二次関数で語れ

その4・パラボラアンテナの焦点

パラボラアンテナの仕組みは?

もう、放物線ネタは終わりですか????
え〜〜っと、後は、パラボラアンテナ問題かな?
パラボラアンテナって衛星放送などを見るときに使う、あの、丸いお皿みたいな白いアンテナですよね?
そうです。あのパラボラアンテナって、放物線を軸に沿ってくるっと回した形なんです。軸に平行に入ってきた電磁波などを、一点に集めるのに良い形なのです。
へ〜。で、焦点の計算なんかもできるんですか?
出来る事は出来るんだけど…大層めんどくさいっ!
そうですか、それは是非拝見したいです。
たまには自分でやってみなさいよ…。
あ〜、本当ですね。たまには自分でやってみないと…。
でも、君、未だ微分を習ってないんですよね? それじゃ、途中までお手伝いしましょう。
y=ax2のグラフ上の点(x,ax2)においての接線の傾きは、微分を使って求めることができて、2axとなります。だから…。
ちょっと待ってください!この前、積分のときにv-tグラフの面積を求めたらいいって言ってましたよね?もしよかったら、微分についても簡単に説明できませんか?
おっ!そのやる気、なかなかいいじゃない。それじゃ、y=ax2上に点A ( x , ax2 )と、Aに近い点A'( x+t , a(x+t)2 )を考えます。
t>0でtは0.1とかのイメージで考えてね。このAA'を結んだ直線の傾きをkと置くと、
  …@
ここで、更にA'をAに無限に近づけて行くんだ。
  
ということは、tが無限に0に近づいていくわけですね。
そうそう。それで最終的にt→0の極限のところでk=2axってなるでしょ?これが、点Aに置ける接線の傾きになるわけ。
なるほど!そういう向きで置かれた鏡みたいなものを想定して、y軸に平行に入ってくる光線がどこへ反射するかを考えたらいいわけですよね?
  
Aの座標を仮に、(t,at2)とします。この点に置ける接線の傾きは2at。だから直線mの式は、
  m:y=2atx-at2
Aを通りmに垂直な直線をℓとすると、この線の傾きは(-1/2at)なので、(垂直な直線同士の傾きの積は-1)
  ℓ:y=(-1/2at)x+at2+1/2a
y方向から点Aに向けて入射した電磁波(直線BA)の反射波(直線AC)とy軸との交点を点c:(0,b)とすると、
  n:y=2atx+b
直線nと直線ℓとの交点Hのx座標xHは、
  
∠BAH=∠CAH、BC⊥CHであることより、2xH=t
  ∴
  ∴
あれっ?tが無くなりました。
そう、点Aが放物線のどこにあろうとも、y軸に平行に入ってくる電磁波は、点(0,1/4a)に集まるわけです。この性質をアンテナに利用しているわけですね。
ほぉぉっ!面白いですね!!
逆に、直径が人の身長に近いくらいの大きなパラボナアンテナ型の壁の焦点の位置でアンテナに向かって声を出すと、声が反射されて平行線になるので、反対側の遠くに居る人にも良く聞こえます。そういう、展示を科学館か何かで見たことがあるのだけれど、あれは、どこだったかなぁ・・・。
他にも、二次関数ネタありますか?
これで、思いつくものは全て語り終えました。君がパラボナアンテナの焦点距離を解いてくれたので、私の魔法も解け、これで月に帰れます。
えっ?
という展開も考えたけど、ファンタジーはガラじゃないのでやっぱやめとく。
・・・・・・・・。

補足:物理は単位とかディメンジョンというものが大切

数学で例えばy=x2+2x+1なんていう二次方程式を見たとき、別に単位なんて考えたことが無かったのですが、y=ax2の焦点の座標は(0,1/4a)なんていう話になると、それじゃぁaの単位は[1/m]つまり[m-1]になるのかしら。と思いますよね?

y=ax2+bx+cで、 yとxの単位を[m]とすれば、当然aの単位は[m-1]、bの単位は無し(只の数値)、cの単位は[m]になるんですよね。
物理は単位に着目すると仕組みを理解したり公式を覚えたりするのが楽になることがあります。

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2008.07.26

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