南アルプス池山吊尾根から北岳

野呂川から鷲住山に登る途中から見た間の岳稜線



山行日   : 2007. 12.29(夜) 〜 2008. 1. 2
メンバー : L.藤田、高橋、坂口、有本、今井

29日 :

30日 :

31日 :

 1日 :


 2日 :

大和郡山 20:00 - 白根中央公園 13:30頃

白根中央公園 - 夜叉神峠 8:35 - 鷲住山入り口 10:20 - 野呂川林道 12:00 - 歩き橋 12:30

歩き橋 8:00 - 池山避難小屋 11:25 - 森林限界下の樹林帯テント場 14:00

テント場 7:10 - ボーコン沢の頭 8:25 - 八本歯 10:15 - 北岳頂上 12:10 - 八本歯 13:05 - ボーコン沢の頭 14:25 - テント場 14:50

テント場 7:10 - 池山避難小屋 8:05 - 歩き橋 9:45 - 鷲住山入り口 12:20 - 夜叉神峠 13:40 - 奈良




<12/29>
 20:00JR郡山に集合して、今井号で出発する。
名阪・中央・中部横断自動車道と乗り継いで白根インターで降り、国道52線を北上して御勅使(みだい)南公園に到着する。駐車場は夜間は閉鎖されているが、車止めを少し動かして中に入らせてもらい、最奥の駐車場にテントを設営して仮眠させてもらう。


<12/30>
 テントから顔を出すと朝の予想に反して、青空が広がっていた。
ゆっくりと支度をして夜叉神峠へと車を走らせる。山に近づくにつれて天気が悪くなり、時折雪が舞い始める。夜叉神峠は北岳方面と鳳凰三山方面に向かう登山者の車が、相当数停車している。
我々も登山準備をして、南アルプススーパー林道を歩き始める。まもなくで夜叉神トンネルに到着する。トンネルは入り口がしっかりと閉鎖されているが、左下に何とか人間が通過できる幅の鉄格子部分があり、格子部分からザックを押し込んで中に入る。ヘッドランプの明かりを頼りに、長いトンネルの中を歩く。長短あわせて9個のトンネルを抜けながら歩いて鷲住山入り口に到着する。単調な林道歩きを終えて、ここからは登山道だ。
 鷲住山への登りの道は結構露岩の道で、まだアイゼンを付けていないと、薄っすらと雪が付いた岩に緊張させられる場面もでてくる。鷲住山頂上で休憩する数名のパーティを追い越して、野呂川への下りに掛かる。時折雪の下が凍りついているところがあり、うっかりすると尻餅をつく羽目になる。傾斜が急なだけに、終始緊張させられる。緊張の下降を終えて野呂川に架かる吊橋を渡る。対岸の林道まで這い上がり、野呂川第2索道の入り口で一休みしながら、緊張した身体をほぐす。トンネルを三つ抜けてほどなく歩き沢橋に到着する。ここから池山避難小屋までの急登が始まる。『まだ早い時間だし、かといってこの先の天候は、今日より明日、明日より明後日の方が良くなるだろうし、寝不足で疲れた身体で小屋まで上がる価値があるのか?』どうしたものか思案した挙句、予定の山行期間も充分あることだからと、今日はここにテントを張ることにする。
 早々からテントの中で酒盛りをはじめ、19時過ぎには二つのテントに別れて就寝する。

   
北岳や鳳凰三山に登る登山者の車が多く停車している夜叉神峠を出発です。
 

雪の降る中、南アルプススーパー林道を歩きます。

 

まだ早い時間ですが、歩き沢橋でテントを張ることにしました。



<12/31>
 5時起床。あわてて行く必要も無いので、のんびり雑炊を食べ、アイゼンを付けて出発する。急登とは聞いていたが、まさに急登だ。つづら折の道を息を切らせながらゆっくりと登り、ほぼ2時間で一度傾斜が落ちる。再び急な登りをこなして、緩やかな尾根をしばらく歩けば避難小屋に到着する。ここまでくるまでに、下山する数名の登山者とすれ違う。

 今日の予定は、森林限界下から八本歯間の稜線上にテントを張ること。早い話が行けれる所までだ。
避難小屋から再び急登が始まる。1時間程登ったところで、テントを撤収して下山準備をしているパーティから情報を仕入れる。「雪が多くて頂上を踏めなかった」とのことで、どうやらゆっくり登ってきた判断で良かったようだ。森林限界まで後一歩というところまで登った右手に、うってつけの平地を見つけて少し早いが今日のテント場にする。

