クレーメルメモリー「火」〜フランベルジュの誓い〜
ファラ「よーし、この辺でキャンプしよっか♪」
リッド「賛成〜!、ちょうど腹減ってたんだよなあ」
キール「まぁ、おまえがそういうなら仕方あるまい」
リ「へっ、んなこと言って、本当はバテてんだろ?」
キ「う、うるさい!」
メルディ「キール、へなちょこだなあ!」
キ「・・・ふん!」
リ「さって、メシメシ♪・・・って、うああああ!!」
ファ「リッド?」
リ「・・・・・・クィッキー!、おまえ!俺の飯を盗み食いしやがったな!!」
クィッキー「クィ♪」
キ「ははっ!、おまえがマヌケなんだよ」
リ「なんだとっ!、ああ・・・そんなことより飯があ・・・
飯なしでどうやって生きていけば・・・」
ファ「・・・ホント、リッドの頭にはご飯のことしかないんだから・・・」
リ「!!、おまえだって、『イケる!イケる!』しかないくせに!」
ファ「なんですって〜!!」
キ「まったく・・・二人とも落ち着・・・」
リ&ファ「黙れ!頭でっかち!」
キ「!!、なんだと〜!!言わせておけば!!」
メ「はあ・・・クィッキー、メルディ疲れるな・・・」
ク「クィ・・・キィ・・・」
そんな、よくあるたわいもない会話を見ていたのは、
珍しくクレーメルケイジの外から見ていた、6大晶霊だった。
ウンディーネ「ふふっ、相変わらず仲のよろしいことで」
シルフ「あれを見て平気でそう言えるのはウンディーネだけだと思うよ・・・」
ウ「あら、喧嘩するほど仲が良いと言うではありませんか?」
セルシウス「まぁねえ、でも、ホントあんな調子で大丈夫なのかしら?」
シ「そうそう!、なんか頼りになるんだかならないんだか・・・」
イフリート「安心しな。人間って奴ぁよお、
時にはオレ達、晶霊ですら凌ぐほどの
とんでもねえ底力を出しやがるからなあ」
セ「そうかもしれないわね、・・・そういえば前から思ってたんだけど
貴方、いつからそんなに人間のこと凄く認めはじめたの??」
イ「ん?」
ヴォルト「イフリート、ムカシハ、ニンゲンノコト、
ニンゲンゴトキ、トカ、ヒリキナヤツラ、トカ、イッテタゾ」
イ「ああ、そういえばそうだったな・・・」
ウ「もし宜しければ、そのお話聞かせてくれませんか?」
イ「別にそんな大層な話じゃねえんだけどな・・・
ま、こんな機会そうねえだろうから、話す・・・か」
あれは、あの忌わしき極光戦争がはじまる10年くらい前だったか・・・
一人の人間がオレの元へ来た。
さっきヴォルトの奴が言った通り、あの頃、オレは人間が大嫌いだった。
技術のみを進歩させ、己の肉体を鍛えることを
せず、ただ強力な兵器だけが勝負を決める。心の無え戦いだ。
自分の弱さを克服しようとせず、かりそめの力に頼る。
だからオレは、どんな人間が来ようとも相手にしなかった。
だが、そいつは少し違った。
???「その姿、大晶霊イフリートだな! 俺の名はラティス・フィート!
おまえに一対一の勝負を申し込む!!」
なぜ人間如きに勝負を申し込まれたくらいで、
こんな気分になったかはしらねえが、
妙に久しぶりに気持ちが興奮したことを覚えているぜ・・・。
イフリート「ほう、このオレに勝負を挑むとはな・・・しかも人間が!!」
ラティス「俺は知りたい、俺がどれだけ強いかを!」
イ「フン、で?」
ラ「何だ?」
イ「貴様はどんな『兵器』を使うつもりだ?
銃か?大砲か?
フン、何を使おうがそんなものに負けるつもりはないがな!!」
ラ「ならば見るがいいさ!これが・・・俺の剣だ!!」
あの時は、さすがに驚いたもんだ、当時はメルニクス文明の最盛期。
武器・兵器と言えば大抵が飛び道具、クレーメルウェポンだった。
でもアイツの武器は違った。
そう、奴の言う通りリバヴィウス製の・・・剣だった。
ラ「俺だって、アンタと同じ考えさ、
兵器は確かに強力だ、しかしそれはソイツが強くなったんじゃない、
兵器によって強くなったつもりになっているだけ」
イ「・・・・・・驚いたぜ・・・まさか人間の中にも、
そういう考えを持つ奴がいたとはな・・・」
ラ「まぁ、このせいで俺は昔から異端児扱いさ」
イ「ははは!、そりゃそうだろうよ、しかし少し見直したぞキサマ」
ラ「見直すには、まだ早いさ、俺の実力を見せてない」
イ「いいだろう、大晶霊たる我が力、見せてやるわっ!!」
ラ「ゆくぞっ!」
イ「フン!、その剣が見掛け倒しではないか試してくれる!
ファイアーボール!」
無数の火球がラティスめがけて、飛んでいく!!
ラ「秋沙雨!」
人間をなめきっていた俺にとって、「本当にコイツ人間なのか?」と
思わせる動きだった、一歩も止まらずに、オレのファイアーボールを
連続突きで払い、そのままオレの懐に斬り上げてきやがった。
ラ「その程度か!、火の大晶霊よ!!」
イ「フン!油断しただけよ!、ウオオ!!」
俺は斬り上げて来た奴をそのまま両手で叩きつけてやった。
地面に張りつくばる奴の姿が拝めるかと思ったら、すでに奴はいない!
