将棋の戦法一覧

■相矢倉

相矢倉戦法は、お互いに矢倉囲いという陣形を組んで戦う戦法。
序盤はお互いに矢倉囲いを組むことを目指し、お互いが矢倉囲いを組めた頃に勝負が始まります。
序盤に囲いを完成させることを目的とするため、中盤まで大きな戦いが起こりません。
じっくりと囲いを組んでから戦う戦法です。
しかし、玉を囲うだけでなく攻めの準備もしなくてはいけません。
この戦法では攻めと守りのバランスがポイントになります。
相矢倉戦法はじっくりした戦いを好む方向けの戦法です。

■相掛かり

相掛かり戦法は将棋の戦法のひとつで、
お互いの飛車先の歩を付き合い戦う積極的な戦法。
先手、後手ともに飛車先の歩を二つづつ進めた後、
▲7八金、△3二金と角頭を守ることから始まります。
相掛かり戦法の特徴は速い攻めにより展開が早く、
玉が手薄なうちに決戦になりやすいことです。
急戦が好きな方や自分から攻めていきたい方におすすめの戦法です。

■横歩取り

横歩取り戦法は相掛かり戦法と同じく積極的に戦っていう戦法です。
大きく違うのは、お互いの角道が開いているところで、
角交換により序盤から大決戦へと突入することもある過激さがあります。
横歩取りの特徴は▲3四歩と横方向の歩を取るところで、
そこから横歩取りという名前が付きました。
序盤から大決戦になることもある過激な戦法なので、
腕力に自信のある方向けの戦法です。

■ひねり飛車

ひねり飛車戦法は、相掛かり戦法の出だしから飛車を左翼に転換して戦う戦法です。
相掛かり戦法と同じく積極的に戦っていく戦法で、出だしは飛車先の歩を突いていき、
その歩を交換していきます。
違いは飛車先の歩を交換した直後に飛車を左翼に転換することです。
ひねり飛車戦法も相掛かりと同じく攻めが好きな方におすすめの戦法です。

■棒銀

棒銀(ぼうぎん)戦法は、将棋の戦法の一つ。銀将を棒のようにまっすぐ進めて攻めることから


この名が付いた。対居飛車の戦法と対振り飛車の戦法とがある。英名はClimbing Silver。
非常に歴史の古い戦法であり、一説には既に初代名人大橋宗桂の将棋に類似の形が見られるという。総じて速効性に優れ、1 - 4筋と絡めると侮れない破壊力を持つが、


狙いが単純で受けの対策が立てやすい。
また中盤の捌き合いの後にこの銀が残ってしまうことがよくあり不利を招きやすい。
プロの対局でもしばしば現れ、加藤一二三、木村一基、
渡辺明らは振り飛車に対して棒銀戦法を得意としている。

■原始棒銀

飛車先の歩を伸ばし、銀をいきなり繰り出す戦法を原始棒銀や単純棒銀と呼ぶ。
初心者向きといわれるが、使いこなすのは難しい。また受けを知らないと潰されることもあり、


アマチュア向きと呼ばれるが、前述の通り、低級者ではとても指しこなせない。
矢倉模様から後手が単純棒銀に打って出て速攻を目指すのは谷川浩司などが一時期得意としていた。△4五歩の突き捨てで角筋と絡めて攻める。ただし現在では受け方が確立している。

■スズメ刺し戦法

スズメ刺し戦法とは、1筋や9筋の将棋盤の端において相手陣の駒を"スズメ刺し"にする戦法です。
この場合のスズメ刺しとは、スズメを料理する時にスズメを串で突き通すように相手陣の駒を
こちらの端筋の香車と飛車で突き通す攻め方です。
このスズメ刺しは以下のような場合に用いられます。それは例えば、


相手陣が矢倉である場合に用いられます。このばあいこちらの陣地は端から攻めていくのですが、


こちらの用いる持ち駒としては歩のほかに香車と飛車とそれに右銀です。
この右銀を1五へと展開していくことにより端から攻め、さらにこちら陣の香車と飛車を
活用していくことにより相手陣を突き通すように攻めていくのです。
この"スズメ刺し"戦法は1筋や9筋といった端筋に相手の大駒が居る時は効果絶大です。
このスズメ刺しで相手の端筋の角を香車と飛車で貫き通すので、
相手の角は串に貫かれたスズメのように突き通されてしまうのです。
さらに、端に相手の玉が居る場合はこのスズメ刺しにより
一気に相手陣の玉を詰ましてしまうことができることもある位です。
これほどこのスズメ刺し戦法の攻めの威力は絶大であるのです。
このスズメ刺し戦法は、なんといっても攻めの駒が香車と飛車という貫き通す駒であるために、
その縦への突破力は絶大であるのです。
この縦への突破力により相手陣の端の駒は一気に取られてしまうのです。
それと、端筋は駒の受けがあまり効かない場合が多く、そのため駒の受けが難しいのです。
そのために端を受けるのは難しく、攻める側からすると端攻めであるスズメ刺しが成功する場合が
多いのです。この端攻めであるスズメ刺しを用いれば相手陣を突破すること請け合いです。

