中央アルプス 田立の滝、奇美世滝

中央アルプス 田立の滝、奇美世滝のアイスクライミング

奇美世滝
奇美世滝全景

山行日   : 2005.02.10(夜)〜2005.02.13

メンバー :坂口  原田  有本  中武  平井  高橋  小菅  藤田

2/10 JR郡山駅東口22:00 → 中津川IC → 国道19号線 → 南木曽町 → 田立の滝キャンプ場で仮眠
2/11 田立の滝キャンプ場8:05 → 坪栗駐車場8:28 → 螺旋滝9:37 → 霧ヶ滝10:35 → 坪栗駐車場14:02 →
          田立の滝キャンプ場14:27 → 上松町 → 芦島キャンプ場 木曽駒荘
2/12 木曽駒荘 8:36 → 小野川 奇美世滝 10:25 → 木曽駒荘
              (中武、小菅さん夕刻帰奈)
2/13 木曽駒荘 → 国道19号線 → 松川IC → 大和郡山





2/10
    待ち合わせ場所のJR郡山駅東口で待つが、二人がやってこない。もしかして、よく待ち合わせに利用する三の丸会館前で待っているのではと考えて携帯電話に連絡をしてみると、案の定「三の丸で待ってマス」の返事。出鼻からずっこけてしまった。気を取り直して、二人を三の丸会館前まで迎えに行き、無事出発となる。
名阪国道、東名阪、名古屋高速、東名、中央とつないで中津川ICから国道19号線を北上し、田立の滝キャンプ場のこまどり山荘前の駐車場にテントを張り仮眠する。


2/11
    朝から、期待どうりの好天。各自で朝食を済ませて、こまどり山荘前を出発する。

    積雪に埋まった車道をのんびりと歩き、人気のない坪栗駐車場で休憩をとる。これから田立の滝への遊歩道となる。中途半端に締まった雪は、時折足が潜り込んで歩きにくく、時間ばかりが過ぎていく。
1時間かかって、最初の滝の螺旋滝に到着する。ここまでで、思いのほか体力を消耗してしまった。氷瀑はというと対岸の側壁に発達が見られるものの、その対岸に渡ることができない。ここは、あっさりと諦めて上流の滝に期待することにする。またぞろ1時間の歩きにくいラッセルで、霧ヶ滝に到着する。

    水量が多くて南向きの滝は、氷河期でも来なければ氷瀑になりそうにないが、傾斜が弱いものの滝の左手が凍っている。疲れているし今期初めてのアイスクライミングということもあり、ここで遊ぶことにする。全員が2度程氷の感触を味わうが、何分にも傾斜が弱く短い滝なので刺激が無くて飽きてしまい、早々に切り上げて下山する。

 出合にある橋
 霧ヶ滝に到着
 霧ヶ滝のアイスクライミング
 
    車で上松町に移動。駅近くの店で今夜の食料と酒を仕入れる。車に乗って今夜のテント場を探しながら周辺をしばらくウロウロするが適当な場所が無く、芦島キャンプ場に向うことにする。日も暮れてきて凍りつき始めた雪の山道を不安を感じながら車を走しらせる。すっかり日が暮れて芦島キャンプ場らしき場所に到着する。

    道の右手の明かりの点いている一軒屋を過ぎたところで、適当にテントを張ろうかと相談していると、一軒屋から二人が出てきてこちらを覗っている。もめごとになるのも困るので、一応テントを張らせてもらうことの了承をとるために、こちらを覗っている二人のところに話をしに行く。「ここは木曽駒山荘で、今夜は小屋に泊まったらどうだ。」との申し出を受ける。何となく怪しげな二人(失礼!)は、『実は狸で我々をだまそうとしているのではないか?』と疑う程の驚異的な安い金額で誘ってくれる。怪しげとはいえ、あまりの安さに「今夜は小屋泊まり」に即刻決定。(この決定が今回の山行を馬鹿楽しくしてくれた。)

    中に通されて部屋にザックを放り込み、怪しげな?二人のいる部屋で夕食の準備をさせてもらいながら、いろいろと話を伺うと、「山渓JOY」の企画で廃業した山小屋を再生させようと集まった山好きなメンバーだということ。この木曽駒山荘を再生している会の名前が「ヤマケイ木曽駒会」だということで、怪しげな?二人が、会の会長さんと事務局長さんだということが判った。
どうやら「狸ではなさそうだ」と安心したところで、大宴会の始まりとなる。

