クレーメルメモリー「地」〜ナイトキャップのお休み〜
まさか・・・気分転換に書こうとした作品がこのシリーズになるとは・・・。(笑)
ちょっと自分でも不思議な感じです。結局、要は「書く気」なのかなあと思ったり。
「神去りし星で」の方で、けっちさん、リイナさん、アドバイスありがとうございました♪
どうやら、あたしゃ、書くと楽になる性分みたいですわ・・・(苦笑)
〜あらすじ〜
根元晶霊達がそれぞれの過去を話す。
イフリート・ウンディーネ・シルフ・セルシウス・ヴォルト、そして・・・、
ノーム「はにゃ〜ん♪、みんな色々あったんだねぇ〜、
つぅ〜ぎは誰かなぁ〜?」
いつものように能天気に皆に話し掛けるノーム、
シルム「もう、この中じゃ、おまえしかいないじゃんっ!」
こちらも相変わらず絶妙なツッコミを入れるシルフ、
ノ「にょにょ!?そう〜なの〜?」
イ「ぬぉ〜!!そのまどろっこしい喋り方・・・やめろっ!」
ウ「そんな事を言ってはいけませんよ、イフリート
様々な事には、大抵、何かの事情があるわけですから」
セ「そうは言うけど・・・この『にょにょにょ〜ん』に
ワケなんてあるのかしら・・・」
ノ「プンプン!失礼だなぁ〜、みんな。しょうがないなあ・・・話してあげるよ〜ん♪
ちゃ〜んと、普通に喋ってね〜ん♪」
すると、いつものノームには見る事ができない遠い目で語り出す・・・
あれは、いつだったかなぁ、もう忘れちゃったけどさぁ、
ずっと・・・ずっと、むかぁ〜しむかし・・・
僕が住んでる地晶霊の廃鉱はね、
今じゃ完全に寂れてしまってモンスターまで出現するようになっちゃったけど、
昔は多くの金属が埋まっている鉱山として鉱夫達を中心に賑わっていたんだよ。
そして、その内に鉄夫達が麓に家族達を集めて村を作ったんだ。
鉱夫「アイタタ・・・ノーム様、
すまねえが、つるはしを振るった途端に腰をやっちまってなあ・・・」
初老の男性が腰をさすりながらノームの元へやって来た。
ノ「あはは♪、もう歳なのに無理するからだよ」
鉄夫「それは言わない約束ですよ〜、ノーム様〜」
ノ「ごめんごめん♪」
優しく微笑みながらノームは鉄夫の腰に手を当てる。
すると、その部分が淡い黄色に輝く・・・
鉱夫「ああ・・・いつもながら安らぎますわあ・・・」
ノ「よーし♪これでもう大丈夫だよ」
鉄夫「おっ?おっ!こりゃ凄い!」
さっきまでのヨボヨボな状態は何処へやら、今じゃ元気良く飛び跳ねている。
ノ「良かったね♪でもホントに次からは無理しないでね」
鉄夫「はいよっ!ありがとうございました!!」
鉄夫は、喜び跳ねながら帰っていった。
そう、これが僕の最近のライフワークだ。
鉱夫達が鉱山の仕事で疲れた体に安らぎを与え、痛めた体を治したり。
鉱山の人達だけじゃない、麓の村の人間にも同じ事をしていた。
僕を頼りにやって来て、安らいだり治ったりした時に見せる人間の表情。
それが僕は好きなんだ。うん、僕は人間が好きなんだ。
大晶霊は人間にあまり姿を現したり力を貸しちゃいけないけど、
僕には良く分からない・・・、人間は助けて上げるものなんだ!!
そんな生活が続いていたある日、
僕は、たまにはと鉱山の方に行って鉱夫達の仕事振りを見に行っていた。
鉱夫A「あっ!ノーム様!!いつぞやはお世話になりました!!」
鉱夫B「私もですノーム様!!」
いろんな場所から感謝の言葉が僕に来る、やっぱり素直に嬉しい。
自分のやっている事が報われているって証拠だ。
それから鉱山を回っている内に、
???「よいしょ・・・よいしょ・・・!」
一生懸命、自分の背丈と同じくらいの「つるはし」を手に持って掘り、作業をしている
幼い子供・・・少年・・・いや違う!
