基本的な戦法


玉を安全にする囲いとともに重要なのが、戦法です。
どのような戦法で戦うのかを考えなければなりません。
戦法は囲いと同じようにたくさんありますが、大きく分けて2つに大別されます。
一つは居飛車戦法と呼ばれるもので、飛を最初の居る位置から動かさずに
戦う戦法のことです。
もう一つは、振り飛車戦法と呼ばれるもので、飛を左(5筋より左)に振って
戦う戦法のことです。
ですので、相居飛車、居飛車対振り飛車、相振り飛車の3つのパターンに別れます。

★矢倉すずめざし戦法


香の下に飛を持って行き、角と桂も使って、矢倉の弱点である端を
一点集中で狙う戦法です。決まると破壊力満点です。

すずめざし戦法

▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀▲5六歩 △5四歩
▲4八銀 △4二銀 ▲5八金右 △3二金▲7八金 △4一玉 ▲6九玉 △5二金
▲6七金右 △3三銀▲7七銀 △7四歩 ▲7九角 △3一角 ▲3六歩 △4四歩
▲3七桂 △4三金右 ▲1六歩 △8五歩▲1五歩 △6四角 ▲2六歩 △3一玉
▲1七香 △2二玉 ▲1八飛 △5三銀▲6八角 △7三角 ▲7九玉 △6四歩
▲8八玉 △9四歩 ▲9六歩 △8四角
     「解説」
▲1七香から▲1八飛として端に攻め駒を集中した形がスズメ刺し戦法の完成図です。
▲2五桂 △2四銀 ▲1三桂成 △同 銀▲1四歩 △同 銀 ▲同 香 △同 香
▲同 飛 △1一香 ▲1三歩 △同 香▲同角成 △同 桂 ▲3五歩 △3六角
     「解説」
▲2五桂から▲1三桂成と成り捨てて猛烈に攻め続けます。
▲3五歩は△同歩なら▲3四香と打つのが狙いです。
ここでは既に先手優勢となっています。
▲2五歩 △同 角 ▲1九飛△3五歩 ▲2八香 △3六角 ▲3八香△1八歩
▲2九飛
     「解説」
△3六角と打つのが後手の有力な反撃手段ですが、
▲2五歩がそれを上回る好手です。
△同角と取らせて▲1九飛と深く引くのです。
以下2枚の香を打った先手が優勢の局面です。



★矢倉棒銀戦法


銀を飛の筋から出して行き、端と3筋を狙いつつ、
相手の守備の銀との交換を目標とします。
すずめざしと比べると柔軟性のある戦いができます。

棒銀戦法

▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金△3二金 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △2三歩▲2八飛 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △8二飛
▲3八銀 △6二銀 ▲2七銀 △5二金▲3六銀 △4一玉 ▲2五銀 △5四歩
     「解説」
先手が飛車を▲2八飛と深く引く手を選び、
真っ直ぐ飛車先に銀が出て行くのが棒銀と呼ばれる戦法です。
▲2四歩 △同 歩 ▲同 銀 △2三歩▲同銀成 △同 金 ▲同飛成
     「解説」
2四まで進出してきた銀を△2三歩と打って撃退しようとしても、
2三に利いている駒の数が、
先手側が飛車と銀の2枚、後手側が金1枚と先手側が多いので
▲同銀成と取られてしまい、 以下△同金 ▲同飛成と相手の角頭に龍を作り必勝となりました。
これが棒銀の攻めが成功した理想的な局面です。
飛車を2八に引いて銀を3六まで出て行くと言うこの手順は、
以前は”原始棒銀”と言われ、初心者専用の戦法だったのですが、
最近ではプロ間でも指されています。



★右四間飛車戦法


相手が居飛車、振り飛車によらず、使うことのできる戦法です。
飛、角、銀、桂の使いやすい戦法なので、わかりやすく攻めることができます。

右四間飛車戦法




★四間飛車戦法



振り飛車の中でも最もバランスの取れた戦法です。
囲いは美濃囲いで堅く、攻めも銀が使いやすいです。
居飛車の急戦にも飛車道と角道を同時に開ける手で、
対抗することができます。




★相振り飛車戦法



お互いに振り飛車の時、あらわれる戦法です。
似たような陣形になりやすく、攻めの手がかりを得るのが難しいです。
角の働きがポイントとなる戦法です。