■垂れ歩

垂れ歩とは文字通り歩を"垂れ"る攻めかたです。この垂れ歩を用いる場面は多く、


自身が攻勢にでている時です。
垂れ歩は例えば相手陣に進入するまで一マスのところに歩を打っていく筋です。
この垂れ歩を打つとその歩は次の一手で、相手陣で"と金"に成ることができるのです。
なのでこの垂れ歩の筋は強力です。
相手陣は次の一手で歩を「と金」にされてしまうため、この垂れ歩は受けなければなりません。
そのために、垂れ歩を打たれた側はその対応に迫られてしまい、
次の一手が拘束される上に場合によっては
金や銀を移動させて対応しなければいけないために、
自陣の陣地も乱されてしまいます。これらのように、


一つの歩により相手陣の陣形に大きな変容をもたらすためにその垂れ歩の効用は大きいといえます。
また、垂れ歩を打った側は一つの歩を垂らしただけで、次の一手でと金を作ることができ
大きな効果を得られることができるので、攻撃する場合に常に垂れ歩を垂れる筋がないかどうか
探す癖をつけておくとよいと思います。
垂れ歩の効果は大きいので、この垂れ歩のワザを身につけておけば、初心者さんでも攻めにたいする厚みも増し、攻めのバリエーションも大幅に増えて、攻めがより格段に上達すると思われます。

■継ぎ歩

継ぎ歩とは、主に歩と歩がぶつかっている場合に歩を相手に取らせて、
そこから歩を打ちつづけていく将棋の攻め方の一つです。
この継ぎ歩は、主に対矢倉戦で飛車先の歩を突いて行く場合に多く用いられます。
この継ぎ歩という攻め方により、対矢倉戦では相手の陣地を乱すことができるということが
よく知られています。たとえば、対矢倉戦で飛車先の歩を突いて相手が同歩とした場合に、


こちら陣はさらに2五歩と継ぎ歩をし、相手陣の同歩に対してこちら陣は
相手陣の2三の地点に歩を打ち込んでいくことができるのです。
この2三歩は同金と取っても同玉と取っても形が悪くなります。すなわち三歩の協力により


相手陣を大幅に乱すことができるのです。わずか一歩の犠牲と二歩の打ち捨てにより


相手陣を大幅に乱すことができるので、継ぎ歩の威力は大きいと言われるのです。
また、継ぎ歩は対矢倉以外の戦いでも多く用いられます。例えばこちらが振り飛車を持っていて角が6六へ出た時などにもこの継ぎ歩をもちいることがあります。それは例えば8筋の歩を突き捨てて、8筋の歩を角の効きの先に打つ筋があります。
さらには、こちらが振り飛車の場合で角が5五に出た場合などに
もこの継ぎ歩の効果が威力を発揮します。すなわち5五の角筋を生かして相手の7筋に継ぎ歩をしていって7筋を攻撃することにより、相手陣の飛車を遠く角でにらんでいる筋を生かしたりします。
このようにして継ぎ歩により攻めていきます。継ぎ歩による攻めには歩が必要であるため、


歩をいくつか手にするとこの継ぎ歩の攻めが考えられます。
この継ぎ歩は多く自分側が三歩を持った時に生まれる筋であります。
つまりこちらが三つ歩を持った時にこの継ぎ歩による攻めが可能であるため、
三歩を持った時にこの継ぎ歩ができるかどうか、盤上を眺めておけばよいということです。

■居飛車穴熊

居飛車穴熊戦法は居飛車側の対振り飛車向けの持久戦向けの戦法です。
非常に堅い囲いで陣形が整えば強力な戦法です。
それ故に、陣形を組み終えれば攻撃に専念することが出来ます。
しかし、陣形が完成するまでにはかなりの手数を要します。
そのため陣形を組んでいる最中が不安定になりやすい。
防御力の高い戦法なので、攻めに専念したい方におすすめの戦法です。

