一旦辞するにあたり ―書家杉岡華邨との日々―   

  
          
著・杉岡和子
NHK出版 1,800円(税別) 

≪第1章 知られざる杉岡華邨の制作過程の秘話≫ 

 「第1章 華邨と共に」では、杉岡華邨の制作の日々について書かれている。朝食の途中で作品のイメージがひらめき食事も忘れて制作に向かおうとして呼びとめる。草稿は決まってモンブランの太い万年筆、ブルーブラックのインクを使用する。共に生活してきた著者ならではの体験を通して書作に向かう華邨の日常が語られる。
 
他にも、日本芸術院賞受賞「玉藻」にまつわるエピソードをはじめ、日本画家の中路融人氏との合作でのやり取り、着物に金泥で書いた「萩の花」ができるまでなど、華邨の代表作の制作過程についてもより深く知ることができる。