ラ「痛っつ〜・・・馬鹿力・・・!」
イ「何っ!、あのタイミングで我が両手から抜け出るとは・・・」
ラ「まだまだ!!」
イ「はははっ!!これならどうだ!、フレイムウェーブ!!」
ラ「げっ・・・」
イ「地を這う炎波!かわせるか!!」
ラ「熱っ!このままじゃヤバイな・・・
・・・炎波・・・波?・・・そうか!!烈空斬!!」
オレはコイツの戦いぶりに少しずつ惹かれていた、
オレ達のような完成されたものではなく、
「閃き」って奴なんだろうな。思い出しても笑っちまう・・・アイツさ、
波に乗りやがったんだ!
イ「なんて面白い奴だ・・・オレの炎波を乗りこなしてやがる!」
ラ「流れに乗ればこっちのもの!、いっくぜ〜!!」
イ「うおっ!?」
ラ「空破絶掌撃!!!」
強烈な一撃だったぜ・・・ああ、もちろんオレの肉体のダメージもそうだが、
心だな、オレ達、晶霊は、物質界も精神界も行き来できるから、
心の『想い』ってのが凄くダイレクトに伝わってきやがる。
効いたぜ・・・あの時の一撃はよ。
イ「ふはははっ!!!おまえの気持ちにオレも応えてやる!
エクスプロージョン・ノヴァァァァァ!!!!!!」
ラ「うおおおお!!、耐えて・・・耐えて・・・見せ・・・」
「ドッカーーーーーーーーーーーン!!!!」
さすがにあの時ばかりは焦ったぜ・・・
オレもよ、つい調子に乗りすぎちまって、
力加減をちょっとばかし強くやっちまってよ・・・。
イ「・・・わりぃ。。チッ、惜しい奴を亡くし・・・」
ラ「痛痛痛・・・おいコラッ!勝手に殺すんじゃねえ!!」
アイツが瓦礫の下から這い上がって来た時は
嬉しくてホントたまらなかったぜ・・・。
イ「はははっ!!、気に入ったぞ気に入ったぞ!!人間!!」
ラ「ラティス!・・・ん〜、長いと覚えられないか?
じゃあ、ラティでいいさ」
イ「余計なお世話だ!・・・が、ラティだな。覚えたぞ」
ラ「ふっ、それにしてもやっぱり強いなアンタ」
イ「ガハハ!!、当たり前だ!!
なんてったってオレは火の大晶霊だからな」
ラ「全力で攻撃したんだけどなあ・・・あんたピンピンしてるもんな・・・」
イ「そうでもないぞ」
ラ「えっ?」
イ「オレ達は自然界の一部でもあるからな、ある程度の傷は勝手に
自然界の産物が治しちまう、オレの場合は火だな
要するに、今は治っちまってるけど、あの攻撃を受けた瞬間は
なかなか効いたぜ」
ラ「ホントか!?」
イ「ああ、それに波乗り、笑っちまったぜ、アレにはよ」
ラ「・・・咄嗟に思いついてしまったんだから、しょうがないだろ・・・」
イ「いや、アレには完全に虚を疲れたもんだぜ」
ラ「そういってもらえると嬉しいかな、
ふぅ・・・でも全力で戦った。完敗でも気持ちの良いものだな」
イ「オレも久しぶりに熱く楽しい勝負だったぜ、
それもそんな勝負を人間が味あわせてくれるとはな。
そういや今さらだけどよ、何でオレに勝負を挑んだんだ?」
ラ「最初に言った通り、自分の強さが試したかったから・・・かな、
大抵の人間に一対一なら勝てるようにまでなって、
でも、それでも自分の強さは、まだまだこんなもんじゃないって思って
アンタのとこに来た」
イ「そうか・・・オマエもオレと同じだな、
ひたすら己自身の強さを求め続ける姿勢・・・
人間にもオマエ見たいな奴がいたとはな・・・まぁ、
その・・・なんだ・・・、オレも少しは人間のことを見直したぜ」
ラ「だから、俺は異端児だってば・・・」
イ「気にするんじゃねえ!異端児だろうが、アイツらと同じ人間なんだろ?」
ラ「・・・そうだな。そうだ、再戦の予約、入れといていいか?
何年かかるかわからないけど、きっとアンタより強くなって、
今度こそアンタを倒す!!」
イ「ああ、望む所だ!!、今度は『お互い』全力で戦おうぜ!
・・・おお、そうだ!コイツを持っていけ!!」
そう言うとイフリートは、自らの肉体から一本の大剣を産みだした!!
ラ「この剣は・・・?」
イ「オレの分身みたいなもんだな、コイツをおまえにやるから、
この剣で腕を磨き、そして強くなれ、何年でも待ってるからよ」
ラ「『誓いの剣』と言うわけだな」
イ「ああ」
ラ「この剣の名前は?」
イ「フランベルジュだ」
ラ「分かった、この炎の大剣フランベルジュ、
俺とアンタの再戦の誓い・・・そして友情に証と共に受け取ろう」
イフリート「絶対に待ってるぜ」
そして奴は洞窟から出て、また修行の旅に出た、
あの戦いぐらいからだろうな、
オレが人間のことを少しずつ見直していくようになるのは・・・
後編へ続く。
遊人
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■作者からのメッセージ
そーいうわけで!新シリーズをはじめてみました。
よく考えたらずっとイン学シリーズ書いてたから、こういう普通のタイプ。
って、はじめてだな・・・(笑)
正直言って、このシリーズかなりストーリーが重くて暗いです!(爆)
落ち込んでいる人はあまり読まない方が良いかもしれない・・・。