大雪山系 クワウンナイ川

滝ノ瀬十三丁



山行日   : 2009年8月11日 〜14日
メンバー : L.藤田、川口、坂口、高橋、神谷、有本、西野、西野

11日 :


12日 :

13日 :

14日 :


15日 :

A:神楽岡公園 → 旭山動物園 → 天人峡
B:千歳空港 → 天人峡

天人峡(4:40) → クワウンナイ川遡行開始(5:00) → 函(6:09) → カウン沢出合

カウン沢出合(4:50) → 魚止の滝(5:45) → 1360m二股(6:30) → 稜線(10:10) → ヒサゴ沼避難小屋(12:15)

A:ヒサゴ沼避難小屋 → トムラウシ山 → ヒサゴ沼避難小屋
B:ヒサゴ沼避難小屋(6:15) → 化雲岳(7:25) → 第一公園(10:35) → 滝見台(12:20) → 天人峡温泉(13:10)


A:ヒサゴ沼避難小屋 → 五色ヶ原クチャンベツ登山口



〈8月11日〉

 旭川空港に降り立った後発隊(神谷さん・有本さん・西野夫妻の4名)はタクシーで天人峡へと向かう。車窓から見る景色はいかにも北海道の広さを実感できるものであり、ちょうど蕎麦の白い花が一面を覆っていた。先発隊(藤田L・川口さん・坂口さん・高橋さん)は既に忠別川ラフティングや旭山動物園観光を楽しまれた後、食材を調達して天人峡にて合流することになっている。

「これから沢に入るの?やめといた方がいいよ。」忠告!---クワウンナイ遡行を終えて戻ってきた地元の単独行の方が、後発隊にそう言い放った。確かに天気は下り坂。明日は何とかもちそうだが、核心とも言える13日は降水確率80%の悲惨な予報が出ている。台湾に甚大な被害をもたらした台風8号が、今度は温帯性低気圧となって北日本を直撃するとのこと。熱帯生まれのこいつは、大雨を降らす資質十分とあっては、前出の忠告もさもありなん。そうこうするうちに先発隊が豪華食材を調達して到着。目の前に並べられた石狩鍋をはじめ珍味美酒をいただくと、そんな不安はすっかり忘れてしまった。


   
先発隊の4名が9、10日の二夜を過ごした神楽岡公園のキャンプ場です。
  忠別川のラフティングは、初心者向きで激流は無いものの、充分に楽しめました。(10日)
  旭川に来たら、取りあえずは話題の旭山動物園には行かなければということで、この日も楽しい半日を過ごしてから天人峡へ。(11日)


〈8月12日〉 

 遡行一日目は標高差こそ400m程度の行程だが、とにかく渡渉を延々と繰り返した。戸台川(長野県)みたいな単純な河原歩きを予想していたのだが、とんでもない。まずもって水勢が違う。そして水面が反射して川底の岩の形状が見難いためか、渡渉時によくバランスを崩して水没する。つまり西野2名は本格的な沢はこれが初めてであり、どんどんと他のメンバーから遅れをとってしまう有様。へつりや水際の歩行も随所に出てくるが、張り出した喬木にデカザックが絡まって苦戦すること数多。重荷もだんだんと私の体力を奪っていく(情けない)。
オショロコマが吊り上げられた。藤田Lが歩きながら釣竿を投げ入れている。見事なものだ・・・と関心している場合ではない。まだ幕営地までは頑張らねばならない者約2名、遡行図を確認する余裕さえなくなってきている。途中でダブルストックを持った2人組に抜かれた。リーダー曰く、こういう渡渉やナメが多い沢では、ダブルストックは有効とのこと。そして、ようやくカウン沢出合に到着すると、結構な雨が降ってきた。
沢泊は初めての経験である。通り雨が過ぎ、晩餐となった。ただ、ラジオからは「未明から雨。多いところで150mmが予想される。」と聞きたくない天気予報を告げていた。

  
   

