将棋の囲い一覧
1.居飛車向けの守り方
矢倉系
■金櫓
解説
矢倉囲いは、将棋で居飛車でよく使われる囲いで、代表的な囲いの一つ。
先手でいえば、玉将を8八に、左金を7八、右金を6七に、左銀を7七に移動させたものをいう。
この、一般的な矢倉を金矢倉(きんやぐら)ということもある。
角が攻めにも守りにも効くので、角が好きな人向けの囲いらしい。
長所
全体的に堅い囲いである。
特に上部からの攻撃に強い。
短所
7八の金を守っている駒が玉1枚だけであり、横からの攻撃に弱い。
また、端攻めにも弱いので注意が必要!
■銀矢倉
解説
一般的な■矢倉の6七金が、
銀に換わったものを銀矢倉という。
長所
銀が7八の金にも効いているので下段からの攻めにも強い。
また、上部からの攻めにも柔軟に対処することができる。
短所
攻めに右金を用いなければならないうえに、
組むのにも手数がかかる。
■片矢倉
解説
角換わりでよく用いられる囲いで、
金矢倉の7八の金を6八に換え、玉を7八に持ってくる形を片矢倉という。
長所
角がなくても組むことができる。
また、角の打ちこみに強い。
短所
一般的な矢倉に比べ全体的に守備が薄くなっている。
特に、8七に利いている駒が玉のみなので、8筋が弱い。
■総矢倉
解説
通常の■矢倉に右銀を5七の位置に加えたものを総矢倉という。
角が4六や3七などに動いた場合によく使われる。
またの名を四枚矢倉ともいう。
長所
金銀四枚で囲っているため堅い。
特に上部からの攻めには強い。
短所
金銀四枚で守っているため右翼の攻めが薄くなる。
■矢倉穴熊
解説
手詰まりになった時などに■矢倉囲いから発展させて組まれる囲い。
そこそこ堅いが、なかなか組ませてもらえないのが現状。
長所
矢倉囲いで手詰まりになった時に、■穴熊系の囲いに発展させることができる。
しかし、組むのに時間がかかるのでなかなか組ませてもらえない。
短所
組むのに時間がかかる。
ちなみに、最初から穴熊を狙うなら基本形をおすすめします。
■菊水矢倉
解説
菊水矢倉囲いは金矢倉囲いを元に、88に銀、77に桂、
89に玉を配置した囲いを菊水矢倉と言う。
玉が低く、縦の攻めに非常に強い囲いだが、
玉の横が素通しなので横からの攻めに弱い。
88に銀が居る為端攻めにも強くなっている。
長所
通常の■矢倉よりも玉が一段低い位置にあり、
棒銀などの上部からの攻撃に強い。
短所
見ての通り下段がスカスカで、横からの攻めに弱い。
飛車交換をした際にはご注意を!
■銀立ち矢倉
解説
一般的な矢倉から銀が7六の地点に移動した形。
長所
上部に厚くなるうえに、8五桂打ち等などにも対応している。
また、場合によっては7七に桂馬や角を配置することもできる。
短所
7七の地点が空いているので、角の睨みが気になる。
■菱矢倉
解説
矢倉の変形でよく生じる形で中央に厚い囲いである。
矢倉囲いのバリエーションの一つで、
総矢倉の状態から▲6五歩と位を取り、銀を5七から6六へ移動した形。
金銀が菱形に並んでいるので、このように呼ばれている。
長所
矢倉に銀が一枚プラスされている分、角の睨みに強くなっている。
また、6六の銀がいつでも攻めに使うこともできる。
短所
中央には厚くなっているが横からの攻めに対する強さは、
普通の矢倉と変わらないので注意が必要。
また、中央に銀が来ているので、右翼が薄くなる。
■ボナンザ囲い?
