北アルプス 北鎌尾根から槍ヶ岳

北アルプス 北鎌尾根から槍ヶ岳

大天井岳と槍ヶ岳 (クリックすると拡大します。)

大天井岳と槍ヶ岳



山行日   : 2006.05.02(夜) 〜 2006.05.06

メンバー : L藤田、有本、今井、川口、坂口、高橋

3日 : しゃくなげ荘出発5:15 − 中房温泉出発6:20 − 第1ベンチ6:53 − 合戦小屋9:20|9:40 − 燕山荘11:10 |12:13 −
      − 蛙岩12:45 − 大天井岳頂上16:20 − 大天井岳荘16:30
 
4日 :大天井荘出発6:20 − 大天井ヒュッテ7:02 − 牛首展望台7:36 − 貧乏沢のコル8:25 − 天井沢9:38 −
      − 北鎌沢出合10:15|10:40 − 北鎌沢のコル12:54 − P8頂上 14:20
 
5日 :P8頂上 5:05 − 独標基部 5:40 − 独標ピーク5:56 −北鎌平8:57 − 槍ヶ岳頂上10:10 − 槍ヶ岳山荘10:50|11:30
      − 槍平小屋13:55|14:30 − 横尾山荘15:55
 
6日 :横尾山荘8:05 − 上高地10:56|11:30 − しゃくなげ荘 − 奈良21:45






〈2日〉
   21:45三の丸会館に集合し、2台の車で西名阪、東名阪から中央道 豊科インター。そして、しゃくなげ荘の駐車場に着いたのは3時前、車の中で少し仮眠。

〈3日〉
   5:15のバスで中房温泉へ。臨時バスも出ていて、昨年の年末に中房温泉に歩いてきた時とは大違い。人でいっぱいである。準備をすませ6:20に出発。天気は良く、快晴。
大天井岳の登り (クリックすると拡大します。)
 いきなり急登 合戦尾根の登りがはじまる。放射冷却で歩き始めは凍っていて、途中でアイゼンをつける人もあり、行列状態。暫くすると間隔も空いて歩きやすくなるが、朝一の登りはやはり疲れる。
 第1ベンチには6:53着。その後2回ほど休憩をはさみ、やっと合戦小屋(9:20−40)。天気が良く眺めも良い。計画では今日の予定は燕山荘まで、しかし、後の行程を考えると行ける所まで行っておいた方が良いとの事。燕山荘に着いた時間で先の行程を決めようと歩き出す。尾根を歩いていると槍ヶ岳が見えた。あそこに着けるのは何時になるのかなと思いつつ、ひたすら登る。途中で私の両足がつってくる。去年のお正月と同じ症状。休み休み11:10燕山荘着。

 大休止をとってもらい、燕山荘でココアを飲み、体を暖める。高橋さんも足の調子が悪いらしく、私と共に藤田さんにテーピングをしてもらい、行ける所まで頑張ろうと、大天井岳を目指す。夏時間では地図によると2時間半の行程。稜線歩きだし、今までの様な登りはないからと思ったが、甘かった。遠い遠い、なかなか大天井岳が近づいて来ない。暑さ、寝不足でバテバテである。元気なのは有本さんぐらい。夏は大天井岳に登らずトラバースでき、大天井ヒュッテにいけるが雪があるとトラバースは出来ない。大天井岳に登る16:20着。大天井ヒュッテまで下るにはまだ30分以上かかる事から、今日は大天井荘でテントを張ることにしてもらった。

 テントを張って、しばらくすると夕焼けがきれいに空を染め、槍ヶ岳、奥穂高岳が染まっていた。今日は高低差1280mを登ってきた。明日は770m下り、そして770m登る予定。
夜は水炊き。元気な3人は燕山荘でビールを仕入れて来たが、昨夜ほとんど寝ていなくて、今日の疲れもありアルコールはあまり消費できずに就寝。

中房温泉

 

燕山荘への最後の登り

 

燕山荘からの槍ヶ岳 (クリックすると拡大します。)

 バスで中房温泉まで入り、いよいよ登山が
 始まる。
 
   燕山荘にようやく到着。
 
 
 

 燕山荘からは、ため息がでるほど遠くに、
 目指す北鎌尾根が見える。
 

蛙岩と槍ヶ岳



登りをひかえて、すでにバテバテ状態



何とかたどりついた大天井岳頂上

 蛙岩の通過は、中腹右手の岩場を巻くこと
 になるが、下りに緊張させられる。
   大天井岳への登りをひかえて、すでにバテ
 バテ状態のメンバー。
   なんとかたどり着いた大天井岳の頂上。
 『もう登らなくていい!ヤレヤレ!』

〈4日〉
   夜半から風が強くなり、テントに煩い位に風が吹き付ける。しかし今日も快晴。結構冷え込んでいる。
大天井ヒュッテまで急な下りがあるため、ハーネスをつけて、6:20出発。牛首展望台に7:36着。稜線を歩きすぎてしまい、少し戻って最低コルから貧乏沢を下る。貧乏沢は尻セードで30分で下れたという記録があったが、今年は尻セードで滑れる状態ではなく、ひたすら下る。長い下りで膝が笑ってくる。もうすぐ天上沢という所で、沢からの水が飲め、十分に喉の渇きが癒せた。そして、天上沢から北鎌沢右俣をめざす。

天上沢沿いにはトレースがあり、先行パーティ3人が見えた。北鎌沢出合で休憩(10:15−40)し、北鎌沢のコルをめざす。北鎌沢には、さらに先行パーティ6人が登っているのが見えた。見上げると思わず溜息が出る登りである。太陽が燦々と照り、暑い。途中、雪が緩んできて落石が2回、雪の塊も落ちてくる。コルには12:54到着し、水俣川を上がってきたパーティもいて、大賑わいである。

