dr.stu.ii.n2.=不可解な夢


大きく切り取られた窓 見える風景 夜 言葉で表されていく




くだらない妄想の箱を壊して座り直した


水蜜桃をまた、ひとくちだけ、口に入れる
強烈な甘み
麻痺していく舌
焼けていく咽頭
体のなかは繋がっていて
咽頭から食道を通って胃へと流れる
水蜜桃の位置をはっきりと感じている間
目を閉じることは出来ない


青い水蜜桃はまだグラスにゆったりと残っていて
夜は水蜜桃を目指して

夢のように甘く宝石のように輝いた日々だった

誰かは言っていたけれど
それらは水蜜桃の青くゆったりとした揺れ幅より
はるかに小さな現象の一部でしかない


私は焼かれていく体の中から言葉を発することは出来ない
壮大に切り取られている大胆に切り取られている夜は
静かに水蜜桃に溶け込む


純粋な夜の味がする水蜜桃をまた、ひとくち

プリズムしている温かい昼光色の灯り
色褪せたソファで力を無くしていってしまう
厚く黒い木のテーブルは何も言わずに光を受け


耳の奥で越境する妄想が私を壊そうとしている
沢の音が聞こえる
水蜜桃の沢に私は、いる

水面で光が弾け、瞬間、沢の緑は落ち、また生え
循環していく、周期の早さ
体内の水蜜桃は私をゆっくりと蝕む
その周期の早さは、驚くに値しない早さ


水蜜桃を全て体内に入れたとき私は
希望や妄想を超え現実になろうとしているものと
向き合わなければならない