
その3、リハ、またリハ
リハの合間、楽器の準備の間にも舞台裏では、ホワイトドリームの準備が進んでいる。
りーこさまを始めyukiさんなどベテランが調絃をしてくれている様子。
さっちゃんは、蔭でアナウンスの準備と私の舞台における立ち居振る舞いについての指導。
そして、楽器の配置や全体の構図,照明の具合などに目を配ってくれる。
背景に少しだけ照明を入れてもらっているが、反響板が入るとあまりはっきりした色は入れられないし、
スタッフの人数をケチったのであまり過大な要求は出来ない。
ここのホールのスタッフは、こちらの希望を嫌な顔一つせず聞いてくれるいい人だからこそ、無理難題も言わずあちらに任せる。
が、ときどき邦楽でもこのホールの使用があるためか最初の独奏の時から楽器のそばに来て
「照明はどうですか?影が入って見にくくありませんか?」と、聞いてくれる。
舞台で演奏経験のある方は、照明の打ち合わせなく舞台に出てみたら、照明がきつく、
箏に糸の影が映って弾きにくかったという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
私も何度がそんな経験で苦い思い出もあるので、じっと泰二郎を見つめる・・。
「ちょっと照明を落としてみて下さい」とお願い。
「はい」と彼は静かに舞台裏へ・・、本当に静かな方なんです。
すこし泰二郎の中央当たりの光が穏やかになった。低音部分はまだ少し影がきついけれど、
前からのライトの影なのであまり落とせないとの事「うん、ありがとう、この状態で弾いてみます」
さて、照明についてはさっちゃんまかせだが「ドレスを持ってきた方が良いかな・」と、さっちゃんと相談。
持ってきたドレスを持ってさっちゃんが、スタッフと相談してくれている。任せきって私は次なる独奏のリハ。
二つ目の17絃独奏「風」
正式名は「17絃独奏による主題と変容 風」
曲に「風」という印象は、あまりない。強いて言えばつむじ風のイメージかな?
17絃独奏曲の「いするぎ」という曲も以前に演奏したが、
やはり曲の構造が似ていて、一つのフレーズが形を変えて繰り返される。
この曲も、主題となるメロディーが変容を遂げながらあらわれる。
17絃の特徴の一つである低音部分の音色は、特に印象的であって欲しい。
この曲のはじめの方に、邦楽の曲だがフーガが取り入れられている。
楽譜には「小フーガ」と記されている。
れっすんの時、吉崎先生から質問が飛ぶ「フーガって何か分かってる?」
しばらくフーガの講義。故に小さなフレーズの追っかけごっこである小フーガを意識して演奏せよとのお言葉。
最後のれっすんの時は、レッスンがたて込んでいてお昼の時間がなかった先生は、演奏する私の横でなにやら「ずるずる・・・・」と食 べながら見て下さったのをふと思い出し1人笑いをしてしまう。
独奏のあと、いよいよお待たせした本日の賛助出演の皆様と共に「ホワイト・ドリーム」
楽器が多いので舞台に乗せるまでが配置で少し手間取る。
客席から、楽器の配置を見てOKを出す。
この人数の演奏をこのホールではどう響いてくれるのだろう・・。
結構、どのパートの音も聞き取りやすい。
少し大きいと端の音が取れなくて困る事もあるがその心配はなさそう。
しかし、最後の章で珍しく寸法が合わなくなりストップ。
これまでは、こんな事はなかったのだが・・・。
その時のリズムを刻んでいるパートを再確認し、全員そちらにあわせていくようにと言う事で話をまとめる。
さて、ほぼホワイトドリームのリハも終了。
が、横でMー君が楽器を持って佇んでいる。
「もう一度・・」
そうそう、二人で演奏するソロ部分でちょっと会わなかった所があったのでした。
今日ご一緒していただく中では、一番長年のお友達であるMー君の事。
本番はきっちりあわせてくれると思ってるので、私はずれても気にもしていませんでした。
その優しい心遣いに感謝。
もう一度二人で四章を、繰り返す。
先日、夜にお宅へお邪魔して二人でこの部分の練習をしたときのことを思い出す。
家は、車を飛ばせばすぐの距離なのだが、Mー君にはリー子様という良きパートナーがいて、二人での演奏が多いので
私とMー君と二人っきりで演奏するのは、もう6,7年振りかもしれない。
独奏部分の解釈を二人で詰めるのは、結構面白かった。
お互いのパートの音の勢いとか、流れを言い合って、ダメ出しもして
短期間に作ったけれど、充実感がありました。
Mー君、たまにはご一緒しましょうね。
と言うわけで、二度目のリハはばっちり。
Mー君も安心して楽屋へ引き上げてもらう事が出来ました。
さて、プログラムのリハは終了。
最後に誰の拍手がなくても、演奏する予定の「風に聞け」のまたまた孤独なリハ
ここでうちの楽器の中で一番の若者「龍」が登場。
自主的アンコールを「龍」で弾こうと決めたのは、かなり本番が近づいてから。
普段から使っている、名前のない箏でホワイトドリームを弾いて、そのままアンコールに・・。
と思ったのですが、糸が少し太くて強い目に張ってあるので、アンコールの曲「風に聞け」では、少しひきづらい。
あちら、こちらと楽器を替えて何度も何度も弾いたあげく、やっと「龍」を本番に出す事に決定。
少しゆるめてもらってたもう一つの箏の「一の糸」をもう一度きつい目に締め直してもらう。
舞台に「龍」をだしてもらって前に座る。
「今日は、よい子でね・・、龍之介くんはだめよ〜〜ん」(ごめん、TAMAさん)
と、言い聞かせて弾きはじめる。
なんといっても出だしの音に、思い入れがある。うん、なかなかいい音。
この曲は、澄んだ美しい音色ではじめたい。
一,二度さくさく〜〜っと弾いて、リハ終了。
さて、さっちゃんより。舞台に出て行く時の態度の指導。
「ドアをくぐる時、軽く片手でドレスをもって、はい、客席を見渡しながらにっこり・・・。箏の横に立って、もう一度会場を見回す」
細かく指導され「笑顔がいまいち」とダメ出しを受ける。
舞台でフラワーアレンジを活けていた、こうちゃんは、これを見て。
「プロの人が来て舞台について、色々いうてはった」と、言っていたとか。
こうちゃんの母であり、お隣の奥様である良き隣人から訪ねられた。
「舞台のプロデューサーみたいな人を雇ってたの?」
はいはい、さっちゃんはそういう人です。
ご指導ありがとう、さっちゃん!!
続く