ミレーからダリ(具象から抽象へ)
                    2002.2.22 東山裕一


19世紀中ごろ、見える世界(社会)をありのままを描写することが大事だと考える写実派(リアリズム)が起こりました。 ミレーの「落穂拾い」が代表的です。 しばらくすると、正確さよりは受けた印象に重点をおくべきだと考える印象派(インプレショニズム)が台頭してきます。 モネやルノワールなどです。

この辺までの絵画作品は安心して鑑賞できるのですが、もう少し時代が下って、ピカソのキュービズムや、ミロ、ダリの超現実主義(シュルレアリスム)の絵になると、凡人にはどこが良いのかだんだんわからなくなってきます。 考えるに、この辺の思想的背景には当時、写真機が発明されたことと密接な関係があるのではないでしょうか。 すなわち「精密を描写することは機械でもできる。 人間にしかできないのは、人間の受ける印象、内面的な感情を表現することだ」とね。
ところで最近デジカメが普及し、しかもパソコン上の写真編集(レタッチ)ソフトも安くなってきました。 写真を油絵風、印象画風にしたり、デフォルメすることも簡単です。 これからはきっと、コンピュータの進歩が絵画・音楽に思想的な影響を与えていくんでしょうね。 宗教が科学進歩と闘ってきたように、芸術と技術の闘いは続きます。
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