■向かい飛車

向かい飛車戦法は、居飛車側が攻めて来るところを
逆に攻め返えそうとする攻撃的な戦法です。
この戦法の狙いは、居飛車側が▲8五歩と突いたところを逆襲することです。
居飛車側の△8五歩に▲同飛車と強気の一手がポイントです。
後手は飛車打ちのスキがあるため、飛車交換になるとまずいので、
後手は飛車交換を避けるしかありません。
居玉のままの戦いになるので危険は伴いますが、
攻めて行くのが好きな方におすすめの戦法です。

■三間飛車

三間飛車戦法は、飛車が左から3筋目の3二の地点にいることからこの名がついた。
振り飛車の中では最も守りに重点をおいた戦法で、
他の振り飛車戦法と比べ、防御力が高いことが特徴です。
飛車の横にいる4二の銀が玉の守りにつくこともできる上に、
場合によっては3筋の守りにつくこともできる。
三間飛車では手堅く構えて居飛車側の攻めを迎え撃つことと、
飛車、角の捌き方がポイントになります。
守備に重点を起き、着実なことから玄人に好まれる戦法です。

■四間飛車

四間飛車戦法は4二飛と飛車が左から4筋目にあることからこの名がついた。
振り飛車の中でも、攻守にバランスが取れているので、
プロアマ問わずに人気の戦法となっています。
バランスを重視したい方におすすめの戦法で、振り飛車の中でも扱いやすい戦法となってます。

■ゴキゲン中飛車

ゴキゲン中飛車は角交換歓迎という少し変わった戦法です。
通常振り飛車では角交換をさせないのが一般的ですが、
この戦法では角交換を防ぐことはしません。
また、振り飛車は受けが基本ですが、
自分から攻めて行く変わった戦法です。
自分から自由に戦えることや、飛車の自由が効くことから
ゴキゲン中飛車という名前が付きました。
振り飛車で自分から積極的に戦っていきたい方におすすめの戦法です。

■ツノ銀中飛車

ツノ銀中飛車(つのぎんなかびしゃ)は将棋の戦法のひとつ。
飛車を5筋に振り、左銀を6七(後手の場合は4三)におく構えをいう。
相手が急戦の場合はこのまま対処する。この場合を特に「片ツノ銀」という。
ツノ銀中飛車(持久戦型)
持久戦の場合は右銀を4七(4三)に、右金を3八(7二)ないし4八(6二)に、
玉を2八(8二)ないし3八(7二)に構える(この囲いを〈木村美濃〉と言う)。
左金は7八(3二)に構えることが多い。左右対称的な構えである。
本来左金がいるべき5八には、飛車がいるためこのような構えとなる。
2つの銀がツノのように見えることから、この名前がついた。
戦いながら左の金銀を手順に玉の守備に回すのがかつて大山康晴が得意とした指しまわし。
また、3八(7二)飛からの袖飛車での逆襲も有力な手筋。
これに対して居飛車側は対四間飛車の時とは違い、
棒銀などの急戦を仕掛けるのは非常に困難であるが、後手中飛車に対しての加藤流袖飛車や
金立ち戦法が知られている。
持久戦としては居飛車穴熊や玉頭位取り戦法などが有力な対策である。
山田道美によると、ツノ銀中飛車の原型は江戸時代後期に見られ、
それが流行したのは戦後になってからであるという。
得意とした棋士として、山田は松田茂役の名を挙げる。
他に大山康晴や升田幸三もこの戦法を大いに得意としており、
特に大山はいつの間にか左の金銀が玉側に寄っていく独特の指し回しで、
山田道美や二上達也、加藤一二三らの挑戦を退け、全盛期を築くことになった。
また、袖飛車戦法に対する△3一金と引いて対抗する手法は定跡化されている。
その後も大内延長や森けい二といった一級線の騎士に愛用者絵を得て、
長らく中飛車を代表する指し方であった。しかし左右に金銀が分かれており、


玉の囲いが金銀1枚ずつと薄く、指しこなすのが難しい。
居飛車穴熊などに対して決定的な対策がなく、勝率が下がった。
そしてツノ銀中飛車の衰退とともに中飛車自体が指されなくなった。
中飛車の復活はゴキゲン中飛車の出現を待つこととなる。
現在でもツノ銀中飛車の風車戦法型を常用する棋士に伊藤果がいる。
伊藤は王座戦でこれを用いたときに「加藤一二三の棒銀と同じように、
長年同じ戦法を指し続ける珍しい棋士」と東京新聞に書かれている。

■相振り飛車

相振り飛車戦法とは上図のようにお互いに飛車を振って戦う戦法です。
相居飛車や居飛車対振り飛車戦法と比べて、実践例が少なく未開拓な部分が多いことが特徴です。
それ故に力戦調の将棋になりやすい戦法でもあります。
お互いに飛車を振らなければ相振り飛車にはならないため、
実践で生じることが少ないです。