【Xmas・ss*ダニマク*ブログの再録です。】

いつもに比べ街の喧騒は一層賑やかさを増して、それにつれNYのイヴの夜は犯罪やトラブルも多くなる。
CSIラボも休日をとる人間は少ないようで夜半を過ぎ泊り込んでいる研究員が簡易のパーティを開き始めた。

安いシャンパンを開ける音がして連勤の続いているチャドがやけくそ気味にMerryXmas!を叫ぶ、そこにマックとステラが事件の呼び出し現場から戻ってきたばかりで面食らったマックを見たステラが「まぁいいじゃない。」と視線を送ればマックはやれやれと騒ぎから目を離してステラと別れ自分のオフィスに向かった。

その頃ダニーとエイデンはそれぞれ物証の解析でラボに詰めていて研究員から紙コップのシャンパンを受け取りコップを合わせると一気に飲み干す、コーヒーメーカーに備え付けの三角カップではどこにも置きようがないのでしょうがない。

エイデンは「どうせXmasはお互い仕事があって会えないから別の日に会うの。」と言って
「あなたもでしょ?」とダニーに振った。
それには答えずダニーは紙コップをゴミ箱に投げて
「マックが帰ってきてるかな分析書類の報告をしたい、
ちょっと行ってくる。」

そう言って席を立つ、ガラスの仕切り向こうラボの奥ではまだいい陽気のチャドが何か叫んでいたが他の研究員は自分の持ち場に散々に分かれていった。

ラボが上階に移って廊下の窓からは夜景が鮮やかに見える、ダニーはそれを見て何の約束もしなかったのを思い出した。最近連絡を取ることもあまりなくなっていて忙し過ぎるせいにしていたが本当は違う、それはダニー自身よくわかっている。

報告書を握り締めてマックのオフィスのドアを叩いた。

マックは書類とファイルの山に埋もれていて、いつもの額に皺を寄せ口を引き結んだ難しい顔をその間から覗かせている。そんな顔をしていてもどこか優し気な雰囲気を持っているのがマックという男で、その優しさはもっぱらダニー以外に向けられていた。

仕事で仲がこじれたばかりかプライベートまでややこしくなってしまいダニーも何処か飛ばされるか首を切られるんじゃないかと思ったが、相変わらずそっけない態度でボスと部下の関係は続いている。

少し気まずい面持ちで書類を持ったダニーをチラと見て
「分析結果は?」
と他の書類に目を通しながらマックが聞いた。

「被疑者の服に付いていた物質と一致しました、
あとDNAの解析があがれば…」
ダニーはそこまで言うとマックを見た、マックは目線を斜めに落とし頬を指で引っかいている、これは彼の癖であまり機嫌がよろしくないサインでもある。

「ではDNA解析の結果が出たら報告してくれ、被疑者の服に付いていた証拠だけではあの現場からは絞りきれない。」
マックはそう言って別のファイルに手を伸ばした。

つまらない報告なのはダニーもわかっている、
そしてそれを言いにきたわけでもなかった。

「…MerryXmas、マック。」

ダニーが決まり悪そうに眼鏡を直しながらボソッと呟くとマックははっきりした目をさらに丸くしてダニーの方を見た、きょとんとした顔は子供のようで締まらないのが本人も分かっているのか滅多に見せない顔だ。

ダニーはもう一度言った。
「MerryXmas、それだけです。」
そして書類を振るとそのままドアまで後退った。

「ダニー、」
マックが声をかけ、何やらスーツのジャケットをまさぐっている、そして何か小さな包みを掴むとデスク越しにダニーへ向かって投げた。
ダニーが掴んだそれはXmasの包みの小さいキャンディーバーだった。

「フラックから現場でもらった、
アイツは車にいつもキャンディーバーを入れてるらしいな。」

まったく、といった感じでマックは首を振り笑って言った。

「MerryXmas」

ダニーは首を捻ったしかめっ面で
「俺が甘いモノ苦手って知ってました?」
そう言うとマックは
「あぁ、私もキャンディーバーは苦手だ。」
と微笑を崩さず静かに言った。
「オートミールは好きなくせに。」
ダニーがしかめた顔のまま口を上げて意地悪く言うとマックは何故?
という顔でダニーを見た。
「色々知ってるんです。」
そうダニーが付け加えドアに手をかけるとマックはもう元の口を結んだ顔で「そうか。」とだけ言った。

ダニーが部屋を出ていくとマックはドアの向こうを少し見つめ、
また違う書類に手を伸ばした。

ダニーは廊下を歩きながらキャンディーバーの包みを開けて口に放り込む、甘ったるい味と匂いが口中に広がって一瞬渋い顔をしたが口の端が緩く上がっていつのまにか笑っている。
DNAの解析結果を尋ねにラボへと向かうダニーの足取りは心なしか弾んでいた。


【end.】


*ラボが新しくなってまだエイデンがいるのにXmasは時間軸がおかしい…のはわかってます。リンジーだとあゆ会話にならないから…。
そいやチャドもいるよ…結構好きなキャラでした〜。


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