天人峡の清流橋横の駐車場から出発。
前方の奥に見える地道がクワウンナイ右岸の道です。

  右岸の道を20分程歩けば、ポンクワウンナイの出合で、そこから遡行が始まります。
  広い河原を進みます。
   

初めて出てくる小さな函は、右岸にあるしっかりと踏まれた道を辿って、簡単に巻くことができます。

  まだまだ河原歩きが続きます。   晩飯用にオショロコマを釣りながら河原歩き。
河原歩きに飽きたl頃、やっとカウン沢出合に到着です。


〈8月13日〉 

 丑三つ時に天を仰ぐと、雲間から月光が漏れていた。急いで荷造りにとりかかる。幸運にも5時前の出発時には、まだ雨が降っていなかった。薄暗さが残る谷間を8名は再び遡行する。ちなみに西野夫妻の重荷の一部である食材は、リーダー他のご好意で別のザックへと分配されてもらった。すみません、感謝しております。
F1(魚止の滝)へ1時間強で到着。ここが滝らしい最初の滝だ。滝下のサイトで昨日抜かれたダブルストックの2名はここで幕営したらしく、丁度出発するところであった。この滝は左岸から容易に巻き上がる。そしてF2を越えると、そこから滝の瀬十三丁と言われるナメの天国だ!
リーダー「さぁ〜ここからナメの始まりですよ〜」 おっとその前に、40周年記念の垂れ幕と一緒に記念写真を撮ってね。

黒っぽい玄武岩の一枚板のナメ床の上を滑るように、トムラウシから集めた水が流れる。床には苔の絨毯が生えていて、フリクションを犠牲にする分クッション代わりになってくれる。沢幅は20mぐらいはあろうか。
とにかくスケールがでかい。そして美しい。加えて歩いていて楽しい。この3拍子揃った名渓を歩けることのシアワセと言ったら、何で表現すればいいのだろう。何やら小雨が降ってきているようだが、そんなことはどうでもいい(よくないか)。
当たり前だが皆さん口元が緩んでいる。この距離にして2km、標高差にして約200mのメインディッシュは、真っ直ぐなスレート板ではなく小滝あり、淵あり、豪快な二股ありと変化も与えてくれる。
いつしかナメは終わりを告げ、源頭部に稜線らしきものが見えた。まだそこまでは標高差550mほどある。ハングの滝、二股の滝と10m級の瀑布を巻き越え、F10のスダレ状滝で滝場はフィナーレを飾る。そこからは沢幅も小さくなり、源頭の様相を呈してきた。階段のような小滝を軽快に・・・は他の7名。私のみがもうバテバテとなり、足どりも重たくなってくる。

源頭部にさしかかる頃はガスに巻かれてしまったが、まだ雪渓が残る名も知らぬ沼と、別世界のようなお花畑があった。たぶん晴れていたら・・・その美しさに昇天していたかもしれない。ただ、まだ稜線の登山道には出ない。姿を見せぬナキウサギの鳴き声が響くロックガーデンとハイマツ帯を抜け、ようやく天沼のコルへと躍り出た。天気はもはや荒れ模様と表現してもよいぐらいだった。そこから、本日のお宿であるヒサゴ沼避難小屋までは・・・聞かないでください。決して雪渓の下りで歩けなくなって尻セードしたとか、ぬかるみで転倒してヒサゴ沼に落ちそうになったとかはなかったですから(ホンマか?)。

   
   

一晩お世話になったカウン沢出合の幕営地から期待を胸に出発です。

  F1 魚止の滝。
この滝の上からナメが始まると思うと、胸がワクワクします。

  あせる気持ちを抑えて、滝ノ瀬十三丁の入り口で会の40周年の横断幕を持って記念撮影。
   

感嘆を上げるナメが、息つく暇も無く次々と出てきます。
  見える範囲が全てナメです。全く驚きの長さです。
(画像をクリックすると動画が見れます。容量が大きいので注意して下さい。 m(._.)m )