解説
片矢倉に似た7八玉 6八金 5八金のような囲いをボナンザ囲いという。
コンピュータ将棋のBonanzaがよく使っている所からこの名がついた。
長所
片矢倉系の囲い共通だが、角の打ち込みに強い。
金が横に2枚並んだ形から下段からの攻撃にも強い。
短所
同じく片矢倉系の囲い共通で、角がいると組みにくい。
そのため、角替わりで用いるのが一般的。
8七に利いている駒が玉のみなので、8筋が弱い。
左美濃系
■左美濃囲い
解説
左美濃囲いは、振り飛車用の囲いである、■美濃囲いの居飛車版。
主に、対振り飛車用の持久戦で用いられる。
8八玉 7八銀 6七金 6九金
長所
対振り飛車用の囲いだけあって、対振り飛車戦に強い。
短所
図を見てわかると思うが、玉の頭上が弱い。
なので、対居飛車戦は避けたほうが無難。
■四枚美濃
解説
四枚美濃は、■左美濃の一種で、右銀を7七の位置に移動させた形。
天守閣美濃の弱点である玉頭を強化している。
長所
一般的な左美濃に比べて、
玉頭がしっかりしたので非常にバランスの良い囲い。
短所
金銀四枚で守っているので攻めが細くなる。
なので、受けの棋風の方にお勧め。
■天守閣美濃
解説
天守閣美濃は、左美濃の発展形で、玉が角筋に入るのを避けた形。
現在、良く用いられる左美濃の一種である。
8七玉 7八銀 6七金 6九金
長所
玉が角筋に入るのを避けることができる。
短所
玉頭が非常に弱いので注意が必要。
その他
■居飛車穴熊
居飛車穴熊囲い
先手が居飛車穴熊にするときは、
▲7六歩・▲4八銀・▲5六歩・▲6八玉・▲7八玉・▲5七銀・▲7七角・▲8八玉・▲9八香・▲9九玉・▲8八銀・▲7九金・▲6六銀・▲6八角・▲5九金・▲6九金右・
▲7八金右・▲7七銀引まで18手で完成です。
長所
第一に、堅いことがいえる。まず、玉が戦場から離れている。
そして駒が密集しているため、一手で王手をかけることができない。
第二に、堅いことを生かして、大胆な作戦ができること。
短所
一つ目は、囲いが完成するまでに時間がかかること。
二つ目は、上部や端からの攻撃には割と弱いこと。
また、玉が端にあるため、逃げ道がなくなることがあるので、
一度崩れると、非常に危険なので注意が必要。
■舟囲い
解説
対振り飛車での基本形。
8八角 7八玉 5八金の様に並ぶ
船の形に似ていることからこの名が付いた。
長所
奇数筋の歩を突くことにより急戦を狙うこが出来る。
なお、持久戦の場合は、ここから■穴熊などへ発展する。
飛車の打ち込みなどによる横からの攻めに強い。
短所
見て分かる通り、玉頭や角の頭上が非常に弱い。
持久戦の場合は、穴熊などに発展させて備えるのが一般的。
発展
舟囲いの発展形で、銀や桂までの攻めも視野に入れている。
4八の銀を残しておくことにより、3七の地点を補強している。
■雁木囲い
雁木(がんぎ)囲い
命名は新潟県で雪よけのために家々の軒から庇(ひさし)を長く差し出して、
その下を通路とする■雁木造に似ている所に由来すると言われている。
先手でいえば、左金を7八、左銀を6七、右銀を5七、右金を5八に動かしてつくられる囲いである。
通常、玉は6九に置くことが多い。たまに4八に置くこともあり、この場合は「■右玉」と呼ばれ、
▲5八の金は4七に移動することが多い。
長所
居飛車の定番「■矢倉囲い」と比較すると、
角が居角のまま使え、攻めに使いやすい
また、矢倉よりも駒組の手順が柔軟である。
などの長所があげられる。
短所
囲いが中央によっているので7筋からの攻めに弱い。
また、下段が薄いのが若干気になる…
■ミレニアム囲い「トーチカ囲い」
解説
プロの間で意識的に指されたことからミレニアムと呼ばれる。
ミレニアム以外にも、「かまくら」「カマボコ」「トーチカ」
「三浦囲い」「西田スペシャル」などとも呼ばれている。
なかなかの堅さを誇るが、現在は出現頻度は低下している。
「左から」
6段目歩歩歩
7段目歩歩桂金角
8段目銀金
9段目香玉銀
「左から」
6段目 歩歩 歩
7段目歩銀桂歩角
8段め金銀
9段目香玉金
最近確立されてきた「■穴熊」の変化形の囲いで
7七桂、8九玉で囲いっている形を総称してそう呼ばれているようです。
長所
見てわかるとおり、まず堅い。
そして、■穴熊などよりも、端攻めにも強くなっている。
また、玉が角筋からそれているため、角筋に頼った攻撃にも強さを誇る。
短所
まず、組むのに時間がかかる。
そして、■穴熊囲いほど堅くない…
2.振り飛車向けの守り方
美濃系
■美濃囲い
解説
美濃囲いは将棋で振り飛車でよく使われる囲いで振り飛車を代表する囲いの一つ。
この一般的な美濃囲いを、本美濃や、金美濃とも呼ぶ。
身の囲いの守り駒の形
▲9六歩 ▲7六歩 ▲6六歩 ▲1六歩 ▲6七銀
▲7八飛車 ▲6八角 ▲5八金 ▲3八銀 ▲2八玉
▲9九香車 ▲8九桂馬 ▲6九金▲8九桂馬 ▲1九香車
長所
横からの攻めに強く、他の囲いに発展させることができる。
発展させることができるのが最大の魅力ともいえる。
短所
玉頭や端攻めにが弱いので注意が必要!
