二次関数で語れ

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その3・モンキーハンティングと極点の観察

モンキーハンティングから放物線の意味を考える

モンキーハンティングってなんですか?
的(まと)に向けて、物体を斜方投射すると同時に、的を自由落下させると、斜方投射のスピードによらず必ず当たるというものです。
重力が無ければ、的は一点に留まります。そして、斜方投射された物体も的に向かって真っ直ぐ進んで行くはずです。
ところが、重力があるので、的も、斜方投射された物体も、時々刻々と予定の位置よりも[m]だけ下にずれて行くのです。なので、丁度的のx座標に物体が到着したとき、的もその位置まで下がって来ていて衝突するのです。
 

斜方投射の場合も、自由落下運動の場合も、重力(g)の働きは同じなのだということが良く分かりますね。
[斜方投射JavaScript]でシミュレーションしてみると分かりやすいと思うので、試してみましょう。
的の座標は(20[m],10[m])の位置なので、その位置に向けて斜方投射するには、vx0:vy0=2:1の割合にします。仮に、下の数値を入力してみましょう。
vx0=20[m/秒]、vy0=10[m/秒]
そして、モンキーハンティングのチェックボックスを入れて、[初速度入力]ボタンをクリック。
  

  
お〜っ!ちょうど、1[秒]後に、物体と的の位置が一致しました。
ね?ちょっと面白いでしょう??
もう、角度が決まったので、初速度v0を様々に変えて試してみてくださいね。
vy0=12[m/秒]くらいまでだったら、作図できます。
  

  
随分下に落ちてから当たりますね!?
物体の斜方投射(斜めに投げ上げた)の軌跡が二次関数のグラフの形を描くのも、モンキーハンティングも、空気抵抗その他諸々を無視できる仮想空間のことなので、そのことは忘れずにね!!

一応、数式による補足もしておきます。
  無重力下の斜方投射の軌跡は、x=vx0t、y1=vy0t
  重力加速度のみによる運動はy2=-(1/2)gt2
  これを合成すると、x=vx0t、y=y1+y2=vy0t-(1/2)gt2

初速度一定、仰角のみを変えたときの極点をグラフにしてみたら

ところで、[斜方投射JavaScript]、放物線の最高到達点(極点)だけを表示するやり方でv0=14[m/秒2]のとき、仰角を様々に変えて極点のみのグラフにしてみたのですが、何だか楕円形を半分に切ったような形に見えます。




う〜む、確かにね。これ、グラフを描くのが大変だった頃にはなかなか到達しない発想だよね。初めて見たよ…。
本当に楕円かどうか確かめる方法は有りますか?
うん。物理の問題としては何か意味をなすだろうか?という感じですが、数学の問題と思ってやってみましょうか。興味のある方だけどうぞ。
先ず、極点の座標から思い出してみよう。

つまり、仰角をθとすると、
…@
…A
の二つの式からθを消去して楕円の式が導かれるかどうか試してみたらいいですね。楕円の式をちょっと復習しておきましょう。中心の座標を(a,b)とし、y軸方向の径α、x軸方向の径βの楕円の式は、
(y-b)22+(x-a)22=1…B
です。
@の2乗+(A×2)の2乗の形を作って、







うわ〜、θが消えちゃった!
はい、それでは、平方完成よろしくっ!
任せてください。






え〜と、Bと照らし合わせると、 の楕円になります。円を上下から半分に押しつぶした形ですね。

仰角一定、初速度の大きさのみを変えたときの極点をグラフにしてみたら

逆に、角度θは固定値にしてv0を様々に変化させると下図のようなグラフがかけます。



こっちは傾きがvy0/2vx0の直線のグラフになりますね。但し、あくまでも傾きが初速度の半分ということで、角度が半分なわけではありません。角度を求める式は、三角関数の逆関数α=tan-1(vy0/2vx0)になります。

また、このグラフは物理的には無限に続くわけではありません。ロケットは重力を振り切って人工衛星軌道に乗ったり月まで行ったりするわけです。
詳しく知りたい方は、『宇宙速度』について調べてみてね?

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2008.07.19

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