ロウソクの科学
                    2010.4.3


ファラデーと言えば、磁界変化で電気が起こる発電原理や電気分解を発見した科学者です。そのファラデーが晩年、クリスマスになると子供たち相手に、実験を交えながら科学の面白さを説きました。1861年の6回からなる講演録が200ページ弱の単行本(角川文庫)になっています。

ロウソクが燃えて光を出し続ける現象のカラクリから始まり、やがて酸素、水素、炭素の化学反応、最後には燃える(酸化する)ということを生物の呼吸や生命活動にまでつなげて解説しています。

炎の熱で溶けたロウが毛細管現象でロウソクの芯を伝い上り、酸素と化合して熱と光を出しながら水蒸気(H2O)と炭酸ガス(CO2)に変化する。熱は上昇気流をつくり、下から補給される冷気がロウソク上部周辺を土手のよう固め、溶けたロウが流れ出さないようにくい止める。ここまで読んだだけでも身近なロウソクの発光メカニズムに感動を覚えます。

ちなみに、講演の中で日本のロウソクが紹介されています。1961年といえば、鎖国状態の江戸幕府が開国を迫られ、英米を初めとする五カ国と通商条約(1858)を結んで間もない頃で、地の果てから入手した日本のロウソクが珍しかったのでしょう。
当時の日本では蘭学を通して科学的思考が芽生えつつありました。しかし同時代のイギリスで、比較にならないほどの高度な知見が子ども相手に講演されていたという事実は何を物語るのでしょうか。当時の閉鎖社会と押し付け価値観の恐ろしさを痛感すると同時に、今だに自由な発想や探究心を妨げる固定観念がどこかに残っているのではないかと心配になります。
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