dr.stu.ii.n2.=不可解な夢


壊れかけのラヂオを持って立ち上がる
白い浜、潮の香り、君の手を引く


ざぁざぁざぁざぁ
潮の音、海鳴り、ごうごう
ラヂオは世界を受信している
はっきりとした光景を見る
白い日射しがおりてきている
君の手を引く
走る、転ぶ、君はどこに
僕は砂を口に入れてしまう
気持ち悪くって吐き出す何度も何度も


波、白く泡立って
弾ける
ディストーションする
高音の潰れたギターの音
壊れたラヂオから聞こえる



大きく空をジェット機が飛んでいる
全ての声が掻き消され
音が収束してまたそこから拡散していく


拡がった先に残響を伝えるラヂオ








君の手を引く
温もりだけで確かめる
この温もりは君の温もり
間違いない君の温もり
肩にのせられた君の重たい頭部の
温もりと同じ温もり
手を引く、今は走る、波打ち際を

ラヂオから声が君の声が
振り返ると君が僕を呼んでいる
その声はやはり触れきってしまったコーン紙
よく聞こえないけれど



白い浜辺、砂はさっきより渇いている
また座り込んで隣に君が
僕は次のラヂオの局を探している