ノ「どうして、こんな男しかできない力仕事、男の職場とも言える鉱山の作業に・・・
幼い・・・それも少女がいるんだろう!?」
ノームが驚いて少女を見ていると、一人の鉱夫がやってきて、
鉱夫C「おやノーム様、どうしました?」
ノ「あそこで作業している女の子は、どうしてこんな所で働いているんだい?」
鉄夫C「ああ、ファルナの事ですかい」
ノ「ファルナちゃんって言うのかい?」
鉄夫C「はい、あの子の両親は父親がファルナの小さい頃に亡くなっちまって・・・
ちょっと前までは母親が女手一つでファルナを育ててたんだが、
その母親も最近病気にかかっちまって・・・」
ノ「それであの子が・・・、村人は・・・彼女に家族に何もしてあげなかったのかい!?」
ノームが少し怒りの表情を見せながら鉄夫にググっと近寄る。
鉄夫C「いやいや、とんでもない!!
村長も母親の病気が完全に治るまで
自分がファルナ一家の世話をしようと言ってくれて、
村人全員も協力する事になったんです」
ノ「じゃあ・・・どうしてあの子はここで・・・?」
鉄夫C「それが・・・あの子は幼いながらとびっきりの働き者で、しっかり者でして、
家と私の事は言いからお母さんをよろしくお願いしますって言って、
その後はここへ来て働かせて下さいって、
最初は私達も女の子が鉱夫の仕事なんてできるハズが・・・
と思ってたんですが、これがまたたまげたもんで、
見ての通り大人顔負けの仕事振りなんですよ」
ノ「・・・凄い子だね・・・」
鉄夫C「ええ、それに根っから凄く優しい子です。
すっかり、この鉱山のアイドルなんですよ♪
おっといけねえ、サボってると思われちまうんで、この辺で」
ノ「あっ、仕事中断させてしまってごめんね、頑張って」
深々と頭を下げると鉱夫は向こうへ歩いていった。
ファルナ「よいしょ・・・ふぅ・・・えっ!?うあっ!」
「つるはし」を真上に掲げて振り下ろそうとした時、
振り上げ過ぎたのであろう、彼女はそのままバランスを崩し倒れてしまった!
ノ「あっ!!」
慌てて彼女の元に駆け寄るノーム!
ファ「あう〜、痛い・・・」
ノ「大丈夫!?」
ファ「あっ、はい!えっ・・・えっと、貴方は?」
ノ「僕は大晶霊のノーム、君も名前くらいは聞いた事あるだろ?」
ファ「えっ!!あ、貴方様がノーム様!!お初にお目にかかります!!」
ファルナは倒れていた体をすぐに起こし、正座をすると深々と頭を下げる。
ノ「い、いや、そんなに畏まらなくても・・・
それより、倒れた時に足を怪我した見たいだね、見せてご覧、僕が治してあげるよ」
確かにノームの言う通り、ファルナの足から血が出ている。
ファ「皆の言う通りだ♪お優しいんですね。
でも大丈夫!!私、このくらい平気へっちゃらです!!」
ファルナは、にこっと笑うとおどけて飛び跳ねて見せる!
ノ「そんな遠慮しなくてもいいんだよ?」
あれ?・・・いつも僕の所の来る人間達なら・・・喜んで治してくれって言うのに・・・
彼女は可愛らしい笑顔で僕を真っ直ぐ見ている・・・、
ファ「ふふっ♪ノーム様、お母さんが言ってました、
『子供は転んで大きくなるものだって♪』
こんなの当たり前の事なんですよ、ですから大丈夫!!」
ノ「でもさ、痛くないほうが楽だし・・・」
ファ「う〜ん・・・でも、痛いから頑張れるんです!!
