述することにしましょう.

 イザナギは死者の国である黄泉(よみ)の国にいるイザナミが恋しくなって,黄泉の国まで旅します.(余談ですが,生き返ることを「よみがえる」というのはこの黄泉の国から帰るところから来ている,そうですよ)

黄泉の国に着いたイザナギはイザナミにこう言います,

「愛しい我が妻,国作りはまだ終わっていない,どうか帰ってきておくれ」

イザナミは答えます

「私はこちらの食べ物を食べてしまったため帰れません.しかし愛しいあなたの頼みです.帰れないか黄泉神(よもつかみ)と相談してみます.ただし,その間,決して私の姿を見ないで下さいね.」

しかし,いつまで経ってもイザナミは戻ってきません.痺れを切らしたイザナギは,明かりをともして中へと入っていきます.すると……

そこにいたのは姿が変わり果てて,体には蛆がたかり,体のあちこちに雷神が生じていたイザナミでした.

驚いたイザナギは一目散に逃げ出します.恥をかいたイザナミは「おぉのぉれぇぇぇーーー」と怒り,黄泉醜女(よもつしこめ)たちにイザナギを追わせます.更に雷神も追います.

 醜女や雷神から何とか逃げ延びたイザナギは,この世とあの世の境目の黄泉比良坂(よもつひらさか)を岩(千引石(ちびきいわ))で塞ぎました.最後に追いかけてきたイザナミは,千引石を挟んで対峙し,イザナギにこういいます.

「愛する相手に何たる非道いことを.許せません.私はあなたの国の人間を1日1000人殺そうぞ.」

イザナギはこう返します.

「なら私は1日1500人の子を産ませてみせようぞ」

妻に対してなんてこと言うんだイザナギは(笑?).

さてさて,こうしてイザナミと離別したイザナギは

「やれやれなんという汚れた所へ行ってしまったんだ.禊をして体を清めよう」

ということで,日向の国(筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原(つくしのひむかのたちばなのをどのあはぎはら)※)で禊をしました.脱ぎ捨てた衣服から神々が生まれ,落とした体の汚れからも神々が生まれ,最後に天照大御神(あまてらすおおみかみ)月読命(つくよみのみこと)須佐之男命(すさのおのみこと)の三柱の神々(三貴士)が生まれました.最後の最後にこの三柱の神々が誕生したことに,イザナギはたいそう喜びましたとさ.


イザナギがイザナミを追って黄泉の国まで行って戻ってくるところは,ギリシャ神話のオルフェウスとエウリディケを髣髴とさせるところがあります.このことも書こうと思ったんですが,長くなったのでそれはまた次の機会があれば記述することにします.

※現在の宮崎県宮崎市阿波岐原,シーガイアの近く.日本神話でここまで詳細な場所が記されているのはこれくらいです.それほど重要な神が生まれた,ということなのでしょうか?

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