熱量に溶ける全ての記憶、映像、残像


耳から受け取る刺激を印象という回路を通して文字へと変換する作業
目から受け取る刺激を印象という抽象を介して言葉へと変換する作業



経験に基づく色や、温度は手からこぼれ落ちそうなほどたくさんある
そして私はそれらをこぼし、地面にぶつけ、壊す
弾ける、飛び散る、鮮やかに、色温度、こびりつく、
積み重なったその色調、表層しか見ることの出来ない意識
深層から漂ってくる、不思議な映像
私は表層と深層の交わるところでただ、寡黙


私はまた壊す、そして、表層を押し上げて行く
映像は妨害を受け、メッセージは弱くなっていく
消えかかるそれを意識は捉えようとしない
私は私であるのだろうか、寡黙に、受動的


映像の錯乱、映像の混乱、映像の捏造
視覚の錯乱、意識の混乱、
幻聴を聴く、


振り返るとそこに、私は私を見る
色温度が作り出した意識上の蜃気楼
掴もうにもすり抜け捉えられない
知覚される実体のない映像は接触出来ない


視覚から伝わってくる、もう一人の私
という警句を私の意識はすぐに取り入れようとせず
体はややそれより先行して動いている
意識が警句を受け入れたとき、初めて電気的な速さで
私の体中に悪寒のような、細い刺激が走る


拡散する、色温度、悪寒は内面から表層へふわっと、浮く
徐々に温度が下がり始め
私は蜃気楼をもう、その温度で維持することが出来ない
そして、もう一人の私は霞む
私は、凍えるだけ


私は全ての不都合を飲み込み、消化し、廃棄した
そこに新しい私が待っている