  標高1360mに現れる二股です。
右の沢は黄金ヶ原へと続いています。
   

さすがのナメも二股で終わりかと思っていると、オットドッコイまだまだ続きます。   この滝を越えればナメも終焉となります。
感動の長いナメもここまで続くと、さすがに少し飽きてきました。
  オーバーハングの滝は右岸を高巻きます。
   

ナメは途切れても、最後まで楽しませてくれる沢です。黒く厚い苔に覆われた、ふかふかのナメの小滝を快適に登ります。
  雨の降る中、源頭部に到着。
  稜線を目指して、ハイマツの中をもくもくと登ります。



〈8月14日〉

(西野パーティ)
 翌朝、西野夫妻を除く6名は天人峡へと下って行った。我々2名は軽身でトムラウシを往復する。トムラウシ山頂に拘ったのは、クワウンナイを遡行してこの山に登るのがルートとして相応しいと思ったからだ。日帰り可能なもっと簡単なコースもあるけれども、この大きな山と刻々と変わる地形・植生・気候全体をどっぷりと肌で感じることができるのは、クワウンナイ川から遡行するに限る。
もっとも低気圧が通過した後も、大雪山系は少々ご機嫌斜めだったらしく、ガスや霧雨の呪縛からは開放してくれなかった。

(藤田パーティ) 
 西野旦那に見送られて、ガスの中を化雲岳を目指す。遠望は得られないものの、道の周辺には高山植物が咲いていて目を楽しませてくれる。
ガスで霞んだ化雲岳頂上に着いたものの、砂礫帯の中で下山の道が分からず、ウロウロしていると運良く後続パーティーがきたので、道を教えてもらい事なきを得る。
 そこからが長い下りの始まりで、判然としない第二公園を過ぎて花いっぱいの第一公園に到着。しばし疲れを忘れて花の写真を撮り、再び長い下りを再開する。滝見台で羽衣の滝の高さに驚き、疲労困憊状態で天人峡温泉に下山した。
 温泉で汗を流して、旭川空港から帰阪する神谷さんと分かれて、北海道に移住した元会員の奥田氏が住む鹿追町まで車を走らせる。美瑛でメロンや食材などを買い込んで、日が暮れる前に何とか奥田邸に滑り込むことができた。

   

西野旦那さんに見送られて、天人峡温泉に向けて下山を開始します。
  ガスでかすんだ化雲岳の頂上に到着。
後続のパーティに道を教えてもらい、ひと安心。


  花いっぱいの第一公園に到着。
   

滝見台手前の稜線です。
  滝見台からは、羽衣の滝の全容が見られます。ここで、しばしの休憩です。
  長い下りを終えて、やっと天人峡温泉に到着です。



〈8月15日〉

(西野パーティ)
 4日目となる8/15、五色ヶ原でようやく青空が広がった。トムラウシ山こそ見えなかったが、色のある景色に歓喜する。濡れた衣類やザックもどんどん乾いていく。まだ残っていてくれたチングルマやエゾコザクラ、そして池塘に映えるワタスゲやギボウシたちに感動しながら、タクシーを予約してあるクチャンベツ登山口へと降り立った。    

(藤田パーティ)
 この日はゆっくり起きて、鹿追町をあちこち案内してもらい、グランドゴルフで盛り上がり、夜は庭で焼肉パーティでまたまた盛り上がった。



〈8月16日〉

(藤田パーティ)
 今日は北海道最後の日。奥田氏は廃線となった狩勝線新内駅跡のトロッコの駅長の顔も持っている。千歳に向かう途中でこのトロッコに乗り、さらに落合でおいしい蕎麦を食べ、車をすっ飛ばしてぎりぎり予定の飛行機に駆け込んだ。

鹿追は、いかにも北海道という感じの場所です。
  新得の狩勝高原(旧狩勝線新内駅)にあるトロッコの乗車は、1回500円と少し高めだけど、面白い経験でした。
  落合にある蕎麦屋さんの「落庵」でおいしいざる蕎麦を食べて、千歳国際空港まで車でひた走りました。



−記:西野 (&藤田)−