Skype将棋レポート5
■九州社会人盲人将棋大会レポート
序章
■こばえもんさん
予選を勝ち抜いた者だけが、対面している静まり返る会場に、
熱戦の駒音だけが、気持ち良く響いていた。
終盤戦に突入した決勝戦、形成が目まぐるしく変わる局面に、
周囲の感染者も息を飲む。
はたして勝利の女神が運命をにぎる1手をどちらがさすのであろうか??
大会の様子
平成26年、九州社会人盲人将棋大会が、長崎県で開催された。
年に1度九州各県が持ち回りで開催するもので、
主催するのはニチモウ連である。
本年は、九州各地より13名の参加者があった。
これまではAクラスとBクラスに分かれて行っていた大会であったが、
高齢化のため参加できない県も増えており、ピーク時の盛り上がりはないにせよ、
少数精鋭揃いの強者どもの、意気は消沈することなく、
どの対戦も熱気が伝わる良い大会と成った。
会場は長崎県情報センターで、受付の9時になると、
各県の参加者がつぎつぎと訪れる。
再開に感謝する一時も、あっという間に過ぎる。
オープニングセレモニーも終わると、いよいよくじ引きと成る。
人数が少なくなっているためクラスを分けることはせず、スイス方式で戦うようだ。
予選は3人と対戦して、勝率の高い4名が結晶リーグに進む。
ここ数年、めきめきと頭角を現しているシード選手を紹介しておこう。
熊本の 森さん・佐賀の 横町さん。
宮崎の長曽我部さんといったところだろうか。
主催県の長崎からも5名の参加者がいるようだ。
どうやら虎視眈眈と、優勝を狙っている様子。
結果が楽しみだ。
ここで少し例年と違う点を述べておく。
審判は全くいない様子、時間係もいないようだ。
それぞれの対戦者の紳士的なプレイで、大会は行われるようだ。
初戦の抽選も終わり互いに対極すると、いっきに会場の空気が重たくなる。
主催者からの開始してくださいと言う声に、お互いに一例して、
「お願いします」と元気の良い声が買わされる。
「76ほ」と初手を声で相手に知らせながら対極が開始された。
持ち時間は50分まではどちらが消費しようと関係ないのが少しおもしろい。
ところ苦しいほうが時間をどんどん消費して行くのが目に見える。
「50分と成りました、ここからは1手1分でお願いします。」
やはり時間内に終わる対極は少ない。
しかし時計係りがいないのにどうするのか心配するところである。
どうやら対極が終わった弱視の人が補助をするらしい。
しかし全ての対極に時間係りは付かない。
そこは臨機応変で何事もなく1曲目が終了した。
ほっとするところであった。
さて2曲目スイス方式であるから向かい側の選手が一つ横にずれての対極が開始される。
「え??そんな所に角がいたの!!」会場に大きな声で叫ぶ対極者もいれば、
「そこは行けないよ」と相手から指摘される対極も暫し見られる様子だが、
お互いに紳士的な対応で2曲目もすんだ。
ここで予選最終船に入るところで勝率が二勝の方が4人いた。
熊本の森さん・佐賀の横町さんは危なげなく勝利を重ねている様子。
ダークホースは長崎のなかさんと小林さんである。
シュ債権の維持を見せたいところだろう。
もちろんこの4人が、最終戦を勝てばそのまま結晶リーグだが、
そうはいかないのが勝負のおもしろさか3曲目も始まると、
順次対戦が終わり結果が会場正面のボードに記されて行く。
熊本の森さんの勝ち・さがの横町さんの値、
やはりここはばんくるわせはなかったようだ。
しかし長崎の小林さんは負け・長崎のなかさんは負け。
シュ債権の二人が負けてしまい、勝率が2勝1敗が5名となった。
この5名のうち2名だけが結晶リーグに上がる。
くじ引きでそれを決めるようだ。
本大会80歳に成る参加者が2名いるのだが、その2名も残っているようだ。
何歳に成ってもこの様に頑張っている先輩を拝見すると、
こちらも頑張らないといけないなと思う。
くじ引きにより、宮崎の長曽我部さん・長崎の吉野さんが復活した。
吉野さんは80歳のご高齢だが頑張ってほしいところだ。
お昼のあと、結晶リーグが始まった。
息詰まる攻防を征したのは、
やはりここ数年結晶で対戦している二人、森さんと横町さん。
3位決定戦は、吉野さんと長曽我部さんと言う対戦がきまる。
さあいよいよ最終戦、まどの外は天気も良く心地良い日差しの中、
その戦いの火ぶたは切って落とされた。
森さんと横町さんは合い振り飛車という出だし。
吉野さんと長曽我部さんは中飛車のでだし。
先に吉野さんと長曽我部さんの対戦が終わりそうだ。
終盤入玉模様になり、吉野さんの勝ちのように見えたが、
長曽我部さんが入玉をさせず土俵の俵を押しきった。
まさに見応えがある横綱将棋であった。
これで3位は、宮崎の長曽我部さんに決まる。
残るは森さんと横町さんの優勝決定戦だ。
森さんが1筋から攻めてうまく駒を裁く。
横町さんも8筋の王の頭から攻めたてる。
目まぐるしく入れ替わる攻防。
鋭い攻めに森さんが駒を打ちながら凌ぐ。
「ううん」横町さんが唸る。どうしたのだろうか?
どうやら1手たりない様子。
煮え湯を飲むが悟得手を相手にわたす。
森さんがここから一気に攻める。
横町さんの王は1筋えと追われる。
角で王手誰もが終わったと思った。
しかし何故かうなっているのは森さん。
どうしてなのか?空きおおてで詰んでいると思って角が成ったところが悪かったようだ。
1手たりない何と言うことか横町は手持ちにくわわった駒で最後の逆襲にでた。
つむやつまざるや、息をのむ感染者。
「まけました」森さんの勝敗を決する宣言で勝負はついた。
優勝をした横町さんもさることながら、
最後まで戦いぬいた森さんへも、拍手が送られた。
優勝の表彰状と副商が佐賀の横町さんに手渡されて、
本大会は終了した。
また来年合おうとお互いに声をかけながら分かれる友、
来年こそはと心に秘めて。