 
歩き沢橋からいきなり胸を突くような急登が始まります。   緩やかな尾根道となり、少し下り気味の道になると池山避難小屋に到着します。   小屋から再び急登の道になります。



<1/1>
 今日も5時に起床。アタックの日だが、天気は残念ながらガスがかかり粉雪の舞う悪天候でがっかりする。昨日のしっかりしたトレースは、大半が埋まっていて足でトレース跡を探りながらラッセルを続ける。
7:50森林限界を超え、ボーコン沢の頭を目指してラッセルを続ける。少し傾斜が強くなった斜面を登ると、右手からの支稜線と合流するボーコン沢の頭に到着する。頭は風が強く稜線上の雪が吹き飛ばされて地面が露出している。緩やかな稜線を一度下って、登り返しながらラッセルを続ける。やがてガスの中、前方に岩肌をみせて八本歯への急な登りが現れてくる。
 これから急な登りとなる直前で上方を見ると、上部から下山してくる登山者らしき影が見てとれた。『ヤッター。これでラッセルから開放される』と安堵する。「昨夜、八本歯のコル付近にテントを張った。稜線は風が強いですよ。」とのこと。一先ず、そこまでは彼らのラッセルを利用させてもらえ『感謝!感謝!』。トレースを追って登り、八本歯への下降となる。固定ロープを頼って下降をするが、勝手に想像していた程の厄介な下降ではない。それでも、慎重に下って八本歯のコルに降り立つ。少し登ったところで、再び上部から下山してくる登山者とすれ違う。「北岳山荘への分岐付近にテントを張った。」とのこと。トレースはそこまで確保されたということで、再び『感謝!感謝!』である。

 北岳山荘への分岐を過ぎ、すでに埋まってはいるが、人の歩いた痕跡もポツリポツリと見てとれているので、ひたすら稜線を忠実に詰めていく。やがて、頂稜は岩稜で右斜面が雪壁という状態となる。『なんか変だな。』と思うが、雪壁から三級下程度の岩登りをこなして頂稜に這いあがる事にする。下を見ると雪の斜面が続きガスの中に消えている。『ここで落ちれば、大樺沢の底まで一直線だな。』と思えば、嫌がうえでも凍てついた岩角を掴む手に力が入る。先に稜線にあがった高橋さんから「あっち(左下)に夏道が見えていますよ。」と言われるが、いまさらどうしようもない。そのまま稜線を伝っていくと主稜線と合流する。さすがに主稜線は風が強い。ガスでどこに頂上があるのか判らないが、取合えず高い方に向かって稜線を辿り、「あれかな?違うなあ。」を2回繰り返し、3回目で頂上に辿り着く。

 頂上は以外にも風が弱く、ガスで周辺は見えないものの、のんびりと行動食で腹を満たしながら、しばし登頂の感動に浸る。
吊尾根分岐を経由して八本歯のコルへと下ることにする。吊尾根分岐からの下り斜面は、強風で雪が吹き飛ばされていて、しっかりと夏道が出ている。後続のパーティとすれ違い八本歯のコルに到着。すでに消え始めたトレースを辿ってテント場に戻る。

   
粉雪の舞う生憎の天気だが、アタックすることにする。

ボーコン沢の頭に到着です。
八本歯のコルに至る稜線の下りはチョッピり緊張する場所です。
北岳山荘分岐です。


ルートを間違えて真直ぐ進むと徐々に岩稜となってきます。
ガスの中、誰もいない北岳頂上に到着。
下りは夏道を忠実に辿る。

八本歯のコルからの登りです。
アタックを終えてテント場に到着。



<1/2>
 皮肉にも下山日はいい天気となる。朝日に照らされた富士山や鳳凰三山に感嘆の声を上げながら入山と同じ道を下り、車の待つ夜叉神峠まで歩く

   
下り途中の稜線で、後方から朝日の差し込む富士山が・・やっぱり富士山は特別な山だなと感じる一瞬です。

  左手を見ると鳳凰三山が目の前に広がっています。

  のんびりと林道を歩き、夜叉神峠に到着しました。

− 藤田 −