レスポンス部こ 奈>西院伽藍

はじめに

法隆寺編の最初は西院伽藍の中で私がとくに気に入っている点を紹介します。
法隆寺に関する基本的な事項は
法隆寺 - WikipediaGoogle 検索: 法隆寺 等を参考にしてください。

目次と地図

西院伽藍略図
上が北になります

中門

南大門からまっすぐ北に向かって歩くと、まず目に入るのがこの中門です。

全体のプロポーションや組物の力強さもよいのですが、私は柱の形が気に入っています。
中間部がもっとも太く、上に行くにしたがって微妙にすぼまる形状、そして地面と接する辺りの力強さ。
こういう微妙なラインに対する昔の大工さんの繊細な、それでいて神経質でない感覚は賞賛に値すると思います。
風食のせいで、創建当初より全体にやせているとは思うのですが、すばらしいプロポーションです。

他の見所は、門の両脇に安置されている金剛力士像です。
向かって右の阿形像は全体が塑像、左側の吽形像はからだの部分が鎌倉時代に木造になっています。
つまり捻塑技法で作られた像と彫刻技法で作られた像が並んでいるわけで、そのあたりの違いを味わってみるのもよさそうです。

回廊

中門から少し西に移動すると西院伽藍の入り口があります。

シンプルな構成の屋根裏部分がずらーと並び、少しでも視線を動かすと、天井裏の虹梁と柱で構成される模様が変化するため、見ていて飽きない回廊です。

また、伽藍の南西隅、券売所の裏の辺りにまで行く観光客は少ないようで、そこだけ妙に静かです。
ここは西日が差し込むと、連子窓の影が回廊内部に落ちて、天井裏の模様と地面の模様が対照になった面白い光景になります。

ちなみに、西院伽藍の回廊は凸字型に連なっているのですが、凸の右上のへこんだ部分に立つ柱が1本、やけに細くなっています。
大勢の観光客が触ったために磨り減ったのでしょう。遠目に見ても1本だけシルエットが違います。

五重塔

入り口から入ってすぐ、伽藍の中心線よりも西側に建っています。

これまでにも大勢の人が絶賛してきた実にすばらしい仏塔です。
近寄って各層の屋根が構成する模様を楽しむのもよいですし、遠くからシルエットを見るのもまたよいです。
頂上についている水煙も自己主張しすぎず、全体のシルエットを引き締めていると思います。

金堂

伽藍の中心線をはさんで塔と対称の位置に建っています。

実物を見る以前に写真や平面図で見た時は、横幅に対して高さがかなり高く、そびえたつような姿を想像していたのですが、実際に見てみると、存外にこじんまりとした印象です。

東側の扉から金堂内部に入ると、内陣は3つに区切られています。

東の間の本尊は薬師如来坐像です。
すぐ隣に安置されている釈迦三尊像中尊と比べると若干見劣りがするように思えますが、優れた仏像です。
また、内陣の南東隅に安置されている持国天像もすばらしい仏像で、等身よりも少し小さい位のサイズなのですがかなり存在感がありす。

中の間の本尊は有名な釈迦三尊像です。
堂内は薄暗く鑑賞には厳しい条件なのですが、ここは博物館ではなく信仰の場ですから、ある程度の見づらさは仕方ないでしょう。
懐中電灯で内部を照らしている方もおられるようですが、あまり上等な行為だとは思えません。
それはともかく、覚者である釈迦の姿を表現するために苦心した1400年前の仏師の気合が伝わってくる秀作です。
全宇宙の真理を表すかのような裳掛座を見ていると、非常に深い精神性を感じます。

最後の西の間では、天蓋や増長天像、天蓋に付いている鳳凰などを見るのがよいかと思います。

経蔵・鐘楼

回廊の講堂をはさんで西側に経蔵が、東側に鐘楼があります。

ふたつとも二重虹梁蛙股式の構造が共通しており、一見同じような建物に見えます。
しかしよく見比べてみると、屋根の勾配や虹梁の反り具合等に結構な違いがあります。
各要素の違いは小さいのですが、トータルでの印象は非常に異なるので、細部の意匠や微妙な造形がいかに大事かよくわかります。

大講堂

伽藍の北端、凸字型の回廊のてっぺんに位置します。

やや大味な建物ですが重苦しい感じではありません。
内部は天井も高く、広々とした印象です。
また、側柱から内側に向かう虹梁がならぶ様はなかなか壮観です。

各項目の写真を掲載予定です。

2005-04-16
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Masanori Coda(coda@backgammon.gr.jp)
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