熱量に溶ける全ての記憶、映像、残像



人生に必要なもの
浅い眠りに落ちる前の開花は記憶の映像



( ある冬の日、私は女に
  私のくちびるにワセリンを塗ってもらう
  くちびるのひびから体内へと侵入する
  彼女の手にすくい取られたワセリンの成分
  冬の日、私はそれを思い出し、なんどとなく
  幸せな気分に包まれた           )



映像は捏造され、新たに刷り込まれる
複雑回路の中、信号は送られ続ける
止むことのない外界との接触が
止むときに君が側にいてほしい


眠りの中でさえ、私の頭は夢に侵され続け


現実と夢と過去を行き来している



いつでもどこでも、君と会える
私の捏造された意識は
何処までも、飛躍し、それは、銀河の果て
しかし回路を手繰れば
それはただのタンパク質に変わってしまう


飛躍途中の一瞬の継ぎ目、揺らぎを
私はうまく補正しなければならない
信号の継ぎ目を見つけてはそこに
架空の電流を流す、架空の刺激を流す
架空の映像を、刷り込む


私は、このようにして、いつでも君に会える。