この痛みに負けないぞー!って気持ちになるから♪」
今まで会って来た人間とは少し違う・・・、
ノームは不思議な感覚を少女に覚えた・・・。
ノ「そっか、そこまで言うならいいよ」
ファ「はいっ!!」
ファルナは元気良く返事をする。
ノ「それじゃあ、僕はそろそろ帰るね、これからも頑張ってねファルナ♪」
ファ「ありがとうございます!!ノーム様も頑張ってくださいね!!」
ノ「えっ・・・僕・・・?」
ファ「はい♪」
ノ「あ、ありがとう」
人間に向かって頑張ってとは何度も何度も言った言葉だけど・・・今まで僕が言われた事って
あったかなあ・・・・・、でも・・・・・何か嬉しい・・・。
それからそれからまた何日か経つと、
僕はちょっとだけ普段のライフワークに違和感を覚えはじめた・・・
女「ノーム様〜!最近疲れが溜まってて・・・」
入れ替わりにすぐ次の人間が入ってくる。
鉱夫「ノーム様〜!!足を捻挫してしまって・・・どうか治してください!!」
さらに間髪入れずに次の人間が・・・
男「ノーム様〜!!最近ストレスが・・・・・・」
もちろん、来る人間の疲れと痛みは、すぐに安らぎと治療を施してあげた。
でも・・・
ノ「最近、だんだんここへ来る人間が増えてる・・・・・」
それだけ人間が自分達生活を頑張っているって事なんだろうか・・・
でも・・・
『痛いから頑張れるんです!!』
彼女の・・・ファルナの言葉が妙に僕の胸を熱くする・・・。
そしてある日。
???「ふぉっふぉっ、ここが大晶霊のノームさんとやらの家かい?」
一人の、ヨボヨボに見えるが・・・足腰はしっかりした老人が僕の元に来た。
ノ「そうだけど・・・どうしたの?何処か具合でも?」
???「いやいや、少しおまえさんに話があってのう」
僕を・・・大晶霊を前にして、少しも畏怖や敬意の態度が無い・・・、
ファルナとは、また違った不思議な感覚をこの老人から覚えた。
ノ「話・・・・・・?」
???「うむうむ、おまえさん、本当にこのままで良いのか?」
ノ「!!」
老人の言葉にドキッとした・・・まるで胸を突かれたかのように・・・。
???「与えるだけ・・・それで本当に人は豊かになるのか?」
ノ「あ、あの・・・!!」
???「ふぉっふぉっ、話はそれだけじゃ、お邪魔しましたのう」
老人は突然立ち上がり、静かに去こうとする・・・
ノ「ちょっと待って!!今の話は・・・!!」
ノームが老人を引きとめようとする前に老人は、ふと立ち止まり。
???「あの娘さん、良い娘じゃの♪」
そう言うと、老人は穏やかな微笑を見せ、再び去っていった。
なぜか追う事ができなかった・・・不思議な威圧感が僕を動けなくさせていた・・・。
ウンディーネ「謎の老人・・・・・・」
イフリート「何者だ?、そのじーさん」
セルシウス「こら、まだ話が終わってないでしょ!」
大晶霊達がその話にあーだこーだ話している外で、
ノームはぼ〜っと空を見上げながら・・・、
ノ「どーしてその時に気付けなかったのかな〜・・・・・・
未熟だったんだね〜、僕が・・・・・・」
いつもの彼らしくない表情を浮かべながら・・・ノームは物語の続きを語る・・・。
☆設定補完☆
・ノーム(過去バージョン)
ノームもヴォルトの時と同じであんまり考えてないですねえ・・・(笑)
書いてる感じとしては14〜15歳くらいの口調で書いています。
(でも大晶霊だから、ちょっと偉そうな感じに)
ちなみに体型も今より人間に近いです。鼻もデカくありません。(笑)
・ファルナ 性別 女性 年齢 9歳
地晶霊の鉱山で若干9歳ながら、男の職場とも言われる鉱夫の仕事に励む少女。
家族は2歳の時に父親を亡くし、それからは母親が女手一つで彼女を育ててきた。
今はその母も病気となり、村長&村人達との話し合いの結果、
自分と家は自分で何とかしますから、母の事をよろしくお願い致します。
・・・彼女の言葉に村中が驚いたという。
性格は、とびっきりの働き者で頑張り屋さんでしっかり者♪
それでいて他人にかける優しさと自分にかける厳しさも持っている。
彼女と言う存在との出会いがノームに大きな転機をもたらすことになる。
ちなみに愛称は「ファーちゃん♪」
・鉱夫
鉱山で働く人の事を指す。
遊人
2001/05/08(火)23:49:13 公開
http://www5.ocn.ne.jp/~ingaku/
■この作品の著作権は遊人さんにあります。
■あとがき
約2ヶ月ぶりになりますかねえ・・・。
やっぱりそれだけ立つと、作風も微妙に変わって来てると思うので、
今までのシリーズとは違った印象になるのか・・・な?
「テーマ」は、そんなに重くはないですが、
個人的には、とってもとっても大切な事なんじゃないかなって思ったりもします。