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 老衰死について

 

 

 

 

 

 

寝た切り患者さんで、入院中であっても在宅療養中や介護施設入所中であっても口から食事が入らない(嚥下が悪くむせる状態や認知症で食事を拒否するなど)場合、平均寿命を越えておれば老衰と判断すればいいのでしょうが、広い意味での延命という考えで点滴をしたり、胃に穴を開けたり(胃瘻)してしまうことが日本では多く見受けられます。その結果、点滴で体を傷付けたり、胃瘻で流動食注入による副産物である嚥下性肺炎の機会を増やしたりすることにより「老衰死」という本来の最期の形ではない死因(肺炎など)で死亡されることになります。そこで看取りの発想に立ち戻ることが重要であると考えます。寝た切りで意思表示が十分できない方が口から食事ができなくなった場合に、大切なのは栄養補給をすることで延命するのではなく、最期を看取ってあげることではないかと思います。欧米の先進国では既に、寝た切りの方には胃瘻を作ることはされなくなっております。我が国でもそうあるべく、当院から微力ながら看取り老衰死を率先して実施しつつ、全国にも発信していきたいと考えております。

 

 

 

 

 

 

 

2012.2.10/Sawai Hospital@okumaRT