【f/m】
いきなり降りだした雨は激しさを増してマンハッタンのビル群は霞がかったグレーの靄に包まれる、外での任務中だったマックとフラックは車まで100mという所で店の軒下に避難する羽目になった。
無言で二人は豪雨のカーテンを眺め立ち尽くす、お互い少し不機嫌なのは証拠の検証を見直したいマックと事件を早く解決して検事に書類を提出したいあまり焦るフラックが軽く口論になったからだ。
フラックはそれだけじゃなく苛立っていた、昨日ダニーが電話で一方的にドタキャンして向かった先は多分マックの元だからで、その当人と口論になりこんな状態でここに居る…聞きたくても聞けずにいた言葉が少しのくすぶった怒りに背中を押されついて出てしまう、
「マック、あんたはダニーをどう思ってる?」
「どう、とは?」
いきなりの質問の内容にもマックの顔は表情を変えず前を見たまま分かりながら聞き返す、はなからまともに答える気などないらしい。
「彼を愛しているかって聞いてる。」
それでもフラックは言い募る、一度口にした以上この事には答えてもらいたかった。
「…分からない、」
激しい雨の先は曇って何も見えない、その先を見つめるマックの目は返答と同じく虚ろだ。
フラックはそんなマックの横顔に背を屈め耳元で、

「じゃあダニーとはセックスだけって?」
知ってるんだあいつお喋りだから、そうも付け加え囁いた。
「お前がそう思いたければ思え、否定はしないよ。」
マックは興味ない素振りで淡々と語るがその横顔には多少の苛立ちが見え隠れする、
「フラック、…ダニーは寂しがりやの子供と一緒だ、
与えた愛情に対する感謝を期待するな。」
「分かってるよ、誰も同じように愛せなんて…」
フラックは褒められる事を期待して予想が外れたみたいな気分になった、痛い所を突いてくる。
「見返りを期待するのは愛情か?」
マックがバツの悪い顔をしてうつ向くフラックを見て言った。
「俺は博愛主義者じゃない、俺だけを選んでほしいだけだ。」
ふてくされた顔のフラックがそう溢すとマックは軽くため息をつき、
「それは無理だろうな、私ではない、彼の問題だ。」
二人の会話はそこで途切れ激しい雨音が沈黙を埋めるよう辺りに響く、
「…しょうがない、取ってくる。」
フラックはスーツのジャケットを頭から被ると車まで走っていった。
それを見送りマックは呟いた、誰に言うともなく本心を。けれど雨音が小さな呟きをかき消すとその言葉はマックの足元を流れる雨水に溶け何処かへ運ばれていった。
【end.】
これでマックがフラック可哀相ってんで同情から気になって
慰めたりしてしまったり、それをダニーが嫉妬(←元凶のくせに)
したりしながらじゃあ3人とも好きならいいじゃんってことで
3人で仲良くすればいいんじゃないかとか思います。
裏のフラダニDV・SSと一部リンクしています。
(少し食い違うのはフラックの思い込みが事実を捻じ曲げたということで)
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