もっとも、戦いながら■高美濃や■銀冠に発展させていくのが一般的。
■高美濃
解説
高美濃囲いは■美濃囲いの発展形で、左金を4七の位置へ進めた形。
長所
美濃囲いの横の堅さを維持したまま上部からの攻めにも対応している。
上部からの攻めにも強くなったので、バランスの良い囲いと言える。
また、場合によっては桂馬が3七に跳ねる場合もある。
短所
上部からの攻めにも対応しているが、まだ玉頭が弱い。
そのため、場合によっては■銀冠などに発展する場合がある。
また、美濃囲いよりも横からの攻めには弱くなっているので注意が必要。
発展
こちらは桂馬を跳ねた形。
桂馬を跳ねることにより上部を更に厚くすることができる。
ここまで上部を厚くすると銀冠に見える。
■銀冠
銀冠
高美濃囲いから、銀が玉の上にきた形を銀冠という。
上部からの攻めにはとても強いが下段が弱くなる。
そのため、あえて桂馬を跳ねない場合がある。
これが、あえて桂馬を跳ねない場合の形。
大山名人は「銀冠では決して桂馬を跳ねるべきではない」と主張していた。
下段からの攻撃(特に龍の睨み)に少しは対応している。
先程と少し形が違うが、これも銀冠の一種。
組むのが簡単なため実戦でもよく用いられる。
下段からの攻撃にも対応していてなかなかの堅さを誇る。
また、ここから■銀冠穴熊に組むことも可能である。
■銀美濃
解説
左金の代わりに、左銀が守りに参加する形を銀美濃と呼ぶ。
長所
一般的な■美濃囲いよりも左右の銀の連携が良い。
短所
組むのに手数がかかるうえ、
銀の横腹が弱点になる。
■四枚美濃
解説
一般的な■美濃囲いに銀が一枚加わった形で、
金銀四枚の位置から四枚美濃やダイヤモンド美濃と呼ばれる。
長所
金銀四枚で囲っているため非常に堅い囲い。
金銀の連携が非常に良いため、上下段から再び金銀を打てる。
これにより、ある程度の攻めには対処できる。
短所
囲うのに時間がかかるうえに、玉頭が弱い。
また、守りが金銀四枚なので攻めが細くなる。
■木村美濃
解説
かつて木村十四世名人が香落ち戦で多用した囲い。
■美濃という名前だが、■矢倉に近い感じの囲いである。
桂馬の使い方がポイントで、中・上級者向けの囲いといえる。
長所
3七に桂馬が来ており、中央突破を図ることもできる。
ちなみに、守りに徹する時は桂馬を跳ねない場合もある。
短所
矢倉囲いと同じく、端攻めと下段からの攻めに弱い。
■片美濃囲い
解説
美濃囲いから5八の金をとった形。
中飛車を指す場合によく用いられる。
というより、中飛車で美濃をやると必然的にこの形になる。
長所
中飛車でも美濃囲いが組める。
また、左金を活用し左辺を守ることもできる。
短所
ご本家の美濃囲いほど堅くはない。
だが、受けの手筋さえ知っていれば十分に戦える。
■ちょんまげ美濃
解説
2七の歩が2六に突かれた形を、
ちょんまげに見えることからこの名がついた。
長所
高美濃囲いなどに発展できるが、ちょんまげは陽動振り飛車の名残りで、
傷として扱われることが多いので何とも言えない。
短所
やはり、ちょんまげの部分が少し気になるので、
高美濃囲いや■銀冠などに発展させることも多い。
■坊主美濃
解説
片美濃囲いの2七歩がなくなった形。
ちょんまげ美濃を見た方はわかるかと思いますが、形としては決していいとは言えない。
