45cmドブソニアン 「ユラ・トラス」

 兵庫県にお住いの由良さんが製作した45cmドブソニアンです。以前は45cmドブソニアン「OHZUTSU」を製作して使用しておられましたが、観望会へ持参する労力や負担が大きく、簡単に移動・組み立てが出来る軽量なドブソニアンが欲しいと言う思いが「ユラ(由良)・トラス(構造)」の製作となったそうです。

 写真でもお解りのように、木目を生かした思い切ったデザインはギャラリーの目を引きます。大胆なデザインは主に合板で構成された鏡筒・架台を軽量化する事に貢献しています。主鏡や支持部品類は「OHZUTSU」から転用することで、低コスト・短期間での工作が可能になったようです。「OHZUTSU」同様、接眼部にはフィルタースライダーを組み込んであります。

yuratruss

 架台の上に、すでに主鏡・耳軸部が取り付けられている状態。架台の中央がポッカリ開いているのが分かります。中華テーブルなどに用いられるベアリングを使うことで、思い切った軽量化が図れました。
 横から見たところ。耳軸には荷重による変形を防ぐ意味もあって横棒が2本取り付けられています。日本では殆ど例を見ないくらい低重心設計であることに注目。
 トラスパイプ取り付け部付近。主鏡はアメリカでよく用いられる手法(「The Dobsonian Telscope」で記されているように、幅広ベルトで主鏡下部を支えるだけ)で支持されています。固定されていないので簡単に取り外しすることが出来ます。
 トラス棒が主鏡部に差し込まれたところ。大型機では珍しく(?)6本トラス。軽量化を意識しての設計なのでしょうか。トラス棒2本で一組になっていて、組み付けも時間が掛かりません。
 由良さんが接眼部ユニットを取り付けています。画像では二人で作業していますが、軽量なので一人でも組み立てられるそうです。
 組み立て完了。車から一点ずつ降ろしてのゆったりとした作業でしたが、パーツが揃っている状態なら、10分もあれば組み立てられそうです。接眼部の反対側には遮光用のPPシートが取り付けられています。
 ユラ・トラスの背後から見たところ。主鏡部がシースルー構造になっているのがわかるでしょうか? 光軸調整は工具レスで、ノブスターを回すだけの構造になっています。
 接眼部回り。木目部分に円盤状フィルタースライダー(ターレットと呼んだ方が良いのでしょうか?)が組み込まれています。接眼部左下の黒い丸は、使用中のフィルター
 ファインダーはトラス棒に取り付けられています。接眼部ユニットが取り付け面積の確保が難しい事や、バランスの面からも有効な手法です。
 ユラトラスを正面から見たところ。遮光板は接眼部の反対側にのみ取り付けられています。このあたりもアメリカンな雰囲気を感じるところです。

 ユラ・トラスは口径が45cmとは思えないくらい滑らかで軽い動きが特徴です。デザインだけも驚かされるのに、この軽さは同クラスのドブソニアンでは経験した事のないものです。このデザインからも分かるように、普通なら迷光やコントラストを気にしてトラスカバーを掛けるのでしょうが、煩雑さを嫌って現状では考えておられないそうです。望遠鏡自体が軽いため(遮光板の影響もあって)風にあおられて勝手に動いてしまうのが悩みの種になっています。そのため水平回転部にはテンションをかけて改善してあるそうですが、まだ調整段階だそうです。動きを渋くする事自体は全然難しくない事ですが、軽快な動きが無くなってしまう事を考えると惜しくて悩ましいところでしょうね。この他にも問題点はあるのですが、この先少しずつ手を加えていくそうですから充実した時が楽しみであります。