あまり先に進むとテント場の確保が難しいと藤田さんが悩んでいる。しかし、出来るだけ先に進んでおいた方が良いというので、もう少し頑張る事となる。P8で、目前に独標が見えた。この頂上は、この時期テントが5張も張れる快適な場所で、私たちの本日のテン場となる(14:20)。
独標がはっきり見えてトレースも見える。雪壁で、すごく急な傾斜に見える。『明日、あれが登れるのだろうか。』と不安になる。
今日の夜は肉じゃがスープ。明日に備えて早々に寝る。

出発前の記念写真

 

貧乏沢のくだり  

 

天井沢

 元気回復して(?)いざ出発。
 
 

 

 締まった雪面にアイゼンをきかせて、貧乏
 沢を下る。

 

 

 長い下降で疲れた身体を、やさしい景色の
 天井沢が癒してくれる。
 

天井沢からの北鎌沢

 

北鎌沢のコル

 

独標をまじかに見るP9頂上

 北鎌沢出合
 いかにも「しんどいぞ!」と言わんばかりの
 斜面が伸びている。

 

 昨日に続く、バテバテ状態でコルに到着す
 る。
 

 

 今日のテン場は、眼前に独標が見えるP8
 の頂上。

〈5日〉
 テン場には私達以外にも5張りのテントがあり、なるべく早く出発しようと5:05にトップで出発。
 P9を越えると独標である。雪の状態がよく、アイゼンが良く効く。雪壁にはトレースがあり、正面からロープなしで登る。昨日見ていたのと実際に登るのとでは傾斜が違って見えた。私達の後には数パーティが続いている。
北鎌尾根から見る槍ヶ岳 (クリックすると拡大します。)
 独標を越えると本峰がはっきり見える。本峰、子槍、孫槍と北鎌からの眺めはとても良い。 これを見るために北鎌を登るという人もいるのもなんとなくわかる気もする。
P11からP14までは小岩峰が多く、やせた稜線が続く。天気が良いため、下まではっきり見えている。数箇所、下るのに苦労する所があり、冷や汗ものである。 途中、雷鳥が現れた。人なれしているのかあまり逃げない。しばらく登ると、2羽いるのが見えた。北鎌平に8:57。

 いよいよ本峰である。後で写真を見ると今年は雪が多いのがわかった。天気が良いため、雪が徐々に緩んできている。途中、先行パーティが詰まって待つ。後で考えると小さなガリーの手前だった。 前の3人パーティはトップがノーロープだったが、次はロープを出している。
 藤田さんは待っていられないのか、その横の雪面を少しトラバースして登り始めた。上は雪壁の様なので、こちらから登ろうと言われる。 しかし、雪も緩んできているし、ステップも浅い、傾斜も急なので、「ちょっと無理」というと、再度降りてきてステップを切ってくれた。これでどうにか登れた。
 ここを抜けて、回り込むと、藤田さんから「頂上だ!」という声。なんだかあっけなく頂上に着いた(10:10)。
とても感激である。頂上には誰もいず、私達の後、北鎌を登ってくる2パーティーが到着。記念撮影をして槍ヶ岳山荘に下りる。

 山荘でゆっくり休憩(10:50−11:30)し、横尾を目指して下った。
途中、みんな尻セードで降りていく。私は尻セードが初めてで、ピッケルの使い方もわからず、転びながら降りていく。日差しは強く、雪はどんどん緩んでくる。多くの登山者とすれ違いながら槍平小屋へ(13:55−14:30)。小屋でおいしい水をもらって横尾に到着(15:55)。
まずはビールで乾杯した後にテント設営。充実感と程良い疲れが入り混じった1日だった。

テントを撤収して出発

 

独標の登り

 

独標頂上への最後の登り

 周囲のパーティの様子を見ながら、早々に
 テ ントを撤収して出発する。

 
   独標の登り始めの凹状部の雪壁を登る。
 
 
   雪稜から雪面へと登り、独標頂上へ。
 後方はテントを張ったP8。
 

独標頂上で記念写真

 

後方に独標を見る。

 

槍ヶ岳直下

 独標頂上は、槍ヶ岳の最高の展望台。
 ここは、一人ずつ記念写真。
 
   独標を後にして、槍ヶ岳を目指す。
 
 
   槍ヶ岳の頂上直下の登り。
 頂上は、感動とともに突然現れるのです。
 

槍ヶ岳頂上で記念写真

 

槍沢を滑り降りる。

 

ヘトヘト状態で横尾山荘に到着

 槍ヶ岳の頂上で、全員集合して記念写真
 
 
   槍沢をシリセードで滑り降りる。
 (と言うよりも、転げ落ちていた人もいまし
  たが!)
   やっとこさ、横尾山荘に到着。
 感動的で、長〜い一日が終わりました。
 

〈6日〉
   横尾を8:05に出発。
徳沢園の先が崩れて通行できないとの事で、対岸の運搬道路を明神まで歩き、そして観光客で、ごった返している上高地に到着。(10:56―11:30)
上高地から、バス、電車を乗り継いで穂高駅に戻る予定であったが、タクシー交渉が成立し、タクシーでしゃくなげ荘へ戻る。しゃくなげ荘で入浴、食事をし、奈良へと帰る。連休の渋滞もほとんどなく、順調に帰れた(21:45)。

かっぱ橋のたもとで

 

お馴染みのかっぱ橋からの眺め

 

雑踏の上高地

 観光客で埋め尽くされたかっぱ橋のたもと
 で、穂高の景色をしばし眺める。
 
 

 もちろん、眺めているのはお馴染みの上
 高地からの風景です。

 

 

 雑踏の上高地に到着。
 ビールで身体を癒す者がいれば、おやき
 を頬張る者も。

− 坂口 −