ちなみに、ひねり飛車の名残で坊主になった。
長所
玉頭に歩がないので敵陣に直接歩を打つことができる。
でも、守りは大丈夫だろうか。
短所
見て分かる通り、坊主の部分が弱点。
というか、無防備で危ない。
3九玉型の方が安全かも。
穴熊系
■振り飛車穴熊
振り飛車穴熊 守備駒の形
▲1九玉 ▲1二香車 ▲2九桂馬 ▲2八銀 ▲3九金 ▲3八金
長所
第一に堅いことがいえる。まず、玉が戦場から離れている。
そして駒が密集しているため、一手で王手をかけることができない。
第二に、堅いことを生かして大胆な作戦ができること。
短所
一つ目は、囲いが完成するまでに時間がかかること。
二つ目は、上部や端からの攻撃には割と弱いこと。
また、玉が端にあるため、逃げ道がなくなることがあるので、
一度崩れると非常に危険なので注意が必要。
■銀冠穴熊
解説
銀冠穴熊は、■銀冠と■穴熊の間をとったような形で、■高美濃囲いから銀冠に変化せずに、
持久戦に持ち込む場合に用いる構えです。
長所
見ての通り上部からの攻めには強い。
高美濃から長期戦に持ち込むことができる。
また、銀冠からも組むこともできる。
短所
穴熊同様に逃げ道がなくなることがある。
ちなみに、最初から穴熊を狙うなら基本形をおすすめします。
■ビッグ4
解説
ビッグ4(ビッグフォー)は穴熊系の囲いで、
組むのに時間はかかるがかなり堅い囲い。
長所
穴熊系共通の長所だが、まず堅い!
ビッグ4は金銀4枚で守っているのでとにかく堅い。
そして、穴熊の弱点である端攻めもカバー。
最強の囲いとの噂も・・・
短所
囲いが完成するまでにとても時間がかかるうえに、
自陣全体のバランスが極端に悪い。
その他
■右矢倉
解説
居飛車ではおなじみの■矢倉。
振り飛車版の矢倉もあるんです!
長所
単純に普通の矢倉を反対にした形で、
角がない分若干弱く見えるが、
振り飛車党は矢倉崩しには精通していない人が多いので、
意外と通用するし、そこそこ堅い。
また、三間飛車相手には優秀である。
短所
普通の矢倉と同様に端からの攻撃に弱い。
また、下段からの攻めにも弱いので注意。
雑談
形が少し■銀冠に似ているのに気付きましたか?
この囲いは、矢倉ではあるものの、■美濃囲いに近いです。
■金無双
解説
金が2枚並んだ形からのこの名前がついた。
最近は、■美濃囲いが主流になりあまり使われなくなったが、
相振り飛車相手には優秀である。
長所
美濃囲いよりも上部の攻めに強くなっているため、
相振り飛車戦で良く用いられる。
短所
側面からの攻めと、4筋からの攻めに弱い。
また、向かい飛車が相手だと危険な形。
その場合、銀が2八に上がるが、玉の逃げ道がなくなるので形はよくない。
■早囲い
解説
名前の通りすぐ組め、三手で作れる囲い。
長所
早囲いという名の通り、たったの三手で作れてしまう。
短所
見た目の通りすぐ組めるがやはり脆い。
すぐに崩れてしまうので、このまま戦うのは危険。
この囲いのまま持久戦に持ち込むのは危ないので注意。
■三手囲い
解説
名前の通り、たった三手で作れる囲い。
長所
「三手囲い」という名の通り、たったの三手で作れてしまう。
早囲いよりも端攻めに強いらしい。
短所
早囲いと同じで、やはり脆い。
すぐに崩れてしまうので、このまま戦うのは危険。
この囲いのまま持久戦に持ち込むのは危ないので注意。