自分の事ほどわからない
                    2005.11.23 東山裕一


天文学は、人間の小ささ、日常のわずらわしさを忘れさせるスケールの大きいロマンチックな学問です。そもそも距離の単位が光年(光が届くのに1年かかる距離)で、何万光年、何億光年という気の遠くなるような遠くのことや、宇宙ができた頃の昔のことを調べるのですから。

しかし、何万光年も離れた星の中心部の温度や、どんな物質でできているかがよくわかるものです。昔、理科の先生から次のような面白い話を聞きました。
「遠くから観察するからこそ意外と多くのことがわかるものです。そういう意味では、地球のことが近すぎて一番わからない」

遠くの星からやってくる光(プリズムを使ってできる虹色の光スペクトル)を分析すると、発光源の温度や構成物質を割り出すことができます。ところが地球は、地表や大気のことは調べられても、地球の中心部、すなわち地核のことがなかなかわからないとのことです。

これは星に限らず、人間でも同じことですね。他人のことはよくわかっても、自分の事はわからない、気づかないということがよくあります。すこし距離を置いて冷静に自分を眺める、他の人からどう見えているかを謙虚に聞く、という生活態度が大切だなあと思いました
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