夕食

会長さんと事務局長さん

目的と活動

夕食という名の大宴会

  

ヤマケイ木曽駒会の会長さん(右)
と事務局長さん(左)
  

ヤマケイ木曽駒会の目的と活動
   ・・・会員募集中です!・・・


2/12
    暖かく、快適な夜を過ごさせてもらったものの、昨夜の酒が抜けきらず遅い起床となる。昨夜は、「5時に出発する」と騒いでいた輩はいっこうに起きてこない。ゆっくりと食事を済ませて、モタモタと出発の準備に取り掛かかり、8時36分にやっと出発する。

    小屋横から林道を辿り、ほぼ2時間で奇美世滝に到着。初めて見る奇美世滝の圧巻さに、登攀意欲は押しつぶされそうだ。滝そのものよりも、右岸に広がる氷結した側壁が滝の迫力を増している。しばし、呆然という感で眺めた後に登攀の準備に取り掛かる。その間に、我々の力量でも登れるラインを探すが、幸い?なことに、今日は滝自体は氷結しておらず登攀対象にはならない。側壁に我々でもなんとかなりそうな2本のラインを見つける。
 
    中武さんが右のラインに取り付き順調にロープを伸ばす。左のラインに小菅さんが取り付くが、アイス専用アイゼンではないので大事をとって途中敗退。ピンチヒッターで藤田が左ラインに取り付く。
    中間部は凹状部にラインを求めたものの氷が薄く、左から回り込みその上の緩傾斜で一呼吸する。ここまでに、すでに腕が張ってきて精神的にも追い詰められてしまった。上部は垂壁を避けて傾斜が僅かに弱く凹状となっている右よりにロープを伸ばす。もうひと踏ん張りで氷壁を抜け出るという高さまで登りつづけた時、右手下部から大きな音が聞こえてきた。右のラインを登っている中武さんが墜落したようだ。ロープにぶら下がっている姿がチラリと見えたが、10m近く落ちたようだ。嫌が上にも緊張が高まる。

    氷壁を抜けると終了点までの2m程は岩の露出となる。いやらしいことに、ホールドが少し外傾している。最後に埋めたアイススクリューは、足元から5m以上も下方にあり、絶対に落ちる訳にはいかない。恐ろしくて外傾したホールドに置いた足に乗り込めない。右手を見ると、終了点前に中武さんのアイスバイルが草付きに突き刺さった状態で残っている。 『氷より、ここが核心じゃん!』 しばらく躊躇を繰り返すが、覚悟を決めてそっと乗り込む。2歩で安定したホールドを得てほっとする。ロープをセットできる立ち木まで登るが僅かにロープが足らず、確保を解除してもらう。

    懸垂下降で取り付きまで戻ると、なにやらおかしなムード。確保をしていた坂口さんの顔に落氷が当たり、顔が張れて鼻の横から出血している。救急用品は持っているものの、これといって手当てをするすべも無く、取りあえずツェルトで身体を保温して安静にする。代わるがわるトップロープでアイスクライミングを楽しみ、顔の怪我をした坂口さんも出血が治まったところで、「せっかく来たことでもあり・・・・。」ということで、左のラインを途中まで登る。
アイススクリューとロープを回収した後に、来た道を辿って木曽駒山荘に意気揚々と下山した。

朝の小屋

小屋前で記念写真  

林道

木曽駒山荘の朝


  

出発前に玄関先で全員の記念


  

滝までの林道を辿る。


奇美世滝の側壁の易しいライン
を登る。

 

左側ライン上部。
緊張が高まってくるところだ。

 

ロープを2本つなぎ、トップロー
プで全員がトライする。

    明日は仕事という小菅さんと中武さんは、後ろ髪を引かれながら車で帰奈していった。他のメンバーは、ヤマケイ木曽駒会の会長さんと事務局長さんが買出しと調理をしてくれたすき焼きで、二日目の大宴会に突入となる。昨日と同様に正体を失うほどに酔い、いつ終わるともしれない宴会は深夜まで続いたのであった。


2/13
    随分お世話になった会長さんと事務局長さんにお別れをし、上松の「ねざめの床ホテル」で汗を流して、国道19号線を通り松川ICから中央に乗り、帰奈した。