こっちとそっちの境界線上
ふらふらと揺れる僕は
思い切り吸い込んだ






紫陽花が揺れていた
その豊かな重みを持つ
半球状の傘を
乱暴に取り去る手が
あった

道に捨てられる
紫陽花の花







素敵な夢だった
走る、僕ら

そこに彼がいればもう
僕らは負けるはずもなく

起きて考えるその夢の先




そして、白い部屋


窓枠の白い部屋で
白いベットに横たわる
そこにあるのは
冷たい白の感触と
湿っていく布のみ



コンクリートの

打ちっ放しの中を
足音をたてて歩く
反響する足音と
音が響いて
骨に響いて
痛む頭、頭蓋骨

鳴り止まない
足音が
焦燥感を駆り立てる




農村、夕陽、魚

全てが夢を見る
おだやか、な、休暇は
魚釣りをする少年の影だけがのびていく
それ以外は全て、縮んでいく世界





また、白の旋律


クーラーの上下に動く羽根
その羽根がカタカタ鳴って
ぎこちなく動いていく
冷えすぎた部屋と
冷え症の僕と
読書好きな彼女と
側に寄り添いたい僕と
そして優しく抱いてくれる君


冷えた部屋で幸せは続いていく






プラスチックの容器


昔、特殊な匂いを放っていた
鼻をつく特殊な匂い
その中で生きていた生物が
その姿をとどめないまで
朽ち果てると
綺麗になった
プラスチックの容器


その大きな容器の中、僕は浸かっていて
得体の知れない液体がたっぷりと入っていて
液体の浸透で犯された頭
終わることのない夢を見続けている